R18 【同性恋愛】『咎人を愛した漆黒の天使は永遠の愛を紡ぐ』

二章 ━━━━【その恋のゆくえ】

8＊タイムリミット

　＊＊＊＊♡side・圭一

「もうすぐ時間だよ？お兄ちゃん」
　父に言われ、腕時計に目をやる。
　出立まであと30分を切っていた。
　都筑はまだ来ない。
「わかってる」

　ミイラ取りがミイラになったか。
　圭一はため息をつくしかなかった。

　どっちの結果にしろ、何の連絡もないのは社会人としておかしい。都筑に何かあったのだろうか？

　圭一は不安に思いながらスマホを見つめ、連絡をするか考えていた。
「うん？」
　そこで佐倉からメールが届いた。
　どうやら動画が添えてあるようだが。

「なんだよ、これ」
　それは都筑と佐倉の性交の様子を撮ったものだった。
　圭一はしばらくじっとそれを眺めていた。

　なんだ？
　この違和感。
　そもそもなんで無音なんだ？

　俺が公共の場で観ることを想定して？
　いや、違う。

『イヤダ』
『タスケテ』
『ケイイチサン』

　圭一は、涙を溢しながら身体を揺さぶられている都筑の口元をじっと観察する。どうやらそう言っているように感じた。

　佐倉は都筑に何をした？
　いや、都筑はどうしてこんなことをされなければならなかった？俺が都筑から引けば、彼は酷いことをされずに済むのか？

　圭一は考えを巡らせた後、佐倉に電話をかけた。