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3話『真実に気づいて』
7 不可解な現象
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****♡side・久隆
散々、聖に愛して貰ったのに久隆はまだ自分の身体が満足していないことに不安を感じていた。
──どうしてこんなに疼くの?
大里グループ系列のデパートで咲夜への土産を購入し、家まで送ってもらうと深いため息をつく。なんとか聖には悟られないようにはしたものの。
「ただいま」
大崎邸の大きな玄関の扉を開けエントランスに入るとグランドピアノが目に入る。咲夜がうちに来てから祖父が購入したものであった。彼はそこでジムノペディを弾いているところで、久隆に気づくと演奏を辞めこちらに向かってくる。
「お帰り、さっきはごめんね」
優しい笑顔で優しく抱き締めてくれる咲夜に心はときめいた。彼の笑顔はまるで聖母マリアのように慈愛に満ちていて、久隆を魅了するのだ。
「ううん。嫌われちゃったかと思った」
久隆はぎゅっと抱き締め返し、その温もりに安堵する。
「嫌うわけないでしょ? 久隆が大好きだからヤキモチ妬いちゃったんだ」
「いじけたってこと?」
不思議そうに見上げれば、髪にちゅっとキスをされる。
──いい匂い。
落ち着く。
「あ、片倉くんは?」
気づいた時には咲夜と共に葵も居なくなっていて。聖に用があったハズなのに自分が邪魔をしてしまった。
「さっきまで居たけど、帰ったよ」
「知り合いだったの?」
咲夜の言葉に驚く。
「ううん。友達になった」
意外な展開に更に驚いた。
「ここで立ち話もなんだし、部屋に行こうよ」
咲夜に誘われるまま、自室に向かいながら、
「週末、交流会で外泊なんだ」
と告げる。
「大里も一緒なの?」
「うん」
「じゃあ、俺も行く」
それは、更なる快楽の始まりであったのだ。
**・**
“これ、お土産”と言って渡した可愛いラッピングのお菓子は、隣の部屋のテーブルの上。
「久隆、どうしたの? 甘えん坊?」
久隆はベッドの端に腰かける咲夜にぎゅっと抱きついて、その膝の上に子供のように座っていた。離れたくないと言うように。咲夜は久隆が滑り落ちないように腰の後ろで両手を繋いでいた。
「咲夜ぁ……」
「可愛い」
──エッチしたいよぉ。
咲夜にくちゅくちゅされたい。
どうにもならない疼きと欲情から解放してくれるのは咲夜しかいないことを知った。聖にたくさんしてもらった筈なのに身体が熱い。
『運命の相手ってなあに?』
咲夜から大崎家と姫川家の男児(男性)は代々惹かれ合う運命なのだと教えられた。父も兄もそうなのだと知って疑いはしていないが、よくわからない。
咲夜に触れた時から身体が変調をきたした事実があるだけ。今自分に理解できる事はそれだけである。
「ほんと、可愛い」
むぎゅっと抱きついている久隆を優しく見つめる瞳。それをじっと見つめ返すとドキドキした。少しずつおかしくなっていく自分がいる。
「どうしたの? そんな顔して」
自分がどんな顔して咲夜を見ているのかなんてわからない。なんて言えば”その気”になってくれるのか。そればかり考えている。
「言いたいことがあるなら言って?」
耳元で囁かれ、ビクンと心が跳ねた。
「ん?」
それだけなら良かったのだが、期待で久隆自身に熱が集まり始めていた。それが咲夜に触れてしまっている。二人の間で硬さを増すそれに咲夜が気づいた。
「しょうがないなぁ」
咲夜は嬉しそうに笑うと久隆をベッドの中央に引き揚げ、寝かせる。久隆はドキドキしながら覆い被さる咲夜を見上げていた。
「可愛いすぎて、どうしていいかわからないよ」
咲夜はそう言うとそっと久隆に口づける。
「可哀想に、俺じゃなくちゃ満足できなくなっちゃったんだね」
言葉とは裏腹に咲夜は極上の笑みを浮かべたのだった。
久隆は知らなかったのだ。
収まらない身体の疼きはむしろ……運命の相手以外との性交が原因なことに。
運命の相手が齎す安堵は、それ以外の者と交わることで枯渇する。満たせるのは運命の相手だけ。
今の久隆の状況は悪循環の結果なのだということを。
散々、聖に愛して貰ったのに久隆はまだ自分の身体が満足していないことに不安を感じていた。
──どうしてこんなに疼くの?
