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2話『放たれた快感の扉』
2 焦る聖と阻む真咲
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****♡side・聖
電話を切り、タクシーに乗り込む。行き先は大崎邸だがとても嫌な予感がした。
久隆は何故急にあんなこと言い出したのか?
その発端がなんだったのか?
仮に寂しいことをずっと我慢していたとしても、このタイミングなのが気になる。
『大崎一族には惹かれあってしまう一族が存在する』
そんな言い伝えがあることを聖は知っていた。まさか、その相手が今度新しく兄弟となる相手ではないだろうなと青ざめた。
もしそうなら悠長に習い事なんてしている場合ではない。何のために強引に久隆を自分と繋げたのかわからなくなってしまう。
大崎邸の門を抜け玄関前でタクシーを降りる。
いつも通り玄関からエントランスに入るといつもと少し様子が違っていた。
「聖さま、今日は」
「久隆に呼ばれて来たんだ」
いつもなら止められることなんてないのに、入り口で従業員に止められてしまう。そして、ここで初めて逢う相手にこんなことを言われてしまうのだ。
「咲夜の邪魔をしないで貰えないかな」
と。
彼が久隆の父の再婚相手なことは想像にかたくなかった。美しい人だ。
「久隆に逢いたいと言われて来たんだ。通して貰えますか?」
「後悔することになると思うけど?」
──どういうことなんだ?
邪魔?
後悔?
聖は彼を押し退け三階の久隆の部屋へ急いだ。胸騒ぎしかしなかった。
自分が知っている情報を整理する。
久隆の父、【大崎奏】にはかつて惹かれ合い、愛し合っていた幼馴染みで恋人がいた。だが彼を狙う女性に騙され、その相手と引き裂かれたと言う。悲しみに暮れていたところ、慰めてくれていた女性に惹かれ婚姻。二子を授かる。
それが圭一と久隆だ。
久隆の父には申し訳ないが聖は久隆がこの世に生まれてきてくれたことに感謝している。
それほどに自分は久隆を愛しているからだ。
そして奏の元恋人は『惹かれ合ってしまう一族の者』である可能性が高い。その相手の一族のこともすでに調べはついている。【姫川家】だ。
そこまで調べて置いてどうして久隆の父の再婚相手のことを調べておかなかったのか。聖はぬかったことを後悔した。
先ほどから頭の中に鳴り響く警告音。
大崎家と姫川家の間に伝わる【運命の相手】の話。互いの匂いを好み、性的な相性も最高によいと言う。
久隆は聖がどんなに丁寧に愛撫しようとも感じている様子はなかった。ただの不感症なら良いが、彼を感じさせることができるのがその相手だけだったとしたら?
もし他の人を好いていたとしても、その相手にとてつもなく惹かれてしまう運命だったなら。
何れ久隆は奪われてしまう。
ここで聖は深く後悔した。
どうして自分たちが恋人関係にあることを話さなかったのかと。もし話していたなら二人を会わせることはしなかったはずだ。
先ほどの彼は『咲夜の邪魔をしないで貰えないかな』と言った。つまりそういうことをしている可能性も高い。
電話口での久隆の甘えた声。
なにがあったのか分からないが、今までの彼からは想像できないことだった。
何かに刺激され、聖を求めたのかもしれない。久隆は塩なことが多いが、倫理道徳観はしっかりしていたはず。恋人意外と性交をしたいなんて思わないはず。
──頼むから、間に合ってくれ。
聖は螺旋階段を駆け上がり、久隆の部屋を目指す。こんな時ばかりは大崎邸の広さを呪った。
目的の部屋を見つけると乱暴にドアを叩く。
邪魔の意味は理解した。
後悔の意味は……彼らの性交の現場に出くわすことか。
だとしたら、先ほど階下で会った彼には自分が久隆とどんな関係なのかわかっている。もしくは聖が久隆にどんな想いを抱いているのか理解していると言うことになるのだ。
──え? そうなのか?
