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一章 ━━━━【咎人を愛した漆黒の天使】
1.5【君を守りたい】
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****♡Side・圭一
****回想1
━━━あの日からずっと雨が降りやまない。
『前方不注意だ?! あんた、真咲を殺したんだぞ! 返せよ! 真咲を返せぇッ!』
──俺の父親は、あの日からずっと死ぬ為に生きている。
もう、10年も。
元々は長男の圭一を社長に据えて、弟の久隆を副社長にと考えていたようだが。あの日以来。父は毎晩酒に溺れ最愛の人を恋しがるようになった。
そんな父の姿を見ていられなくなった圭一は、自分が副社長として久隆を支えると父に申し出た。高校一年から父に付いて勉強をしているのもその為だ。
父が主治医から酒を止められたとき圭一は思わず、
『親父に生きることを押し付けるな!』
と怒鳴ってしまった。
『真咲に会いたい。辛い、死にたい……』
普段はバカなことばかり言う父は、酔うとそういって涙を溢した。あの人が父に残した言葉の書かれた傘を胸に抱いて。
死を覚悟したあの人は、渾身の力を振り絞って傘に最期のメッセージを残した。事故車にあったその傘はぼろぼろだったが、救急車で運ばれる際も決して手放さなかったらしい。
『圭一、ごめんな』
父は涙を溢しながら圭一に言った。
『ママも真咲も亡くなって、パパ頼れる人が圭一しかいないんだ』
大崎グループ会長の祖父、祖母とも健在だがそういう意味ではない。
『全部、圭一に押しつけてごめん』
『大丈夫だよ』
圭一はそう言うしかなく。
『パパがいなくなったら、久隆を頼むね』
『わかった』
当時高校一年だった自分は近い将来、父さえも失うのだと悟った。大崎家長男として、これから自分が背負ってゆくもの、守っていかなければならないものを改めて認識をしたのだった。
****回想2
━━━━━━━━━━それから一年後。
父は都筑を社長第二秘書として連れてきた。
元々うちで働いていたらしいが圭一とくっつけるための陰謀なことはすぐにわかった。
──俺はまだ、誕生日前で16歳。
余計なことすんなよって思っていたが会えたら会えたで立場も忘れ、はしゃいでしまっていた。普段なら絶対にしないことまで……。抱き締めた時の温もりは本物でずっとそのままでいたいと思ってしまった。
都筑から返事がなくて、そこで我に返る。
ただ、傍に居られればそれで良かった。
18歳になったら都筑に告白しようと思っていた。
たとえ、想いが通じることがなくても。
なのに……。
誤算が生じてしまったんだ。
都筑は恋に落ちた。
嬉しいはずなのに、それは圭一にとって地獄の始まりだった。愛しい人の愛を受けとることが出来ない。
拒み続け、知らないふりをしなければならない毎日。
『圭一くんは、不器用だな』
大崎邸専属の料理長南に言われた言葉。
どうすれば良かった?
経験のない子供にうまく立ち回るなんてはたして、できたのだろうか?
“都筑が好きだ。失いたくない”
でも、好きとさえ言えない。だって自分は、まだその年齢に満たない。スキャンダルとして会社に影響したらどうする?
──都筑が捕まってしまうかも知れない。
守らなきゃ……都筑を。
****回想1
━━━あの日からずっと雨が降りやまない。
『前方不注意だ?! あんた、真咲を殺したんだぞ! 返せよ! 真咲を返せぇッ!』
──俺の父親は、あの日からずっと死ぬ為に生きている。
もう、10年も。
元々は長男の圭一を社長に据えて、弟の久隆を副社長にと考えていたようだが。あの日以来。父は毎晩酒に溺れ最愛の人を恋しがるようになった。
そんな父の姿を見ていられなくなった圭一は、自分が副社長として久隆を支えると父に申し出た。高校一年から父に付いて勉強をしているのもその為だ。
父が主治医から酒を止められたとき圭一は思わず、
『親父に生きることを押し付けるな!』
と怒鳴ってしまった。
『真咲に会いたい。辛い、死にたい……』
普段はバカなことばかり言う父は、酔うとそういって涙を溢した。あの人が父に残した言葉の書かれた傘を胸に抱いて。
死を覚悟したあの人は、渾身の力を振り絞って傘に最期のメッセージを残した。事故車にあったその傘はぼろぼろだったが、救急車で運ばれる際も決して手放さなかったらしい。
『圭一、ごめんな』
父は涙を溢しながら圭一に言った。
『ママも真咲も亡くなって、パパ頼れる人が圭一しかいないんだ』
大崎グループ会長の祖父、祖母とも健在だがそういう意味ではない。
『全部、圭一に押しつけてごめん』
『大丈夫だよ』
圭一はそう言うしかなく。
『パパがいなくなったら、久隆を頼むね』
『わかった』
当時高校一年だった自分は近い将来、父さえも失うのだと悟った。大崎家長男として、これから自分が背負ってゆくもの、守っていかなければならないものを改めて認識をしたのだった。
****回想2
━━━━━━━━━━それから一年後。
父は都筑を社長第二秘書として連れてきた。
元々うちで働いていたらしいが圭一とくっつけるための陰謀なことはすぐにわかった。
──俺はまだ、誕生日前で16歳。
余計なことすんなよって思っていたが会えたら会えたで立場も忘れ、はしゃいでしまっていた。普段なら絶対にしないことまで……。抱き締めた時の温もりは本物でずっとそのままでいたいと思ってしまった。
都筑から返事がなくて、そこで我に返る。
ただ、傍に居られればそれで良かった。
18歳になったら都筑に告白しようと思っていた。
たとえ、想いが通じることがなくても。
なのに……。
誤算が生じてしまったんだ。
都筑は恋に落ちた。
嬉しいはずなのに、それは圭一にとって地獄の始まりだった。愛しい人の愛を受けとることが出来ない。
拒み続け、知らないふりをしなければならない毎日。
『圭一くんは、不器用だな』
大崎邸専属の料理長南に言われた言葉。
どうすれば良かった?
経験のない子供にうまく立ち回るなんてはたして、できたのだろうか?
“都筑が好きだ。失いたくない”
でも、好きとさえ言えない。だって自分は、まだその年齢に満たない。スキャンダルとして会社に影響したらどうする?
──都筑が捕まってしまうかも知れない。
守らなきゃ……都筑を。
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