R18 【同性恋愛】『咎人を愛した漆黒の天使は永遠の愛を紡ぐ』

一章 ━━━━【咎人を愛した漆黒の天使】

3.5【奪いたい】

　＊＊＊＊♡Side・圭一

　＊＊＊＊回想1
　絶望の先にあるもの。
　━━━愛しい都筑を繋ぎ止められなかった。


　｢圭一｣
　結局、時間が出来て都筑に個人的に会いに行けたのは大学に入ってからだった。話したいことはたくさんあったが、偽りでも恋人がいる以上都筑とどうこうすることはできなかった。
　｢南、都筑は？｣
　最近都筑が、大崎邸の従業員食堂に最近入り浸っているとの噂を聞きつけ来てみれば彼の姿はなかった。

　｢佐倉が連れていったよ｣
　佐倉が？

　佐倉は、都筑と同期入社で年は同じ。そして、弟である久隆の専属の運転手である。ヤンキー上がりで気さく。筋肉質でがっしりとしていた。

　まさか..？
　いや、だってあいつは..

　｢佐倉は都筑を抱いたってこの間、俺に自慢してきた｣
　南も少なからず、都筑に好意をもっているのだろう。そんなことを告げ口してくる。

　都筑を佐倉が？
　嘘だろ？

　都筑は年のわりには純真無垢で、圭一に一途な想いを寄せている感じがしていた。やっと、想いを打ち明けようとしていたのに。手遅れだというのか？

　俺だってみたことのない場所を
　佐倉が..
　俺だって触れたことのない場所に
　佐倉が？
　なんでだよ、都筑

　違う、悪いのは俺だ
　理由も言わず、待っててとも言えなかった俺
　だけど、都筑が欲しい
　取り戻したい

　｢圭一、何処に行くんだ？｣
　｢寄宿舎。都筑に会ってくる｣
　｢今、何時だと思って...｣

　圭一はただ、都筑を取り戻すため彼の元へ向かうのだった。