228 / 305
2021’12
呪われし不老の旅人、世界を癒す。
しおりを挟む
Edy 様作
あらすじ引用
魔法や悪魔や吸血鬼などがおとぎ話の中だけだと信じられている中世の地球によく似た世界、呪われて不老になったギルという青年がいた。
ギルは年老いたサムをからかう。
「しわだらけじゃないか」
年老いたサムは笑い飛ばした。
「このしわの一本一本が儂の生きた証。羨ましいだろう?」
「そうだな。私には高望みすぎる夢かもしれない。羨ましいよ」
「諦めたのか?」
「まさか。ひがんでいるだけさ」
その言葉とは裏腹に、ギルの表情はにこやかだ。
ギルは呪い師の言葉を思い出した。
「私を追いかけて来なさい。それが呪いを解く唯一の方法だから」
ギルは旅を続ける。出会い、別れ、時には助け、時には迷う。これはギルに係わった全ての人の物語。
【物語の始まりは】
大聖堂の図書館での一場面から始まっていく。ある本をここに納本することに異を唱える若い助祭と司祭との会話によって、その本がどんな内容のものであるか明かされていく。そこにはギルという人物が、呪い師に呪われて不老になり、呪いをとかせるために100年以上も旅したと記されていた。その真意を探るべく、助祭はその本を読むことを許可されるのであった。そこにはどんなことが描かれているのであろうか?
【登場人物について】
群像劇であり。旅人ギルの視点からではなく、ギルに関わった人物の視点から語られていくようである。
補足〈個人的に調べた用語〉
アルビノ……目と皮膚と毛髪をはじめとした全身(眼皮膚白皮症)、または目のみ(眼白皮症)が、先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質。(web調べ)
【良い点(箇条書き)】
・全体的に描写が美しい。優しい世界観である。
・ランプの元で本をめくっているような、暖かさがありドラマチック。
・確かに旅人が見聞きした物語なのだが、その主人公は旅人ではない為、彼らの切り取った人生の一ページのような印象。
・時間が戻っていくスタイルというのは面白い。
・一つの物語に一つのテーマがあるように感じた。
【物語の感想】
1 木こりと旅人
ここでの主人公となる少年は、強くなって名をあげたいと考えていた。だがそれは、周りから反対されていたようである。後半にて、元戦士だった祖父から語られる話。戦士とは何か。戦争とは何かについて考えさせられる。
戦争は、大義名分があり”国だったり財産だったり人だったり”色んなものを守るという名目で行われるが、それはただの人殺しに過ぎないのだ。
安易に強くなりたいというのは、危険であり将来を考えているとは言えない。主人公は祖父の過去を知り、改めて自分自身を見つめ直す機会を得る。
若いうちはどうしても、自分の世界が全てだと思いがちである。広い視野を得る為にも、先人の話を聞くことが大切であるということを改めて感じた。
2 商人と旅人
この物語は、もしかしたら段々と時間の戻っていくスタイルなのかもしれない。森を舞台に語られていくのは、ある商人の想い。きっとそれは、果たすことが出来なかったのだろう。しかしその想いはちゃんと子に伝わっていく。旅人の位置は決して中心というわけではなく見届けるというものなのかもしれない。しかし確実に関与し、人と人を結んでいるように感じた。
何故旅人が呪われてしまったのか、この時点では分らないが100年以上かけて色んな体験をし、人と関わっていったことは他の人間にとっても幸福をもたらしたのではないだろうか? そんなことを思った。
3 吸血鬼とアルビノの少女と旅人
うっとりとする美しい情景描写によって始まっていく。この物語は全体的に言葉選びが美しく、情景を一つとっても季節や自然を感じる部分が多い。
孤独だった二人が出逢う。長く生き続けるというのは孤独との戦いだと感じた。善行を続けていたからこそ、その中でこのような出会いがあったのではないかと思う。彼らがどんな答えを選んだのかは、ここでは明かされてはいないが幸せな二人の姿が見えるようだ。とても素敵な物語だと感じた。
*3つの物語まで拝読。
【物語全体の見どころ】
どれも感動する物語であり、人の愛情や優しさ。表面上では分らないものなどが語られていく。全体の中から三つの物語を拝読。その中で感じたのが、どれも全く違う物語であるが、人と人との絆だったり関りを大切にしている物語だと感じた。その関係も様々で、血のつながりもあれば同じ種族でない場合もある。そんな彼らのドラマチックな一面を垣間見ることのできる物語であり、旅をしている中で起きた出来事の一部というスタイルである。
どれも温かみを感じる物語。この本を手に取った助祭は、これらを目にし、一体どんな結論を導き出すのだろうか?
