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リーマン物語2
────1『お城で舞踏会』
しおりを挟むある日、お城で舞踏会が行われるという通知が城下町の家々に配られました。どうやら王子の結婚相手を選ぶようです。
「アイツと結婚?地獄だな」
継母と二人の義理姉妹は喜んでいましたが、シンデレラはチラシを見るなりそう言ってゴミ箱へ投げ捨てました。
「見てみて、塩田ちゃん!焼肉パーティーですって」
と、継母。塩田は自室の椅子にふんぞり返り、彼に頭からつま先まで舐めるように視線を走らせると、
「それ以上、豚になってどうしたいんだ」
と感想を漏らしました。
「塩田ちゃんひどーい!」
継母はハンカチを噛みしめながら、
「お肉は太らないんだからあ!」
と身体を揺さぶります。
「辞めろ、床が抜ける」
と、そこへ長女がコンビニから帰宅しました。大量のまるごと〇ナナを持って。反対側の手にはやはり、舞踏会の通知を手にしています。
「どうやら、鍛え抜かれたこの身体を、見せるときが来たようだ」
「ナニ言ってんだ、あんた」
と、塩田。
「武闘会だろ?見よ、この腹筋」
「王子と戦う気か?」
ドレスを捲り、割れた腹筋を見せる長女。パンツには”必勝”とプリントされている。
「手加減はしてやるがな」
と、どや顔だ。
「塩田ああああああッ」
カオスになりつつある、シンデレラの部屋へ次女が乱入してきました。
「やかましい」
「ねえ、似合う?」
バナナ柄のドレスを着て。
「ファンシーだな。似合わないこともない」
「どうしよう、王子に結婚して!って言われたら」
次女は役になりきり、ノリノリである。
「言わんだろ、アイツは」
「俺には塩田がいるのでぇ~ごめんねえって言えばいいかな?」
「やめろ、ややこしくなるだろ」
三人はワイワイ言いながらお城へ出かけていきました、シンデレラを残して。
「やっと静かになった、やれやれだな」
塩田は優雅な時間を過ごすことにしたのでした。
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