上 下
14 / 30
リーマン物語1.5

2話*塩田が塩対応な件

しおりを挟む


「好きなんだけど、付き合うよね?」
あなたは塩田に告白してみた。

すらっと背が高く、眼鏡男子で顔もイケてるし何より社内最強の男。かっこいいに決まってる。三秒で惚れたし、付き合うしかないよね?
給料がいいかどうかは知らないけど、いつも苦情係りで変なゴリラ集団の飼育をしてる。マジカッコいい。なんで塩眼鏡ってカッコいいんだろう?学園もので言うなら風紀委員長タイプ。ちょっと真面目でクール。塩田の場合はクールを通り越してクレイジーな苦情処理をすると有名だけれど。

「は?」

凄く呆れ顔で。やだカッコいい。そういうの好きなんだよね。塩って最高。しかし、博○の塩ってプリントしてあるネクタイってどうなの?塩アピールなのか、顔面偏差値が高すぎてモテるのをガードするため?それとも趣味?ねえ、教えて。いや、教えろ!

「恋人になろうっていってるんだけど」
「いや、なんで?」

理由聞かれたんだけど?さっきちゃんと好きだからっていったよね?聞いてなかった的な?もう一回いったほうが良い感じ?

「運命感じたから、付き合おう」
あなたは再びアタックしてみた。少し強引に。少しどころじゃないが。
「いや、俺は感じてないが」

なによ、否定しなくたっていいじゃない。絶対彼氏にしてやるわよ。決めたんだから。なる、いや貴様はすでにわたしの彼氏。

「じゃあ、感じて?」
「なにトチ狂ったこといってるんだ」
「感じようよ」

なんだか卑猥である。

****

「とにかく、そういうのは困るから」
「困らないでいいのに」

そういう問題ではない。
塩田に拒否されたところで諦めていたら人生やってられない。

「結婚してるとか?」
「してない」
「じゃあ、いいじゃない」

塩田は少し考えてからそのまま歩き出す。

え?シカト?
いくらなんでもそのパターンは酷くない?

「塩田ー待ってよ」
「仕事だ。俺には仕事がある」
「じゃあ、ついてく」
「どうぞ、ご勝手に」

やだ!なに?!その反応、萌えるんですけど?やっぱりわたしのことちょっとは好きなんじゃ?え、そうだよね?そうに違いないよね?

あなたは少し思い込みが激しかった。そして塩田は意外と優しかったため歩調を合わせてくれた。いつの間にか商品部を抜け苦情係りへ。何だか甘い香りがする。恐らくバナナである。入り口で塩田は板井の小指に躓き華麗にジャンプしたがカウンター前は狭かった為カウンターに激突。
「うっ」
呻き声を漏らす。続いてあなたもテンプレートさながら板井の小指に躓き何故か横から飛び出してきた課長に激突した。
「なに!二連ちゃんとかマジ痛い」
板井は悶絶し、課長はコーヒーをかぶって頭をタオルで拭いていたのだった。

****

「塩田ーその人だれ?お客さん?」
落ち着いたところにバナナマ…もとい電車《でんま》がやってくる。塩田の同僚だ。

あら!恋人アピールタイムね!
ここはどんどんアピールしていかないと。

あなたはとてつもなくポジティブだった。
「塩田の恋人です」
「は?」
塩田、課長、板井が同時に反応したが無理も無い。
「ちょっ!なに?俺というものがありながら」
と、電車。
「は?」
「まて!俺のもんだろ?」
課長も主張した。
「不倫はしていません」
ややこしいことになっているようだ。

「え?塩田って二股?」
あなたは普通に信じた。意外と素直である。
「まてよ!いつから二人は俺の恋人になったんだよ」
「その言い方は、押せばいけるやつ?」
と電車。
「選ぶなら俺だろ、家付き妻つきいい男」
「意味不明なこと言わないでくださいよ」

「これから争奪戦ってこと?でも塩田はわたしのものだし」
「まてまて、俺は誰のものでもない」
さらにややこしいことになった。と、そこへ
「わたしの塩田さんいるー?」
と、マンションの管理人がやってきた。
「貴様のものでもない!」
板井はただひとり、ぽかんとみんなを見上げていたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

笑い話オリジナルジョーク集

合高なな央
大衆娯楽
気分転換にいいですよ

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

処理中です...