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 素敵な物語がたくさん詰まった作品です。お奨めです。
あらすじ引用
魔法や悪魔や吸血鬼などがおとぎ話の中だけだと信じられている中世の地球によく似た世界、呪われて不老になったギルという青年がいた。
ギルは年老いたサムをからかう。
「しわだらけじゃないか」
年老いたサムは笑い飛ばした。
「このしわの一本一本が儂の生きた証。羨ましいだろう?」
「そうだな。私には高望みすぎる夢かもしれない。羨ましいよ」
「諦めたのか?」
「まさか。ひがんでいるだけさ」
その言葉とは裏腹に、ギルの表情はにこやかだ。
ギルは呪い師の言葉を思い出した。
「私を追いかけて来なさい。それが呪いを解く唯一の方法だから」
ギルは旅を続ける。出会い、別れ、時には助け、時には迷う。これはギルに係わった全ての人の物語。
【物語の始まりは】
大聖堂の図書館での一場面から始まっていく。ある本をここに納本することに異を唱える若い助祭と司祭との会話によって、その本がどんな内容のものであるか明かされていく。そこにはギルという人物が、呪い師に呪われて不老になり、呪いをとかせるために100年以上も旅したと記されていた。その真意を探るべく、助祭はその本を読むことを許可されるのであった。そこにはどんなことが描かれているのであろうか?
【登場人物について】
群像劇であり。旅人ギルの視点からではなく、ギルに関わった人物の視点から語られていくようである。
補足〈個人的に調べた用語〉
アルビノ……目と皮膚と毛髪をはじめとした全身(眼皮膚白皮症)、または目のみ(眼白皮症)が、先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質。(web調べ)
【良い点(箇条書き)】
・全体的に描写が美しい。優しい世界観である。
・ランプの元で本をめくっているような、暖かさがありドラマチック。
・確かに旅人が見聞きした物語なのだが、その主人公は旅人ではない為、彼らの切り取った人生の一ページのような印象。
・時間が戻っていくスタイルというのは面白い。
・一つの物語に一つのテーマがあるように感じた。
【物語の感想】
1 木こりと旅人
ここでの主人公となる少年は、強くなって名をあげたいと考えていた。だがそれは、周りから反対されていたようである。後半にて、元戦士だった祖父から語られる話。戦士とは何か。戦争とは何かについて考えさせられる。
戦争は、大義名分があり”国だったり財産だったり人だったり”色んなものを守るという名目で行われるが、それはただの人殺しに過ぎないのだ。
安易に強くなりたいというのは、危険であり将来を考えているとは言えない。主人公は祖父の過去を知り、改めて自分自身を見つめ直す機会を得る。
若いうちはどうしても、自分の世界が全てだと思いがちである。広い視野を得る為にも、先人の話を聞くことが大切であるということを改めて感じた。
2 商人と旅人
この物語は、もしかしたら段々と時間の戻っていくスタイルなのかもしれない。森を舞台に語られていくのは、ある商人の想い。きっとそれは、果たすことが出来なかったのだろう。しかしその想いはちゃんと子に伝わっていく。旅人の位置は決して中心というわけではなく見届けるというものなのかもしれない。しかし確実に関与し、人と人を結んでいるように感じた。
何故旅人が呪われてしまったのか、この時点では分らないが100年以上かけて色んな体験をし、人と関わっていったことは他の人間にとっても幸福をもたらしたのではないだろうか? そんなことを思った。
3 吸血鬼とアルビノの少女と旅人
うっとりとする美しい情景描写によって始まっていく。この物語は全体的に言葉選びが美しく、情景を一つとっても季節や自然を感じる部分が多い。
孤独だった二人が出逢う。長く生き続けるというのは孤独との戦いだと感じた。善行を続けていたからこそ、その中でこのような出会いがあったのではないかと思う。彼らがどんな答えを選んだのかは、ここでは明かされてはいないが幸せな二人の姿が見えるようだ。とても素敵な物語だと感じた。
*3つの物語まで拝読。
【物語全体の見どころ】
どれも感動する物語であり、人の愛情や優しさ。表面上では分らないものなどが語られていく。全体の中から三つの物語を拝読。その中で感じたのが、どれも全く違う物語であるが、人と人との絆だったり関りを大切にしている物語だと感じた。その関係も様々で、血のつながりもあれば同じ種族でない場合もある。そんな彼らのドラマチックな一面を垣間見ることのできる物語であり、旅をしている中で起きた出来事の一部というスタイルである。
どれも温かみを感じる物語。この本を手に取った助祭は、これらを目にし、一体どんな結論を導き出すのだろうか?
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 素敵な物語がたくさん詰まった作品です。お奨めです。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる