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1話『一つに繋がる糸と運命』
7 運命の相手
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****♡side・久隆
翌日のことだった。まだ気持ちが落ち着かないのに帰宅命令。
「はあ」
ため息をつきながら帰宅すると兄がエントランスで待っていた。怒られるのかと縮こまる久隆に、彼は近づくと徐にその身を抱き締める。
「兄さん?」
「お帰り、心配したよ」
「! ……やっ……子供じゃないよッ」
抱き上げられ、そのままソファーに腰掛ける兄に困惑した。
「不安で帰ってこなかったんだろ?」
兄にはなんでもお見通しなのだろうか?
「兄さん」
その胸に擦り寄ると後頭部をいいこいいこと撫でられる。
「まだ子供だよ、俺に甘えれば良い」
「弟ができるんでしょ?」
「兄は兄だろ」
髪にちゅっと口付けされ、ぎゅっと抱き締められる。
久しぶりの兄の胸の中に安堵を覚えた。
「圭一、久隆」
そこへ父の声。相手が到着したとのことだった。
ドクン……ドクン……
それは突然起きた。
思わず心臓の辺りを押さえる。
──なにこれ……
久隆は兄の膝を降りエントランスの中央に向かう。心臓が高鳴っていく。何故そうなるのか分からなかった。胸騒ぎのようななんだか落ち着かない感じがして戸惑う。
「!」
──あ……
そしてその波はやってきた。彼と共に。
「こんにちは、久隆くん。咲夜、挨拶して」
父の婚姻相手である真咲はニコッと微笑んで後ろにいた少年を前に押し出す。綺麗な子だった。それよりも香りが……。
「はじめまして」
彼の極上の笑みに目を奪われていると耳元で、
「俺の運命の人」
と囁かれる。
「運命?」
「そうだよ、君は俺のものだよ。ね、義兄さん」
ドクン……ドクン
「君だって、運命感じているんでしょ?」
彼の良い匂いが久隆に中の何かを狂わせてゆく。
「咲夜、甘えん坊だから。仲良くしてあげてね」
真咲に言われハッとなる。久隆は頷くのがやっとだった。
**・**
「あ……えっと」
咲夜が一人部屋を嫌がったので仕方なく自室に連れていったのだが、べったりでどうしていいのか戸惑う。
「俺、久隆に一目ぼれしちゃったんだ」
綺麗な子に言われたからか、それとも咲夜だからなのか?
頬が赤くなるのを感じていた。
良い匂い……
「ねえ、久隆。ハグしてあげようか?」
「え?」
「だって、久隆なんか寒そう」
ベッドの端に腰掛けていた久隆の膝の上に頭をのせ腕を腰に巻きつけてた咲夜は起き上がると、久隆を押し倒した。
「咲……」
「久隆、ねえ俺のこと好きになってよ」
さっき逢ったばかりなのに。
甘えるように折り重なると久隆の胸に頬をつける。まるで心臓の音でも聞こうとするかのように。
「ふふ……襲われると思った?」
「うん」
久隆は胸の上に頭を乗せる咲夜の頭を優しく撫でる。
「今はしないよ」
「今は?」
「だって、嫌われたくないもの」
彼の絹のような髪を撫でていると不思議な安らぎがあった。
「久隆、眠たいの?」
なんだか急に睡魔が襲ってくる、きっとこの良い香りのせいだと思った。
咲夜は久隆の上から降りると彼を抱き上げ、ベッドに対し平行に寝かし隣に寝転んだ。
「咲夜?」
「何もしないよ、一緒にお昼寝しよう」
「ん……」
久隆はそのまま眠りに落ちていく。
「久隆、可愛い」
翌日のことだった。まだ気持ちが落ち着かないのに帰宅命令。
「はあ」
ため息をつきながら帰宅すると兄がエントランスで待っていた。怒られるのかと縮こまる久隆に、彼は近づくと徐にその身を抱き締める。
「兄さん?」
「お帰り、心配したよ」
「! ……やっ……子供じゃないよッ」
抱き上げられ、そのままソファーに腰掛ける兄に困惑した。
「不安で帰ってこなかったんだろ?」
兄にはなんでもお見通しなのだろうか?
「兄さん」
その胸に擦り寄ると後頭部をいいこいいこと撫でられる。
「まだ子供だよ、俺に甘えれば良い」
「弟ができるんでしょ?」
「兄は兄だろ」
髪にちゅっと口付けされ、ぎゅっと抱き締められる。
久しぶりの兄の胸の中に安堵を覚えた。
「圭一、久隆」
そこへ父の声。相手が到着したとのことだった。
ドクン……ドクン……
それは突然起きた。
思わず心臓の辺りを押さえる。
──なにこれ……
久隆は兄の膝を降りエントランスの中央に向かう。心臓が高鳴っていく。何故そうなるのか分からなかった。胸騒ぎのようななんだか落ち着かない感じがして戸惑う。
「!」
──あ……
そしてその波はやってきた。彼と共に。
「こんにちは、久隆くん。咲夜、挨拶して」
父の婚姻相手である真咲はニコッと微笑んで後ろにいた少年を前に押し出す。綺麗な子だった。それよりも香りが……。
「はじめまして」
彼の極上の笑みに目を奪われていると耳元で、
「俺の運命の人」
と囁かれる。
「運命?」
「そうだよ、君は俺のものだよ。ね、義兄さん」
ドクン……ドクン
「君だって、運命感じているんでしょ?」
彼の良い匂いが久隆に中の何かを狂わせてゆく。
「咲夜、甘えん坊だから。仲良くしてあげてね」
真咲に言われハッとなる。久隆は頷くのがやっとだった。
**・**
「あ……えっと」
咲夜が一人部屋を嫌がったので仕方なく自室に連れていったのだが、べったりでどうしていいのか戸惑う。
「俺、久隆に一目ぼれしちゃったんだ」
綺麗な子に言われたからか、それとも咲夜だからなのか?
頬が赤くなるのを感じていた。
良い匂い……
「ねえ、久隆。ハグしてあげようか?」
「え?」
「だって、久隆なんか寒そう」
ベッドの端に腰掛けていた久隆の膝の上に頭をのせ腕を腰に巻きつけてた咲夜は起き上がると、久隆を押し倒した。
「咲……」
「久隆、ねえ俺のこと好きになってよ」
さっき逢ったばかりなのに。
甘えるように折り重なると久隆の胸に頬をつける。まるで心臓の音でも聞こうとするかのように。
「ふふ……襲われると思った?」
「うん」
久隆は胸の上に頭を乗せる咲夜の頭を優しく撫でる。
「今はしないよ」
「今は?」
「だって、嫌われたくないもの」
彼の絹のような髪を撫でていると不思議な安らぎがあった。
「久隆、眠たいの?」
なんだか急に睡魔が襲ってくる、きっとこの良い香りのせいだと思った。
咲夜は久隆の上から降りると彼を抱き上げ、ベッドに対し平行に寝かし隣に寝転んだ。
「咲夜?」
「何もしないよ、一緒にお昼寝しよう」
「ん……」
久隆はそのまま眠りに落ちていく。
「久隆、可愛い」
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