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3・異変に気付くとき
31・音羽と神楽
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「あとはjokerとspadeか」
kingこと南和仁が両手を腰に当て全員に視線を巡らせながら。
「その呼び方やめたら」
とqueenこと音羽薫。
「音羽の意見に賛成だ」
とjackこと神楽優羽。
「とはいえ、jokerの本名は知っていてもspadeの名前は知らないぞ」
と抗議する南。
「久隆、どうかしたの?」
「うん?」
我らがリーダー、大崎久隆は腕を組みマザーのいる管理室を見つめていた。
傍らに佇むNO.7の霧島咲夜。実に絵になる二人だ。
管理塔に何かが接触し爆発音がしたとき、彼らはそれぞれ別な場所にいた。
南と音羽はここ管理塔前に。目的は久隆と合流することだった。久隆と咲夜は管理塔が見える位置にはいたが、だいぶ距離があったとのこと。
しばらくして音羽たちと管理塔前で合流。
神楽はその頃、23地区へ向かっていたセトたちに出くわした。爆発音がした時には管理塔からかなりの距離にいたが、この異常事態に気づき管理塔へ引き返したようだ。
「ところで神楽たちと一緒にいたお三方はどうしたの?」
チームを結成すると言っていたリーダー大崎海斗、その恋人であり幼なじみの姫川利久。そしてレジェンド候補のセト。彼らの姿はここにはなかった。
「資料室へ向かった」
と神楽。
久隆、咲夜、神楽の三人は、一度マザーと逢い現在の状況について話を聞いていた。
にわかには信じがたいが今自分たちが置かれているのは『リアル』というものらしい。ただし、そのリアルは『自分たちがいた世界』とは異なるようだ。
久隆たちの話から、あの時間AGにインしていた人々が異世界に転移させられたことを知った。
「俺たちがゲームの中で使えたものは使えるらしい。ただし、元の世界とは通信不可」
おさらいのように咲夜が南へ説明をしている。それを聞いていた音羽はふと気になることがあり、神楽の袖をくいっと引っ張った。
「ちょっといい?」
「どうかしたのか」
音羽に声をかけられ、こちらに視線を向けた彼女。音羽は親指を後ろに向け、ついてきてというジェスチャーをした。
音羽と神楽は以前からの知り合いであり、どちらかというと親友に近い存在だ。共に”ジェンダー”について悩んでいたことが二人が仲良くなったきっかけである。
「これ、現実って言っていたわよね」
そして二人にはもう一つの共通点があった。
それは共にゲームの中ではリアルと性別を逆転させていること。
「そのようだな」
中性的な見た目の神楽は腕を組み、軽く足を広げて立っている。そんな彼女を見て、音羽は”相変わらずカッコイイわね”と思いながら質問を続けた。
「わたし、ついてないのよ。だからここが現実だと想定していなかった」
「うん」
それは異論がないという意味での相槌なのだろう。
とすれば……
「ついてるな」
と神楽。
「なんでそんなに冷静なのよ!」
彼女は音羽の質問に”さてね”とでも言うように、軽く両手を広げただけだった。
kingこと南和仁が両手を腰に当て全員に視線を巡らせながら。
「その呼び方やめたら」
とqueenこと音羽薫。
「音羽の意見に賛成だ」
とjackこと神楽優羽。
「とはいえ、jokerの本名は知っていてもspadeの名前は知らないぞ」
と抗議する南。
「久隆、どうかしたの?」
「うん?」
我らがリーダー、大崎久隆は腕を組みマザーのいる管理室を見つめていた。
傍らに佇むNO.7の霧島咲夜。実に絵になる二人だ。
管理塔に何かが接触し爆発音がしたとき、彼らはそれぞれ別な場所にいた。
南と音羽はここ管理塔前に。目的は久隆と合流することだった。久隆と咲夜は管理塔が見える位置にはいたが、だいぶ距離があったとのこと。
しばらくして音羽たちと管理塔前で合流。
神楽はその頃、23地区へ向かっていたセトたちに出くわした。爆発音がした時には管理塔からかなりの距離にいたが、この異常事態に気づき管理塔へ引き返したようだ。
「ところで神楽たちと一緒にいたお三方はどうしたの?」
チームを結成すると言っていたリーダー大崎海斗、その恋人であり幼なじみの姫川利久。そしてレジェンド候補のセト。彼らの姿はここにはなかった。
「資料室へ向かった」
と神楽。
久隆、咲夜、神楽の三人は、一度マザーと逢い現在の状況について話を聞いていた。
にわかには信じがたいが今自分たちが置かれているのは『リアル』というものらしい。ただし、そのリアルは『自分たちがいた世界』とは異なるようだ。
久隆たちの話から、あの時間AGにインしていた人々が異世界に転移させられたことを知った。
「俺たちがゲームの中で使えたものは使えるらしい。ただし、元の世界とは通信不可」
おさらいのように咲夜が南へ説明をしている。それを聞いていた音羽はふと気になることがあり、神楽の袖をくいっと引っ張った。
「ちょっといい?」
「どうかしたのか」
音羽に声をかけられ、こちらに視線を向けた彼女。音羽は親指を後ろに向け、ついてきてというジェスチャーをした。
音羽と神楽は以前からの知り合いであり、どちらかというと親友に近い存在だ。共に”ジェンダー”について悩んでいたことが二人が仲良くなったきっかけである。
「これ、現実って言っていたわよね」
そして二人にはもう一つの共通点があった。
それは共にゲームの中ではリアルと性別を逆転させていること。
「そのようだな」
中性的な見た目の神楽は腕を組み、軽く足を広げて立っている。そんな彼女を見て、音羽は”相変わらずカッコイイわね”と思いながら質問を続けた。
「わたし、ついてないのよ。だからここが現実だと想定していなかった」
「うん」
それは異論がないという意味での相槌なのだろう。
とすれば……
「ついてるな」
と神楽。
「なんでそんなに冷静なのよ!」
彼女は音羽の質問に”さてね”とでも言うように、軽く両手を広げただけだった。
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