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2022’8

華燭の檻 (短編)

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響 蒼華 様作

【あらすじ引用】
意に染まない政略結婚の末、孤独な籠の鳥となった依子。
夫の心は妻にはなく、使用人達は誰も彼女を女主人と認める事なく。
心許す事の出来る者ない日々を送る中、ある日ふと芽生えた反抗心のままに隠された指籠と呼ばれる牢を見つける。

【作風や読む前の感想などについて】
 時代らしさを感じさせる表現がふんだんに使われており、ストーリーは悲しい始まりをするものであるにも関わらず、美しく可憐でロマンチックである。
 タグにはハッピーエンドとあり、あらすじには不幸な境遇から始まっていく短編なのでどのような経緯でハッピーエンドとなるのか想像がつかない。
 あやかしもので鬼とある。どんな生き物にも良い悪いがあり、人間の全てが良い人でないように鬼にも良い鬼がいるのかもしれない。
 
 ここでハッピーエンドの方向性はいくつか想像できる。
 主人公が夫と幸せになるルートや主人公が自由になるルート。もしくは真に愛する人を見つけ駆け落ちするなど。
 この物語では一体どんな結末が待ち受けているのだろうか?

【物語は】
 ある印象的な一文から始まっていく。
 これは読者への問いかけでもあると思う。
 四ページにて四部構成になっていると思われる。これだけの構成で急展開を迎えられるという流れも素晴らしいと思える作品だ。
 あなたなら主人公の未来をどう想像するだろうか?

【愛のカタチ】
 この作品で注目すべきは、その愛の形である。
 色んな形の愛が出てくるが、主人公は少なくとも物語開始時には夫から愛されているとは言えない状況にあった。これについては後に詳しく明かされていく。
 政略結婚であり、年が離れすぎているから仕方がないと思ってしまうが、それにはちゃんと理由があるのだ。そこがこの物語の必然性でもあり、ラストに驚く展開が待ち受けている点でもある。
 温度差がハッピーエンドを際立たせており、やっとたどり着いた幸せの形なのだとも言える。これは純愛と言っていいのではないだろうか?

【物語の見どころ】
 時代らしさを醸し出しており、とてもロマンチックに感じるところと、伏線回収の仕方がかなり鮮やかである。色んな事が繋がると、主人公がこの人生においてこんな道を辿ったことは運命なのかも知れないと思ったりもする。
 そしてかなりハラハラドキドキする部分もある。
 構成が巧いため、そのこともあり主人公を応援したくなる物語だ。
 意外なラストを迎え、読了後には幸せな気持ちになるかもしれない。
 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
 主人公の行く先をぜひその目でぜひ確かめてみてくださいね。お奨めです。
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