大里グループ系列のデパートで咲夜への土産を購入し、家まで送ってもらうと深いため息をつく。なんとか聖には悟られないようにはしたものの。
「ただいま」
大崎邸の大きな玄関の扉を開けエントランスに入るとグランドピアノが目に入る。咲夜がうちに来てから祖父が購入したものであった。彼はそこでジムノペディを弾いているところで、久隆に気づくと演奏を辞めこちらに向かってくる。
「お帰り、さっきはごめんね」
優しい笑顔で優しく抱き締めてくれる咲夜に心はときめいた。彼の笑顔はまるで聖母マリアのように慈愛に満ちていて、久隆を魅了するのだ。
「ううん。嫌われちゃったかと思った」
久隆はぎゅっと抱き締め返し、その温もりに安堵する。
「嫌うわけないでしょ? 久隆が大好きだからヤキモチ妬いちゃったんだ」
「いじけたってこと?」
不思議そうに見上げれば、髪にちゅっとキスをされる。
──いい匂い。
落ち着く。
「あ、片倉くんは?」
気づいた時には咲夜と共に葵も居なくなっていて。聖に用があったハズなのに自分が邪魔をしてしまった。
「さっきまで居たけど、帰ったよ」
「知り合いだったの?」
咲夜の言葉に驚く。
「ううん。友達になった」
意外な展開に更に驚いた。
「ここで立ち話もなんだし、部屋に行こうよ」
咲夜に誘われるまま、自室に向かいながら、
「週末、交流会で外泊なんだ」
と告げる。
「大里も一緒なの?」
「うん」
「じゃあ、俺も行く」
それは、更なる快楽の始まりであったのだ。
**・**
“これ、お土産”と言って渡した可愛いラッピングのお菓子は、隣の部屋のテーブルの上。
「久隆、どうしたの? 甘えん坊?」
久隆はベッドの端に腰かける咲夜にぎゅっと抱きついて、その膝の上に子供のように座っていた。離れたくないと言うように。咲夜は久隆が滑り落ちないように腰の後ろで両手を繋いでいた。
「咲夜ぁ……」
「可愛い」
──エッチしたいよぉ。
咲夜にくちゅくちゅされたい。
どうにもならない疼きと欲情から解放してくれるのは咲夜しかいないことを知った。聖にたくさんしてもらった筈なのに身体が熱い。
『運命の相手ってなあに?』
咲夜から大崎家と姫川家の男児(男性)は代々惹かれ合う運命なのだと教えられた。父も兄もそうなのだと知って疑いはしていないが、よくわからない。
咲夜に触れた時から身体が変調をきたした事実があるだけ。今自分に理解できる事はそれだけである。
「ほんと、可愛い」
むぎゅっと抱きついている久隆を優しく見つめる瞳。それをじっと見つめ返すとドキドキした。少しずつおかしくなっていく自分がいる。
「どうしたの? そんな顔して」
自分がどんな顔して咲夜を見ているのかなんてわからない。なんて言えば”その気”になってくれるのか。そればかり考えている。
「言いたいことがあるなら言って?」
耳元で囁かれ、ビクンと心が跳ねた。
「ん?」
それだけなら良かったのだが、期待で久隆自身に熱が集まり始めていた。それが咲夜に触れてしまっている。二人の間で硬さを増すそれに咲夜が気づいた。
「しょうがないなぁ」
咲夜は嬉しそうに笑うと久隆をベッドの中央に引き揚げ、寝かせる。久隆はドキドキしながら覆い被さる咲夜を見上げていた。
「可愛いすぎて、どうしていいかわからないよ」
咲夜はそう言うとそっと久隆に口づける。
「可哀想に、俺じゃなくちゃ満足できなくなっちゃったんだね」
言葉とは裏腹に咲夜は極上の笑みを浮かべたのだった。
久隆は知らなかったのだ。
収まらない身体の疼きはむしろ……運命の相手以外との性交が原因なことに。
運命の相手が齎す安堵は、それ以外の者と交わることで枯渇する。満たせるのは運命の相手だけ。
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