上 下
176 / 291
2021’11

希、結ばれる時

しおりを挟む
白羽 凪 様作(師走 暖周)

あらすじ引用

幸せは誰にでも平等じゃないから。
誰かが幸せになる時、別の誰かは必ず不幸になる。

でも。
 
もし、全ての不幸を背負っても、そこに希望があるなら。
私が誰かの希望になれるなら。

私はそうしたい。そう思うんだ。 

*1万文字程度の短編
1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと)
希とはどういう意味なのか調べてみた。
希望、まれ、珍しい、たまにしか起こらないこと。めったにないこと。(web調べ)つまり、奇跡的に結ばれる時なのだろうか? と想像した。タグには恋愛や純文学とある。恋愛的な意味で結ばれることなのだろう。
ここで純文学というのは、 読者の娯楽的興味に媚 (こ) びるのではなく,作者の純粋な芸術意識によって書かれた文学というほどの意味。(web調べ)
どんな作品なのか非常に気になる。

2 物語は(どのように始まっていくのか?)
理想的な思想と現実の差に対し、主人公が不満を吐き出すような描写から始まっていく。そして誰かに呼ばれ、目覚めた場所はスラム。彼には親がおらず、10年ほど前にここに捨てられたらしい。ここでは政府から見捨てられた無法地帯であり、教育が行き届いていない為に犯罪が日常茶飯事のようなところ。彼が唯一所持していたのは名前だけ。ここで暮らすものは、毎日生きるのに必死。彼もまたそのうちの一人なのだろう。

3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。
・テーマや題材
・主人公が託された意図を理解するところ
・彼女の”自分と同じ”という下り。これが何を意味しているのか?
単に名前の意味なのか、それとも。
・主人公が何を選択したのか。繋ぐことに意味があるのだろう。
・一万文字、一日程度で恋愛感情を持たせるのは大変難しいと感じた。
(物語では表現は難しいという意味合い)
・雨と涙に繋がりを持たせているところ。
・タイトルとの繋がり。
・社会問題に触れている。

4 自分が主人公の立場だったら
自責の念に駆られると思う。主人公は、それを乗り越えられたのだから、凄いと思う。この物語では、彼女に重い背景があるがタイトルの”結ばれる時”に重点を置き、その背景の解決に向かうのではなく主人公が”繋ぐ”という方向に向かう物語だ。
だがやはり、自分だったら仕返しなどを考えてしまうだろうな、と思った。彼女に好意を持っていたなのならなおさら。しかしこういう問題は明るみ出たとしても、解決に至らない社会。スラムでなくても社会は荒んでいると感じた。いろいろと考えさせられる物語である。

5 物語のその先を想像して
主人公が繋いだ希望を、今度は子供たちが誰かに繋いでいくのだろうと想像する。
しおりを挟む

処理中です...