背中をゾクリと冷たいものが駆け上がる。
つまり彼は初めから久隆に好きな人がいようが恋人がいようが引き裂く気でいるのだ。
我が子のために。
電話を切り、タクシーに乗り込む。行き先は大崎邸だがとても嫌な予感がした。
久隆は何故急にあんなこと言い出したのか?
その発端がなんだったのか?
仮に寂しいことをずっと我慢していたとしても、このタイミングなのが気になる。
『大崎一族には惹かれあってしまう一族が存在する』
そんな言い伝えがあることを聖は知っていた。まさか、その相手が今度新しく兄弟となる相手ではないだろうなと青ざめた。
もしそうなら悠長に習い事なんてしている場合ではない。何のために強引に久隆を自分と繋げたのかわからなくなってしまう。
大崎邸の門を抜け玄関前でタクシーを降りる。
いつも通り玄関からエントランスに入るといつもと少し様子が違っていた。
「聖さま、今日は」
「久隆に呼ばれて来たんだ」
いつもなら止められることなんてないのに、入り口で従業員に止められてしまう。そして、ここで初めて逢う相手にこんなことを言われてしまうのだ。
「咲夜の邪魔をしないで貰えないかな」
と。
彼が久隆の父の再婚相手なことは想像にかたくなかった。美しい人だ。
「久隆に逢いたいと言われて来たんだ。通して貰えますか?」
「後悔することになると思うけど?」
──どういうことなんだ?
邪魔?
後悔?
聖は彼を押し退け三階の久隆の部屋へ急いだ。胸騒ぎしかしなかった。
自分が知っている情報を整理する。
久隆の父、【大崎奏】にはかつて惹かれ合い、愛し合っていた幼馴染みで恋人がいた。だが彼を狙う女性に騙され、その相手と引き裂かれたと言う。悲しみに暮れていたところ、慰めてくれていた女性に惹かれ婚姻。二子を授かる。
それが圭一と久隆だ。
久隆の父には申し訳ないが聖は久隆がこの世に生まれてきてくれたことに感謝している。
それほどに自分は久隆を愛しているからだ。
そして奏の元恋人は『惹かれ合ってしまう一族の者』である可能性が高い。その相手の一族のこともすでに調べはついている。【姫川家】だ。
そこまで調べて置いてどうして久隆の父の再婚相手のことを調べておかなかったのか。聖はぬかったことを後悔した。
先ほどから頭の中に鳴り響く警告音。
大崎家と姫川家の間に伝わる【運命の相手】の話。互いの匂いを好み、性的な相性も最高によいと言う。
久隆は聖がどんなに丁寧に愛撫しようとも感じている様子はなかった。ただの不感症なら良いが、彼を感じさせることができるのがその相手だけだったとしたら?
もし他の人を好いていたとしても、その相手にとてつもなく惹かれてしまう運命だったなら。
何れ久隆は奪われてしまう。
ここで聖は深く後悔した。
どうして自分たちが恋人関係にあることを話さなかったのかと。もし話していたなら二人を会わせることはしなかったはずだ。
先ほどの彼は『咲夜の邪魔をしないで貰えないかな』と言った。つまりそういうことをしている可能性も高い。
電話口での久隆の甘えた声。
なにがあったのか分からないが、今までの彼からは想像できないことだった。
何かに刺激され、聖を求めたのかもしれない。久隆は塩なことが多いが、倫理道徳観はしっかりしていたはず。恋人意外と性交をしたいなんて思わないはず。
──頼むから、間に合ってくれ。
聖は螺旋階段を駆け上がり、久隆の部屋を目指す。こんな時ばかりは大崎邸の広さを呪った。
目的の部屋を見つけると乱暴にドアを叩く。
邪魔の意味は理解した。
後悔の意味は……彼らの性交の現場に出くわすことか。
だとしたら、先ほど階下で会った彼には自分が久隆とどんな関係なのかわかっている。もしくは聖が久隆にどんな想いを抱いているのか理解していると言うことになるのだ。
──え? そうなのか?
背中をゾクリと冷たいものが駆け上がる。
つまり彼は初めから久隆に好きな人がいようが恋人がいようが引き裂く気でいるのだ。
我が子のために。
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