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5話『翻弄される俺たちの運命』
5 彼の気を逸らしながら【R】
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****♡Side・久隆
───お兄ちゃん……。
久隆はスマホを胸に抱き聖に横抱きにされ、エントランスのソファーの上にいた。咲夜が帰って来たらすぐに傍に行けるように。兄が咲夜を探しに行ったが、どうやら心当たりがあるようだ。兄に賭けるしかない。
「久隆」
「ん」
聖は久隆の髪にちゅっと口づけると、その背中を擦った。先ほどよりは落ち着いたが、彼は久隆のことが心配なようだ。
「少し、上行こう」
「抱っこ?」
「うん」
子供のように甘えれば、彼は久隆を抱き上げ湾曲した階段のほうではなく、エントランスから大食堂へ向かう途中にあるエレベーターに乗り込む。アンティークでお洒落な作りのエレベーターは普段は荷物を運ぶ時にしか使われない。
三階の久隆の部屋につくと、聖は久隆をソファーに下ろしそのまま覆いかぶさった。久隆のシャツをたくし上げ、肌を滑る彼の手にびくりと身体を震わせる。
「んッ……聖……」
彼は『今だけでも全て忘れてしまえ』とでも言うように久隆の中心部を撫で上げ、肌に舌を這わせ始めた。咲夜に変えられてしまった身体は、簡単に快感を引き出されてしまう。下着ごとズボンを引き抜かれれば、久隆は自ら大きく足を開く。
「久隆」
そんな久隆を彼は驚いた顔で見降ろした。
「聖?」
厭らしく身体をくねらせ足を開く自分は嫌なのだろうかと、不安気に聖を見つめれば、
「俺たちのせいなんだな」
と、意味不明なことを呟く彼。
「んあッ……」
「だったら、責任は取るから」
なんのことか分からないまま、彼は久隆自身を握りこむと鈴口に舌を這わせだす。クニクニとカリの部分を刺激しながら。部屋には水音と久隆の甘い声が響き、どうにかなってしまいそうだった。
「聖……ひじり……はあ……んっ」
何度もうわ言のように彼の名を呼び、快感に耽る。リズミカルに久隆自身を扱き始めた彼は久隆の蕾に指を這わせた。こんな時に愛の行為に耽る自分は、どれだけ堕ちているのだろうか。そんなことを考えつつも与えられる快楽を拒否できなかった。
──咲夜……俺のさくや……。早くこの手を握って……。
「んッ……んんッ」
ここに居ない彼に想いを馳せていると、聖の指が濃厚なジェルと共に挿入される。
「はあッ……あああッ♡」
自分は二度と以前のようには戻れない。自分が堕ちてしまったのは深い深い闇の底。
二人を巻き込み……いや、巻き込まれたのは自分だとはもう言えなくなっている。そう、自ら望んだのだから。
「あッ……やんッ……抜いちゃやあッ…」
一度指を引き抜かれ、入り口が擦れる快感に胸を突き出す。
「久隆は抜かれる時が一番好きだろ」
と、彼は久隆に覆いかぶさると、甘く囁いた。
「挿れてぇ……欲しいのッ……聖」
「だあめ。もっとよく解さないと」
と、ダメ出しをされてしまう。
仕方なく久隆は彼自身の代わりに、彼の首に腕を絡めキスを強請ったのだった。
───咲夜……早く戻ってきて。俺を満たしてよ……。
****♡Side・聖
自分に抱かれながらもきっと咲夜のことを考えているであろう久隆を、聖は責めようとも思わなかった。
咲夜ごと久隆を受け入れると決めたのは、自分。
ただ今は彼の気がまぎれればそれでいい。多くは望まない。
「んッ……聖ッ」
堕としたのか、堕ちたのか。
もう、誰にも分かりはしないのだ。
「ねえ……挿れてよ」
「まだ、ダメだ」
「じゃあ、もっとくちゅくちゅして」
刺激を求める彼を優しく抱きしめ蕾にゆっくりと指を出し挿れしてやると、気持ちいいのか甘い声を漏らす。彼をこんな風にしたのは自分と咲夜。自分たちは狂ったように彼を求め、気づけば彼は快楽に溺れていた。
