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2021’11

ヴェルナスタ特務局の魔法事件簿(略)

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 ~少年は平和のため/生活のため、呪いの美女と土属性の魔法を武器に戦います! 性癖を気にしてたら、やってられません~

司之々 様作

あらすじ引用
第一章
水上都市ヴェルナスタで暮らす少年リヴィオは、ある夜、巨大な魚に手足の生えた怪魚人に襲われる。
一緒に巻き込まれた青年アルマンドの説明にすがって、妙な丸薬を飲むと、その場に金髪碧眼の美女グリゼルダが現れ、巨大な鋼鉄の腕を作り出して怪魚人を撃退する。
アルマンドはヴェルナスタ特務局<赤い頭>の局長だった。
先輩のロゼッタ、その相棒のジャズアルド、リヴィオとグリゼルダの四人は<赤い頭>の魔法士として、事件の首謀者シニョリーナ・メドゥサを退治して夜の平穏を取り戻す。

第二章
リヴィオの友人レナートは、五年前の海難事故で母親と妹を亡くし、心の痛みに苦しんでいた。
それを軍事大国ロセリアの諜報員ザハールにつけ込まれ、破壊工作に利用されてしまう。
擬似的な魔法士となって暴れるレナート、そしてザハールに、リヴィオたちはメドゥサも加えた全員で立ち向かい、辛くも撃退する。

【簡単なあらすじ】
ジャンル:異世界ファンタジー
水上都市で暮らす主人公は、ある仕事の帰りに怪魚人に襲われた。逃げている途中で自称エライメガネ男に遭遇。何とかしてくれるどころか、謎の丸薬を呑む羽目に。それはあるものを犠牲にし、強くなる薬(?)だった。主人公の運命やいかに⁈

【物語の始まりは】
主人公の週に一度の楽しみがなにか? から始まっていく。彼は16歳で同年代よりも小柄な少年。造船所の雑用上がりに、屋台で白身魚の揚あげ物を買い食いするのが彼の楽しみだった。そんな彼が、白身魚の揚げ物に一口目にかぶりついたところで、目の前に怪魚人が立っていた。どうやらこの街に出ると噂になっていた怪魚人らしく、海中にさらわれると攫われた人も怪魚人になるという。慌てて逃げだす主人公。果たして無事逃げ切れるのか?!

【舞台や世界観、方向性】
やたらお腹の空く人たちの出てくる物語。三話の時点では、その理由は分からないが、なにか事情がありそうである。(理由は五話で明かされる)
この物語には魔法士というものがいる。魔法と言えば呪文や魔法陣などにより、決まった何かを発動したり、召喚したりするイメージだがこの物語では想像こそが力に繋がると言っても過言ではない。(詳しくは作中にて)

【主人公と登場人物について】
白身魚の揚げ物が好きだった16歳の主人公は、怪魚人と戦ったことをきっかけに、しばらく白身魚の揚げ物を見たくない状況に。
怪魚人から逃れようと街中を走っていた主人公が出逢ったのは、自称エライメガネ男。警官のような恰好をしているにも関わらず、主人公と共に逃げていく。どうやら戦うのは自分ではなく部下らしいのだが、その部下に嫌われている模様。話しが進むと明かされていくが、彼を嫌っているのはどうやら直属の部下だけではないようである。

【物語について】
自称えらいメガネ男に謎の薬を渡され、あることを犠牲に強くなった(?)主人公。戦うスタイルは肉弾戦ではない様だ。翌日何とか学校へ行くことはできた主人公だったが、いくら食べてもお腹が減り眠気が収まらない。宿屋である自宅へ帰宅すると、一般常識とはかけ離れた格好をした女性がいた。それは昨日戦闘中に出逢った、自称エライメガネ男の彼を嫌っている部下であった。
彼女曰く、”しっかり食べないと死ぬわよ”。これは一体どういうことなのか?   
主人公の身体に起きている異変とは?

局に案内してくれるという彼女について行った先は、ヴェルナスタ特務局、魔法(アルテ)の専門部隊<赤い頭(テスタロッサ)>という所であった。自称エライメガネ男はそこの局長だという。ここで主人公が犠牲にしたあることについて詳しく判明するのである。脳を支配されてしまった主人公。これは天国なのか? 地獄なのか⁈

【良い点(箇条書き)】
・お腹がすく理由が分かると、思わず”食べないと死ぬわよ!”と言っていたアーティスティックスイミング(元シンクロ)を思い出し、同じ運動力(消費エネルギー量)なのかと想像した。
・自分自身が戦うスタイルではないというのは観たことがあるが、自分の理想や煩悩が形になるスタイルは面白く、その原理に納得。
・初めはどうなることと思っていたが、主人公と先輩の間で信頼関係が築かれていく様子が良いなと感じた。
・二章では友人の視点から語られていくが、年相応らしい、無力な自分自身や周りへの葛藤が手に取るように分かり、辛いなと感じた。
・一章を読んでいる時は笑い主体の物語だという印象であったが、人はそれぞれ抱えているものがあり、主人公だけでなく別な人物にもスポットをあてているのがとても良いと感じた。

【備考(補足)】17ページまで拝読。
【見どころ】
一章では、主人公と戦闘で主人公の相棒になる人物(?)、そして先輩がメインになっている。その中で、戦いの仕組みや組織のシステム、国のことなど世界観についてわかって来る。二章になると、友人の視点から主人公の人物像が更に詳しく明かされ、友人の抱えていることも明らかになる。
人とはどんなに仲が良くても、本心が見抜けるわけではない。友人が主人公に対しどんな感情を持っているのか、どんなことを抱えているのか、それは友人の視点でないと分からないと思う。
他人の芝生は青いと言うが、主人公に対し憧れや嫉妬心を抱いてしまう友人は、主人公の大変さは知らない。知らないからこその疎外感もあるだろう。視点の切り替えにより、そういうものを表現できるのは凄いなと感じた。二章のあらすじを読むと、この友人は利用されてしまうことが分かる。そして、どうやら一話での敵が仲間になるようだ。この先の展開は読了部分の時点では分らないが、友人が自分自身の抱えているものとどう向き合い、乗り越えていくのかも見どころの一つだと思われる。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 
この先彼らがどんな怪人に出逢い、また成長していくのか。その目で是非、確かめてみてくださいね。おススメです。
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