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4話♡塩対応美人
2 家出少年
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真咲は車に乗り込んでもなお、考え事をしていた。
自分は間違っているのだろうかと。
奏は判断を子供たちに任せようと言う。どうしても決心がつかぬまま、ぼんやりと車外の風景を眺める。すると、奏のスマホが鳴った。
奏はなんだろうと言うように耳にスマホをあてる。
その様子から知り合いではあるが滅多に連絡を取らない相手なのだろうと、予測がつく。
しばらく話を聞いていた奏が突然、
「えええっ!」
と驚きの声をあげ、
「わかりました」
といって通話を切った。
「何かあったの?」
と、問う真咲。
「それが、片倉のところの葵ちゃんがお父さんと喧嘩して家出しちゃったらしいんだ」
と、奏。
「喧嘩?」
「縁談のことらしい。もちろん断るつもりでいたらしいんだけど、何処からか話が漏れて尾ひれがついて伝わったらしくて」
これはいよいよ面倒なことになったな、と真咲は思った。
その予感はすぐに的中する。
「久隆とじゃなきゃイヤだって話しも聞かずに飛びだしたらしい。探さないと」
オロオロする奏。片倉邸はそう遠くない。タクシーに乗るならこの通りに違いないと、真咲は周りに目を走らす。何処に向かっているのか分からないが、見つけるなら何処かへ潜伏する前だ。
「奏! いた」
「どこ!」
会社から車を走らせ十数分。
駅の近くの大通りでキャリーケースに寄り掛かり困った顔をしている小柄な少年。
「あそこ」
社長専属の運転手は真咲の指示で車を停める。
「僕が先に行くよ」
と、奏。
「叱ったり、脅かしちゃだめだよ」
と念の為、真咲は注意を促す。
「うん、わかった」
奏は車からゆっくりと降りると、少年に近づいて行く。
真咲はじっとそれを見守った。
奏が声をかけると初めは警戒していた少年が相手が誰だか気づきホッとした表情を浮かべるのを確認して、真咲も車から降りる。
こんなところで長話をしていては通報されかねない。
真咲は二人に近づくと、
「とりあえず乗りなよ」
と声をかけキャリーケースに手をかける。
「真咲様、わたくしがやりましょう」
トランクにしまおうとしたら、運転席から出てきた運転手が代わりにしまってくれた。
「おいで」
奏は優しく少年に声をかけると、二人で後部座席に乗り込む。
真咲は助手席に乗り込んだ。行き先は大崎邸だ。
どうやら奏は先方と話がついているらしく、大崎邸で彼を預かることにしたらしい。大崎邸には二十名からの住み込みの従業員がいる。設備も旅館やホテルを超えるもので、三階建ての大きくアンティークな屋敷。地下もある。
奏は少年から事情を聞くと、大丈夫だよと頭を撫でたのだった。
自分は間違っているのだろうかと。
奏は判断を子供たちに任せようと言う。どうしても決心がつかぬまま、ぼんやりと車外の風景を眺める。すると、奏のスマホが鳴った。
奏はなんだろうと言うように耳にスマホをあてる。
その様子から知り合いではあるが滅多に連絡を取らない相手なのだろうと、予測がつく。
しばらく話を聞いていた奏が突然、
「えええっ!」
と驚きの声をあげ、
「わかりました」
といって通話を切った。
「何かあったの?」
と、問う真咲。
「それが、片倉のところの葵ちゃんがお父さんと喧嘩して家出しちゃったらしいんだ」
と、奏。
「喧嘩?」
「縁談のことらしい。もちろん断るつもりでいたらしいんだけど、何処からか話が漏れて尾ひれがついて伝わったらしくて」
これはいよいよ面倒なことになったな、と真咲は思った。
その予感はすぐに的中する。
「久隆とじゃなきゃイヤだって話しも聞かずに飛びだしたらしい。探さないと」
オロオロする奏。片倉邸はそう遠くない。タクシーに乗るならこの通りに違いないと、真咲は周りに目を走らす。何処に向かっているのか分からないが、見つけるなら何処かへ潜伏する前だ。
「奏! いた」
「どこ!」
会社から車を走らせ十数分。
駅の近くの大通りでキャリーケースに寄り掛かり困った顔をしている小柄な少年。
「あそこ」
社長専属の運転手は真咲の指示で車を停める。
「僕が先に行くよ」
と、奏。
「叱ったり、脅かしちゃだめだよ」
と念の為、真咲は注意を促す。
「うん、わかった」
奏は車からゆっくりと降りると、少年に近づいて行く。
真咲はじっとそれを見守った。
奏が声をかけると初めは警戒していた少年が相手が誰だか気づきホッとした表情を浮かべるのを確認して、真咲も車から降りる。
こんなところで長話をしていては通報されかねない。
真咲は二人に近づくと、
「とりあえず乗りなよ」
と声をかけキャリーケースに手をかける。
「真咲様、わたくしがやりましょう」
トランクにしまおうとしたら、運転席から出てきた運転手が代わりにしまってくれた。
「おいで」
奏は優しく少年に声をかけると、二人で後部座席に乗り込む。
真咲は助手席に乗り込んだ。行き先は大崎邸だ。
どうやら奏は先方と話がついているらしく、大崎邸で彼を預かることにしたらしい。大崎邸には二十名からの住み込みの従業員がいる。設備も旅館やホテルを超えるもので、三階建ての大きくアンティークな屋敷。地下もある。
奏は少年から事情を聞くと、大丈夫だよと頭を撫でたのだった。
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