引き返せるはずなんてない。自分たちに逃げ場なんて存在しないのだ。
──姫川、早く戻って来い。
俺たちは、同罪なんだ。
歪んでしまった関係だが愛だけは確かに存在する。犯してしまった罪は重いが二人で久隆を幸せにしようと誓ったのだ。
言わば、自分たちは運命共同体。
「久隆、愛してるよ」
「ひじり……」
熱に浮かされたように、彼が聖の名前を呼ぶ。ジェルを内に塗り込めるように指を動かしながら、彼に口づけをする。
「ああッ……いいのッ♡」
「挿れるぞ?」
「んッ……来て」
ぎゅっと聖の首に絡まる彼の腕。自ら大きく腿を拡げ、彼は誘うように聖の耳を噛む。
いつの間にこんなことを覚えたのだろうかと驚きながらも自分自身を彼の蕾に押し当てる。
「あッ……んんッ」
やはり、挿れるときは苦しいのだろうか。彼は浅くゆっくりと息を吐き、蕾を緩める。
蕾に力が入らないように、息を吐くのだ。
「辛い?」
「入る瞬間だけ」
小さな蕾が無理やり開かれるのだ。奥が気持ちがいいとはいえ、やはり挿れる瞬間は苦しいのだろう。くぷぷっと聖自身を受け入れながら彼は眉を寄せる。
聖は出来るだけゆっくりと腰を進めた。一度奥まで入ってしまえば、少し余裕ができる。
「聖……」
「ん?」
「動いていいよ。欲しい。いっぱい気持ちよくして?」
きっとその言葉の裏には、”今だけ、咲夜を忘れさせて”という意味合いが込められているのだ。
彼の兄が出て行ってから、既に一時間が経っている。目星がついてはいるだろうが父親からの奪還となれば、手間取っている可能性もあるのではないか。
あと一時間と、聖は心の中で呟く。何とか久隆の気を逸らせ、発狂するのを抑えなければならない。
「動くぞ」
聖は焦らしながら腰を動かし始めた。
「んんッ」
気持ちよさそうに声をあげる彼のわき腹を胸に向かって撫で上げながら、彼らが一刻も早く帰還するのを聖はただただ願っていたのだった。
───お兄ちゃん……。
久隆はスマホを胸に抱き聖に横抱きにされ、エントランスのソファーの上にいた。咲夜が帰って来たらすぐに傍に行けるように。兄が咲夜を探しに行ったが、どうやら心当たりがあるようだ。兄に賭けるしかない。
「久隆」
「ん」
聖は久隆の髪にちゅっと口づけると、その背中を擦った。先ほどよりは落ち着いたが、彼は久隆のことが心配なようだ。
「少し、上行こう」
「抱っこ?」
「うん」
子供のように甘えれば、彼は久隆を抱き上げ湾曲した階段のほうではなく、エントランスから大食堂へ向かう途中にあるエレベーターに乗り込む。アンティークでお洒落な作りのエレベーターは普段は荷物を運ぶ時にしか使われない。
三階の久隆の部屋につくと、聖は久隆をソファーに下ろしそのまま覆いかぶさった。久隆のシャツをたくし上げ、肌を滑る彼の手にびくりと身体を震わせる。
「んッ……聖……」
彼は『今だけでも全て忘れてしまえ』とでも言うように久隆の中心部を撫で上げ、肌に舌を這わせ始めた。咲夜に変えられてしまった身体は、簡単に快感を引き出されてしまう。下着ごとズボンを引き抜かれれば、久隆は自ら大きく足を開く。
「久隆」
そんな久隆を彼は驚いた顔で見降ろした。
「聖?」
厭らしく身体をくねらせ足を開く自分は嫌なのだろうかと、不安気に聖を見つめれば、
「俺たちのせいなんだな」
と、意味不明なことを呟く彼。
「んあッ……」
「だったら、責任は取るから」
なんのことか分からないまま、彼は久隆自身を握りこむと鈴口に舌を這わせだす。クニクニとカリの部分を刺激しながら。部屋には水音と久隆の甘い声が響き、どうにかなってしまいそうだった。
「聖……ひじり……はあ……んっ」
