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2話『放たれた快感の扉』
3 自問自答【微R】
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****♡side・久隆
「久隆、可愛い」
こんなのいつもの自分ではない。感度が悪くて、いつ聖にそっぽ向かれるかわからずに不安でいたのに。感じない自分は聖のこと好きじゃないのかも知れないと思っていた。ただ一方的に愛されたいだけなのだと。
目の前の彼が怖かった。開けてはいけない扉を開けようとしている。
それは力づくというわけでもなく自然にゆっくりと。
「ねえ、恋人のこと好き?」
咲夜の質問に久隆は即答できずに瞳を揺らし、彼を見上げていた。
快感を与えてくれるのは紛れもなく彼で。
けれども今、自分が抱き締めて欲しいと願う相手は聖なのだ。
自分は気が多い人間なのだろうか? わからなくなる。
つまり、どっちも欲しいのだ。
「久隆はさ、ホントは甘えたいんだよね?」
「甘えたい?」
「恋人に甘えたいんでしょ? でも我慢してるうちに我慢することが当たり前になって。俺なら、いつだって傍にいてあげるのに」
──聖だから甘えたいのか?
恋人だから甘えたいのか?
「久隆が選べばいいよ」
「え?」
てっきり”自分にしておきなよ”と言われるのかと思っていたので拍子抜けしてしまう。
「俺は、久隆に好かれたい」
逢って数時間の彼。何故たったそれだけの時間でそんな風に思えるのか。久隆には分からなくてじっと彼を見つめる。
「久隆は知らないんだね”言い伝え”のこと」
「なあに? それ」
”今は時間がないから、あとで”
彼はそう言うとベッドのサイドにあるスピーカーに手を伸ばす。
「この曲、俺も好きだよ」
そういって再生をクリックする綺麗な彼を見つめていた。流れ出す”What lovers Do”。再び肌を滑る彼の手に久隆は甘い声をあげる。
「初めては彼氏に譲ってあげるよ」
久隆には言われている意味が分からなかった。性交自体は初めてではない。
「でも、キスは俺が貰うから」
「んんんッ」
唇を奪われ、歯を割って入ってくる舌。
──きもちい……
彼に触れられただけで、理性を失って何も考えられなくなる自分が居た。
思わずもっとと言うように、夢中で舌を絡める久隆。
「時間だよ」
すっと離れる彼を名残惜しそうに見つめていると、部屋のドアが少し乱暴に叩かれたのだった。
**・**
久隆は隣の部屋に行ってしまった咲夜をぼんやりと見ていた。部屋の入り口から話し声が聞こえるが、音楽のせいで何を話しているのかまでは分からない。
それよりも身体が熱くてたまらない。
──気持ちいいことしたい。
触りたい。
久隆はもぞっと体勢を変える。
その時だった。
「ふあッ?!」
突然後ろから髪を撫でられ久隆は驚く。
振り返れば聖がベッドサイドに腰掛けるところで。
「聖」
「大丈夫か?」
身体をひねり、心配そうに髪を撫でる手。
「ぎゅってして」
自分でも信じられないくらいに自然に甘えた声が出てしまい驚くが、聖はそれ以上に驚いたように見えた。隣に潜り込んで久隆を抱き締める彼。
「あッ」
正面から抱きあったのがいけなかったのか、聖に異変に気付かれてしまった。
「これ、どうしたんだよ。何かされたのか?」
「やあッんッ」
「?!」
熱の集まるそこを聖に撫でられ、甘ったるい声が漏れる。
頭上で流れる”What lovers Do”。可愛らしい歌声が、まるで甘えなよとでも言っているように聴こえて久隆は上目遣いで聖を見つめた。
「誘ってる?」
「んんッ」
聖に口づけられてぎゅっとしがみつく。
「可愛い」
「はあッん」
「エッチしようか、久隆」
聖の誘いに久隆はチラっと隣の部屋に視線を送った。
「大丈夫、あの子ならリビングに行ったから」
わき腹を撫で上げられ小さく声をあげる。
驚くほど身体が反応し、脈拍が上がっていくのを感じた。期待しているのだ、これから与えられるだろう快感に。
久隆は何度も口づけられて目を閉じる。
「聖ッ」
「好きだよ」
「もっと、一緒に居たいよ」
「!」
久隆が素直に願を口にしたことに彼は驚いたようだった。
「久隆、可愛い」
こんなのいつもの自分ではない。感度が悪くて、いつ聖にそっぽ向かれるかわからずに不安でいたのに。感じない自分は聖のこと好きじゃないのかも知れないと思っていた。ただ一方的に愛されたいだけなのだと。
目の前の彼が怖かった。開けてはいけない扉を開けようとしている。
それは力づくというわけでもなく自然にゆっくりと。
「ねえ、恋人のこと好き?」
咲夜の質問に久隆は即答できずに瞳を揺らし、彼を見上げていた。
快感を与えてくれるのは紛れもなく彼で。
けれども今、自分が抱き締めて欲しいと願う相手は聖なのだ。
自分は気が多い人間なのだろうか? わからなくなる。
つまり、どっちも欲しいのだ。
「久隆はさ、ホントは甘えたいんだよね?」
「甘えたい?」
「恋人に甘えたいんでしょ? でも我慢してるうちに我慢することが当たり前になって。俺なら、いつだって傍にいてあげるのに」
──聖だから甘えたいのか?
