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リーマン物語1.5

2話*塩田が塩対応な件

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「好きなんだけど、付き合うよね?」
あなたは塩田に告白してみた。

すらっと背が高く、眼鏡男子で顔もイケてるし何より社内最強の男。かっこいいに決まってる。三秒で惚れたし、付き合うしかないよね?
給料がいいかどうかは知らないけど、いつも苦情係りで変なゴリラ集団の飼育をしてる。マジカッコいい。なんで塩眼鏡ってカッコいいんだろう?学園もので言うなら風紀委員長タイプ。ちょっと真面目でクール。塩田の場合はクールを通り越してクレイジーな苦情処理をすると有名だけれど。

「は?」

凄く呆れ顔で。やだカッコいい。そういうの好きなんだよね。塩って最高。しかし、博○の塩ってプリントしてあるネクタイってどうなの?塩アピールなのか、顔面偏差値が高すぎてモテるのをガードするため?それとも趣味?ねえ、教えて。いや、教えろ!

「恋人になろうっていってるんだけど」
「いや、なんで?」

理由聞かれたんだけど?さっきちゃんと好きだからっていったよね?聞いてなかった的な?もう一回いったほうが良い感じ?

「運命感じたから、付き合おう」
あなたは再びアタックしてみた。少し強引に。少しどころじゃないが。
「いや、俺は感じてないが」

なによ、否定しなくたっていいじゃない。絶対彼氏にしてやるわよ。決めたんだから。なる、いや貴様はすでにわたしの彼氏。

「じゃあ、感じて?」
「なにトチ狂ったこといってるんだ」
「感じようよ」

なんだか卑猥である。

****

「とにかく、そういうのは困るから」
「困らないでいいのに」

そういう問題ではない。
塩田に拒否されたところで諦めていたら人生やってられない。

「結婚してるとか?」
「してない」
「じゃあ、いいじゃない」

塩田は少し考えてからそのまま歩き出す。

え?シカト?
いくらなんでもそのパターンは酷くない?

「塩田ー待ってよ」
「仕事だ。俺には仕事がある」
「じゃあ、ついてく」
「どうぞ、ご勝手に」

やだ!なに?!その反応、萌えるんですけど?やっぱりわたしのことちょっとは好きなんじゃ?え、そうだよね?そうに違いないよね?

あなたは少し思い込みが激しかった。そして塩田は意外と優しかったため歩調を合わせてくれた。いつの間にか商品部を抜け苦情係りへ。何だか甘い香りがする。恐らくバナナである。入り口で塩田は板井の小指に躓き華麗にジャンプしたがカウンター前は狭かった為カウンターに激突。
「うっ」
呻き声を漏らす。続いてあなたもテンプレートさながら板井の小指に躓き何故か横から飛び出してきた課長に激突した。
「なに!二連ちゃんとかマジ痛い」
板井は悶絶し、課長はコーヒーをかぶって頭をタオルで拭いていたのだった。

****

「塩田ーその人だれ?お客さん?」
落ち着いたところにバナナマ…もとい電車《でんま》がやってくる。塩田の同僚だ。

あら!恋人アピールタイムね!
ここはどんどんアピールしていかないと。

あなたはとてつもなくポジティブだった。
「塩田の恋人です」
「は?」
塩田、課長、板井が同時に反応したが無理も無い。
「ちょっ!なに?俺というものがありながら」
と、電車。
「は?」
「まて!俺のもんだろ?」
課長も主張した。
「不倫はしていません」
ややこしいことになっているようだ。

「え?塩田って二股?」
あなたは普通に信じた。意外と素直である。
「まてよ!いつから二人は俺の恋人になったんだよ」
「その言い方は、押せばいけるやつ?」
と電車。
「選ぶなら俺だろ、家付き妻つきいい男」
「意味不明なこと言わないでくださいよ」

「これから争奪戦ってこと?でも塩田はわたしのものだし」
「まてまて、俺は誰のものでもない」
さらにややこしいことになった。と、そこへ
「わたしの塩田さんいるー?」
と、マンションの管理人がやってきた。
「貴様のものでもない!」
板井はただひとり、ぽかんとみんなを見上げていたのだった。
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