何度もうわ言のように彼の名を呼び、快感に耽る。リズミカルに久隆自身を扱き始めた彼は久隆の蕾に指を這わせた。こんな時に愛の行為に耽る自分は、どれだけ堕ちているのだろうか。そんなことを考えつつも与えられる快楽を拒否できなかった。
──咲夜……俺のさくや……。早くこの手を握って……。
「んッ……んんッ」
ここに居ない彼に想いを馳せていると、聖の指が濃厚なジェルと共に挿入される。
「はあッ……あああッ♡」
自分は二度と以前のようには戻れない。自分が堕ちてしまったのは深い深い闇の底。
二人を巻き込み……いや、巻き込まれたのは自分だとはもう言えなくなっている。そう、自ら望んだのだから。
「あッ……やんッ……抜いちゃやあッ…」
一度指を引き抜かれ、入り口が擦れる快感に胸を突き出す。
「久隆は抜かれる時が一番好きだろ」
と、彼は久隆に覆いかぶさると、甘く囁いた。
「挿れてぇ……欲しいのッ……聖」
「だあめ。もっとよく解さないと」
と、ダメ出しをされてしまう。
仕方なく久隆は彼自身の代わりに、彼の首に腕を絡めキスを強請ったのだった。
───咲夜……早く戻ってきて。俺を満たしてよ……。
****♡Side・聖
自分に抱かれながらもきっと咲夜のことを考えているであろう久隆を、聖は責めようとも思わなかった。
咲夜ごと久隆を受け入れると決めたのは、自分。
ただ今は彼の気がまぎれればそれでいい。多くは望まない。
「んッ……聖ッ」
堕としたのか、堕ちたのか。
もう、誰にも分かりはしないのだ。
「ねえ……挿れてよ」
「まだ、ダメだ」
「じゃあ、もっとくちゅくちゅして」
刺激を求める彼を優しく抱きしめ蕾にゆっくりと指を出し挿れしてやると、気持ちいいのか甘い声を漏らす。彼をこんな風にしたのは自分と咲夜。自分たちは狂ったように彼を求め、気づけば彼は快楽に溺れていた。
引き返せるはずなんてない。自分たちに逃げ場なんて存在しないのだ。
──姫川、早く戻って来い。
俺たちは、同罪なんだ。
歪んでしまった関係だが愛だけは確かに存在する。犯してしまった罪は重いが二人で久隆を幸せにしようと誓ったのだ。
言わば、自分たちは運命共同体。
「久隆、愛してるよ」
「ひじり……」
熱に浮かされたように、彼が聖の名前を呼ぶ。ジェルを内に塗り込めるように指を動かしながら、彼に口づけをする。
「ああッ……いいのッ♡」
「挿れるぞ?」
「んッ……来て」
ぎゅっと聖の首に絡まる彼の腕。自ら大きく腿を拡げ、彼は誘うように聖の耳を噛む。
いつの間にこんなことを覚えたのだろうかと驚きながらも自分自身を彼の蕾に押し当てる。
「あッ……んんッ」
やはり、挿れるときは苦しいのだろうか。彼は浅くゆっくりと息を吐き、蕾を緩める。
蕾に力が入らないように、息を吐くのだ。
「辛い?」
「入る瞬間だけ」
小さな蕾が無理やり開かれるのだ。奥が気持ちがいいとはいえ、やはり挿れる瞬間は苦しいのだろう。くぷぷっと聖自身を受け入れながら彼は眉を寄せる。
聖は出来るだけゆっくりと腰を進めた。一度奥まで入ってしまえば、少し余裕ができる。
「聖……」
「ん?」
「動いていいよ。欲しい。いっぱい気持ちよくして?」
きっとその言葉の裏には、”今だけ、咲夜を忘れさせて”という意味合いが込められているのだ。
彼の兄が出て行ってから、既に一時間が経っている。目星がついてはいるだろうが父親からの奪還となれば、手間取っている可能性もあるのではないか。
あと一時間と、聖は心の中で呟く。何とか久隆の気を逸らせ、発狂するのを抑えなければならない。
「動くぞ」
聖は焦らしながら腰を動かし始めた。
「んんッ」
気持ちよさそうに声をあげる彼のわき腹を胸に向かって撫で上げながら、彼らが一刻も早く帰還するのを聖はただただ願っていたのだった。
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