恋人だから甘えたいのか?
「久隆が選べばいいよ」
「え?」
てっきり”自分にしておきなよ”と言われるのかと思っていたので拍子抜けしてしまう。
「俺は、久隆に好かれたい」
逢って数時間の彼。何故たったそれだけの時間でそんな風に思えるのか。久隆には分からなくてじっと彼を見つめる。
「久隆は知らないんだね”言い伝え”のこと」
「なあに? それ」
”今は時間がないから、あとで”
彼はそう言うとベッドのサイドにあるスピーカーに手を伸ばす。
「この曲、俺も好きだよ」
そういって再生をクリックする綺麗な彼を見つめていた。流れ出す”What lovers Do”。再び肌を滑る彼の手に久隆は甘い声をあげる。
「初めては彼氏に譲ってあげるよ」
久隆には言われている意味が分からなかった。性交自体は初めてではない。
「でも、キスは俺が貰うから」
「んんんッ」
唇を奪われ、歯を割って入ってくる舌。
──きもちい……
彼に触れられただけで、理性を失って何も考えられなくなる自分が居た。
思わずもっとと言うように、夢中で舌を絡める久隆。
「時間だよ」
すっと離れる彼を名残惜しそうに見つめていると、部屋のドアが少し乱暴に叩かれたのだった。
**・**
久隆は隣の部屋に行ってしまった咲夜をぼんやりと見ていた。部屋の入り口から話し声が聞こえるが、音楽のせいで何を話しているのかまでは分からない。
それよりも身体が熱くてたまらない。
──気持ちいいことしたい。
触りたい。
久隆はもぞっと体勢を変える。
その時だった。
「ふあッ?!」
突然後ろから髪を撫でられ久隆は驚く。
振り返れば聖がベッドサイドに腰掛けるところで。
「聖」
「大丈夫か?」
身体をひねり、心配そうに髪を撫でる手。
「ぎゅってして」
自分でも信じられないくらいに自然に甘えた声が出てしまい驚くが、聖はそれ以上に驚いたように見えた。隣に潜り込んで久隆を抱き締める彼。
「あッ」
正面から抱きあったのがいけなかったのか、聖に異変に気付かれてしまった。
「これ、どうしたんだよ。何かされたのか?」
「やあッんッ」
「?!」
熱の集まるそこを聖に撫でられ、甘ったるい声が漏れる。
頭上で流れる”What lovers Do”。可愛らしい歌声が、まるで甘えなよとでも言っているように聴こえて久隆は上目遣いで聖を見つめた。
「誘ってる?」
「んんッ」
聖に口づけられてぎゅっとしがみつく。
「可愛い」
「はあッん」
「エッチしようか、久隆」
聖の誘いに久隆はチラっと隣の部屋に視線を送った。
「大丈夫、あの子ならリビングに行ったから」
わき腹を撫で上げられ小さく声をあげる。
驚くほど身体が反応し、脈拍が上がっていくのを感じた。期待しているのだ、これから与えられるだろう快感に。
久隆は何度も口づけられて目を閉じる。
「聖ッ」
「好きだよ」
「もっと、一緒に居たいよ」
「!」
久隆が素直に願を口にしたことに彼は驚いたようだった。
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