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二章 ━━━━【その恋のゆくえ】
11*漆黒の天使
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****♡side・都筑
なんだか玄関口で揉めている声がした。しかし、上着をはおっているだけの自分は全裸と変わらない。人様に、お見せできる状態ではなかったのでじっと身を固くする。
「都筑」
膝を抱え、ぎゅっと目を閉じていた。暴力的な性交をされたため身体中が悲鳴をあげている。
「?」
幻聴が聞こえたような気がした。
大好きなあの人の声。
「都筑、帰ろう?」
「つ?!」
ふわりと温もりを感じて顔をあげると、いるはずのない彼が自分を抱き締めてくれていた。
「辛かったな。ごめんな」
「圭一さんッ」
「もう、一人にしないから。帰ろう?」
なぜ?
どうしてここにいるの?
「都筑!いいのか?!」
処理しきれない頭をどうにか動かそうとしていたら、佐倉の声が割ってはいる。
「圭一に知られてもいいのかよ?」
「いやだ、やめッ」
ガタガタと震えだす都筑に、圭一はため息をつくと立ち上がった。
「佐倉、いい加減にしろ。都筑を脅して無理矢理言うことを聞かせても、都筑はお前のものにはならない」
「圭一は、都筑が何してるか知らないからそんなことが言えるんだ」
「何のことだよ」
やめて、やめて、やめてッ!
知られたくない。
圭一に嫌われてしまう。
「都筑は、社長ともセックスしてるんだぞ?」
「は?」
「やめてええええええ!」
圭一が眉を潜め都筑を見おろすのがわかった。
なんで?
我慢したのに。
なんで言うの?
なんで裏切るの?
****
「だから、何?」
圭一は想像以上の男だった。
都筑から佐倉に視線を移した圭一の“くだらない”と言う表情から目が離せない。
「それがどうした?言ってみろよ」
「いや、だから」
「むしろ、佐倉のしていることの方がよっぽど問題だぞ?」
圭一は揺るがなかった。
「酒に酔った都筑にしたことは準強姦罪、今日したことだって強姦だろ?脅迫か?」
「それは..」
「少し頭冷やせよ!」
佐倉を一括すると圭一は、再び都筑の元に膝間づく。
「都筑、服着られる?」
優しく問いかけられ、都筑は圭一に手伝って貰いながらなんとか身支度を整えた。
「佐倉」
「...」
「もし今後、俺の恋人に手出したら許さないよ」
こんなに怒っている圭一を見るのは初めてだった。しかも、さらりと都筑のことを恋人だと宣言した。
「行こう」
都筑は圭一に手を引かれよたよたとついていく。
「どうして言わなかったの?」
圭一の車に乗り込むと開口一番そう問われた。
「嫌われたくなくて..」
「そっか。何か理由があってしたことなんだろ?」
「それは..はい」
「嫌われたくなかったんだ?俺に」
コクッと頷くと、圭一に可愛いと言われて反応に困る。
「都筑、一緒に暮らそうか」
「え?」
都筑は心臓が高鳴ってゆくのを感じていた。
なんだか玄関口で揉めている声がした。しかし、上着をはおっているだけの自分は全裸と変わらない。人様に、お見せできる状態ではなかったのでじっと身を固くする。
「都筑」
膝を抱え、ぎゅっと目を閉じていた。暴力的な性交をされたため身体中が悲鳴をあげている。
「?」
幻聴が聞こえたような気がした。
大好きなあの人の声。
「都筑、帰ろう?」
「つ?!」
ふわりと温もりを感じて顔をあげると、いるはずのない彼が自分を抱き締めてくれていた。
「辛かったな。ごめんな」
「圭一さんッ」
「もう、一人にしないから。帰ろう?」
なぜ?
どうしてここにいるの?
「都筑!いいのか?!」
処理しきれない頭をどうにか動かそうとしていたら、佐倉の声が割ってはいる。
「圭一に知られてもいいのかよ?」
「いやだ、やめッ」
ガタガタと震えだす都筑に、圭一はため息をつくと立ち上がった。
「佐倉、いい加減にしろ。都筑を脅して無理矢理言うことを聞かせても、都筑はお前のものにはならない」
「圭一は、都筑が何してるか知らないからそんなことが言えるんだ」
「何のことだよ」
やめて、やめて、やめてッ!
知られたくない。
圭一に嫌われてしまう。
「都筑は、社長ともセックスしてるんだぞ?」
「は?」
「やめてええええええ!」
圭一が眉を潜め都筑を見おろすのがわかった。
なんで?
我慢したのに。
なんで言うの?
なんで裏切るの?
****
「だから、何?」
圭一は想像以上の男だった。
都筑から佐倉に視線を移した圭一の“くだらない”と言う表情から目が離せない。
「それがどうした?言ってみろよ」
「いや、だから」
「むしろ、佐倉のしていることの方がよっぽど問題だぞ?」
圭一は揺るがなかった。
「酒に酔った都筑にしたことは準強姦罪、今日したことだって強姦だろ?脅迫か?」
「それは..」
「少し頭冷やせよ!」
佐倉を一括すると圭一は、再び都筑の元に膝間づく。
「都筑、服着られる?」
優しく問いかけられ、都筑は圭一に手伝って貰いながらなんとか身支度を整えた。
「佐倉」
「...」
「もし今後、俺の恋人に手出したら許さないよ」
こんなに怒っている圭一を見るのは初めてだった。しかも、さらりと都筑のことを恋人だと宣言した。
「行こう」
都筑は圭一に手を引かれよたよたとついていく。
「どうして言わなかったの?」
圭一の車に乗り込むと開口一番そう問われた。
「嫌われたくなくて..」
「そっか。何か理由があってしたことなんだろ?」
「それは..はい」
「嫌われたくなかったんだ?俺に」
コクッと頷くと、圭一に可愛いと言われて反応に困る。
「都筑、一緒に暮らそうか」
「え?」
都筑は心臓が高鳴ってゆくのを感じていた。
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