262 / 305
2022’7
夢屋
しおりを挟む
蝦夷縞りす様作
【あらすじ引用】
飄々と、どこか人を食ったような雰囲気のその男。
無精ひげを生やし濃紺の着流しに草履履き。着流しの上、肩から掛けた黒い印半纏。両襟の中ほどに達筆かつ情緒あふれる白文字でこう記されている。
夢屋、と。
ありきたりな街でごく普通の日常を繰り返す十七歳の麻衣子。
『夢屋』を名乗る男が売る夢の小瓶に魅せられたことで、麻衣子の日常は崩れていく。
少し不思議な、夢を売る男と、麻衣子の心の物語。
【物語は】
いつもの街でいつもと同じような日々を過ごす少女のモノローグから始まっていく。彼女は”変らない毎日”を好んでおり、この日もきっと同じ日常を送るはずだったのだろう。そんな彼女の目に留まったのは”夢屋”の文字だった。
好奇心の赴くまま男に近づいていくのだが……。
【主人公と街並み】
ノスタルジックな街並みを思い浮かべてしまう。
しかし”いつもの”に違和感を覚え始める。
ジャンルはファンタジーであり、タグには現代ファンタジーとある。現代が舞台であるのだろうと想像するが、読み進めていくと”おや?”と思う会話に遭遇する。
”夢”の部分がファンタジーだと思っていたが、もしかしたら違うのかもしれないと。
主人公の言葉に、夢屋の男は”そうかい”としか言わないので、その違和感は解消されぬまま展開されていく。恐らくどこかでその謎は明かされるのだろうが、とてもミステリアスだ。
【夢屋と真実】
この不思議な男がどこからやってきて、何処へ向かうのか明らかにはされていない。しかし男の言うことを信じるならば、主人公次第なのだろう。
文中には、どちらにも取れる言い回しがあるため別の可能性も考えられる。
夢屋に出逢うまでにも伏線と感じる部分は多いが、あることをきっかけにして、何故主人公がこの街にいるのか? この街はなんなのか? 明かされていく。
徐々に雰囲気が変わっていく作品である。
【物語の見どころ】
冒頭の方から、恐らく伏線がちりばめられている。
ラストはタグにもある通りハッピーエンドとはなるが、彼女の心の変化に焦点があてられた物語だと思う。
この状況になるまでに何があったのかは後半の方で分かるが、
彼女が望んだことはなんだったのか?
どうすれば良かったのか?
そんなことも考えさせられる。
この物語を読んで、”自分自身と向き合い、他人と本音で話せば未来が変わっていく”というメッセージを感じた。
思っていることは伝えて初めて意味がある。自分一人で他人の気持ちを決めつけても、何も伝わらないということ。
主人公は既にそのことに気づき、このままではいけないと思っていたに違いない。
自分が変わらなければ、何も変わることはないということに改めて気づかされる物語です。あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
純文学が好きな方にもおすすめしたい物語です。
あなたならこの物語の先をどう想像するだろうか?
お奨めです。
【あらすじ引用】
飄々と、どこか人を食ったような雰囲気のその男。
無精ひげを生やし濃紺の着流しに草履履き。着流しの上、肩から掛けた黒い印半纏。両襟の中ほどに達筆かつ情緒あふれる白文字でこう記されている。
夢屋、と。
ありきたりな街でごく普通の日常を繰り返す十七歳の麻衣子。
『夢屋』を名乗る男が売る夢の小瓶に魅せられたことで、麻衣子の日常は崩れていく。
少し不思議な、夢を売る男と、麻衣子の心の物語。
【物語は】
いつもの街でいつもと同じような日々を過ごす少女のモノローグから始まっていく。彼女は”変らない毎日”を好んでおり、この日もきっと同じ日常を送るはずだったのだろう。そんな彼女の目に留まったのは”夢屋”の文字だった。
好奇心の赴くまま男に近づいていくのだが……。
【主人公と街並み】
ノスタルジックな街並みを思い浮かべてしまう。
しかし”いつもの”に違和感を覚え始める。
ジャンルはファンタジーであり、タグには現代ファンタジーとある。現代が舞台であるのだろうと想像するが、読み進めていくと”おや?”と思う会話に遭遇する。
”夢”の部分がファンタジーだと思っていたが、もしかしたら違うのかもしれないと。
主人公の言葉に、夢屋の男は”そうかい”としか言わないので、その違和感は解消されぬまま展開されていく。恐らくどこかでその謎は明かされるのだろうが、とてもミステリアスだ。
【夢屋と真実】
この不思議な男がどこからやってきて、何処へ向かうのか明らかにはされていない。しかし男の言うことを信じるならば、主人公次第なのだろう。
文中には、どちらにも取れる言い回しがあるため別の可能性も考えられる。
夢屋に出逢うまでにも伏線と感じる部分は多いが、あることをきっかけにして、何故主人公がこの街にいるのか? この街はなんなのか? 明かされていく。
徐々に雰囲気が変わっていく作品である。
【物語の見どころ】
冒頭の方から、恐らく伏線がちりばめられている。
ラストはタグにもある通りハッピーエンドとはなるが、彼女の心の変化に焦点があてられた物語だと思う。
この状況になるまでに何があったのかは後半の方で分かるが、
彼女が望んだことはなんだったのか?
どうすれば良かったのか?
そんなことも考えさせられる。
この物語を読んで、”自分自身と向き合い、他人と本音で話せば未来が変わっていく”というメッセージを感じた。
思っていることは伝えて初めて意味がある。自分一人で他人の気持ちを決めつけても、何も伝わらないということ。
主人公は既にそのことに気づき、このままではいけないと思っていたに違いない。
自分が変わらなければ、何も変わることはないということに改めて気づかされる物語です。あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
純文学が好きな方にもおすすめしたい物語です。
あなたならこの物語の先をどう想像するだろうか?
お奨めです。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
※「Amnesia」は医学用語で、一般的には「記憶喪失」のことを指します。
小説執筆マニュアル
百々 五十六
エッセイ・ノンフィクション
書き溜めた小説のアイディアを実際に小説に起こすときに、分かりやすく、すぐに書けるようマニュアルとして残しておくための保管庫としての設定資料集です。
この小説を実際に読んでみたいなどの感想をお待ちしています。
クルマでソロキャンプ🏕
アーエル
エッセイ・ノンフィクション
日常の柵(しがらみ)から離れて過ごすキャンプ。
仲間で
家族で
恋人で
そして……ひとりで
誰にも気兼ねなく
それでいて「不便を感じない」キャンプを楽しむ
「普通ではない」私の
ゆるりとしたリアル(離れした)キャンプ記録です。
他社でも公開☆
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる