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4:幸せの形を探して

1 これは愛情だと言い聞かせて【R】

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****side■裕也ひろや

 俺の腕の中で。
 俺のことだけ感じている君を。

 これは劣情ではない、愛情なのだと自分に言い聞かせる。
 だがそんなこと、無駄なことも分かっている。
 確かに色づく君に、今俺は欲情し自分自身を穿っているのだから。

 内股うちももを両手で押さえつけ、大きく開かれた彼の下肢かしに目をやると、彼自身がびくびくとしていた。触れて扱きあげれば、直ぐに鈴口から何度目かわからない熱を放つだろう。
「ああ……ッ」
 自分も彼も、おかしなほど貪欲に互いを求めていた。
 片手をずらし、彼の睾丸をゆっくりと下から上へと撫であげる。収縮し、手になじんだそれを優しく手のひらで撫でまわせば、理人はぎゅっとシーツを握り締める。絶頂が近いのだろう。

「裕也……ッ」
 彼自身に指を絡め、鈴口の透明な粘液にそっと触れる。指を離せば細く糸を引き、官能的に見えた。
 熱いため息をつき、裕也は理人自身を根元から強く扱きあげる。自分はずっとこうしたかったのだ。飽くほどに彼を抱き、欲望を注ぎ込む。まるで快楽の海に落ちていくように、自分を見失う彼を何度も現実に呼び戻し、愛という名の刻印を刻む。
 その口づけは甘く、囁きは甘美だ。
「あ……ああ……」
 耐えきれなくなった彼が再び鈴口から熱い愛液を放つ。
 裕也はそれを満足げに見つめると、一際強く深く彼の奥に自分自身を穿った。

──最高だな……。


「さすがに、疲れた」
 ぐったりとベッドにうつぶせになる理人。
「裕也は、体力お化けだな」
 こちらを眺めながらクスッと笑った彼が、だらりと腕を伸ばし裕也の太ももを軽く叩く。
 裕也はそんな彼の背中に片手を伸ばし、マッサージしてやる。だいぶ無理させたな、と思いながら。
「何か飲むか?」
「ん……」
 マッサージが気持ちいいのか、目を閉じた理人はウトウトし始めている。軽く体を拭いたとはいえ、情事によってもたらされた汚れは気持ちの良いものではない。
 裕也はベッドから降りると、チラリと静かに音楽の流れるスピーカーに目を向けたが、止めることなく部屋を後にした。

 廊下に出るとキッチンよりも先にバスルームに向かう。
 理人のマンションはあまりものがなく、とても片付いていた。彼が綺麗好きなことは知ってはいたが、一人暮らしをするには広いマンション。これを常に維持しているのかと思うと、頭が下がる思いだ。
 確か理人の家は代々土地持ちで、元々は土地を人に貸して資産を増やしていたが、近年はマンションを建てそこを人に貸すようになったとか。
 このマンションのその中の一つ。少子化の影響なのか、それとも時代の流れに沿ったのかは分からないが。

 自分たちの通うK学園は、親を経営者に持ったり、元々資産家だったりと裕福な家庭が多い。しかしながらもちろん転落してしまう家庭もある。
 K学園はとても変わった学園で、そういった者向けの奨学金制度を独自に取り入れていた。親の失敗のために学業を諦め、安月給で借金を返済することは難しい。だからきちんと卒業させ、就職させる。それがK学園の方針。
 子供が親の負債を背負う必要はないとも考えている。

 K学園の学長はその血筋に、有名なセレブであり大崎グループという巨大な会社のトップである父を持つ。
 K学園に通う親の会社が倒産した時など、その会社の社員をグループ系列の会社の社員として受け入れをした過去も持っていた。
 大崎グループ会長は”人と人の助け合いこそが世の中の発展のカギ”だと信じてやまない人だった。困っている人がいれば迷わず手を差し伸べる。
 その精神は、我が学園の学長へと脈々と受け継がれていた。恐らくそれは、K学園の生徒たちへと影響を及ぼしているに違いない。

 バスタブに湯が張られていることを確認した裕也は、キッチンへ向かったのだった。
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