8 / 30
リーマン物語1
【五話・管理人に、こんにちは!】
しおりを挟む
大ジョッキに5杯。まったく酔わなかった塩田は徒歩で帰宅。
ああ、俺の黒バナナ盗まれたんだった。
帰ってのお楽しみ黒バナナは残念ながら大家に強制交換された。
強制交換なんて言葉は聞いたことが無いが。
チクショー! 大家め! 俺の楽しみを。
マンションの入り口から中に入り、郵便箱を開けると
【お前のバナナは頂いた K】
というメッセージカードが入っていた。
Kは管理人のKである。要るのか? こんなメッセージカード! と忌々しそうにポケットに突っ込む。
「塩田さん、遅かったのね!お帰りー」
と陽気な声がエントランスから聞こえてきた。
バナナを奪った怪盗Kである。
ぐぬぬ! 許すまじ! 管理人K
(それはKのつかい方が違う、塩田よ)
「今日は居酒屋に寄ったので」
エレベーターのボタンに触れ、箱が下りてくるのを待つ。一刻も早く立ち去りたかった。何故ならキックをかましたくなるからだ。このバナナ怪盗にオーバーヘッドキックをかましたい! 格闘技の!
(それはサッカーだ)
チン! という音と共にエレベーターのドアが開く。
「バナナバナナバナナ」
イライラしながら階上へ。イライラの仕方がじゃっかんオカシイが。家につくと玄関を開ける。まあ、開けないと入れないわけだが。玄関マットはバナナ型。これは電車に押し付けられたものだ。傘立てもバナナ型だがとてもつかい辛い。途中で湾曲しているためだ。部屋に入ると、バナナ型ソファーが置いてある。あれもこれも電車に押し付けられた代物である。
「まて、俺の家……バナナ多くないか?」
(今頃気付いたのか! 塩田よ)
****
塩田は上着を脱ぐとバナナソファーに身を沈めた。五個のモチモチバナナクッションが気持ちいい。
ふと、先日課長が来たときにバナナクッションを抱えながら言っていたことを思い出す。
『塩田ーお前のバナナくれよー』
『何キチガイなこと言ってるんですか! 奥さんがいるでしょう』
あれは、俺の股間バナナじゃなくてクッションのことだったのかと。下に目をやるとバナナ模様の靴下が目にはいる。誕生日に電車に貰ったものだ。
『塩田! 俺の最高の愛をやる!』
『は?』
あれは、今思えば愛の告白ではなく“最高のバナナ愛”のことだったのだと。気づくのが遅すぎるが。
そこへプルルルーと電話が鳴った。
「え?」
電話はバナナ型。塩田はそのことに今頃気づいたがこれも電車に押しつけられたものである。どうやらファックスだったらしい。
『お前のバナナは頂いた』
と、書いてある。
しつこい管理人からのファックスだ。
まったく……とため息をつき、顔を上げると。
「ぎゃああああああああああああ!」
白の顔パックをした管理人が立っている。
「何、勝手に入ってきてるんですか!」
さすがの塩田も動揺したのだった。
****
「何してるんです? 人の家で」
なんとか落ち着きをとり戻した塩田は管理人に訪ねる。
「え、どう見ても顔パック」
塩田は相手にしないことにした。と、そこへ。
「ゆーたいりだつぅ♡」
(ざ・た○ちかよ!)
と、管理人の後ろから出てきたのは電車である。
「なんでうちにいるんだよ」
「電車に乗り遅れたぁ! 泊めて」
「まて。駅まで送ったよな?」
十分間に合う時間に送ったのに何故乗れなかった? 謎だ。
「トイレに寄ったらパンツ忘れちゃって」
「は?」
どういう状況だ?
「すっぽんぽん派なんだよね」
え? まてまて。駅のトイレにてすっぽんぽんで小を? それ、猥褻物陳列罪にならんのか⁈
「電車に乗ってから気づいて折り返して取りに行ったら終電逃しちゃった」
何故パンツは諦めなかったんだ? 謎が残る。
「泊めるのはいいが、ベッド使えよ。モチモチクッション天国は譲らんぞ」
といって差した先にはバナナ型ベッド。
これも電車に押しつけられた物である。
「えーっ」
「えーじゃない」
バナナベッドにはバナナ模様の掛け布団が被さっておりバナナ型の枕がおいてある。
****
「ちょっと、おトイレ!」
塩田は電車の言葉にイヤな予感がした。
「ちょ! まてこんなところで脱ぐなッ」
塩田が電車を止めようとしたら、何故か止めようとした塩田を管理人が止めた。ややこしい!
「まあまあ」
「まあまあじゃないだろ!」
管理人はド変態なのか?
「バナナを見るチャンスじゃないの」
「そんな、チャンスいらんわ!」
管理人と塩田が押し問答をしている間に電車が戻ってきた。パンイチで。バナナ柄だった。
「バナナがバナナ柄履いてるわよ」
「ややこしい言い方はやめろ!」
電車は二人のことなどお構い無しで持参したパジャマを履いていた。バナナ柄だ。
「バナナ柄がバナナ柄履いてるわよ」
「ややこしいわ!」
管理人と塩田には見向きもせず、電車がベッドに潜り込む。
「バナナが、バナナ柄の上からバナナ柄履いてバナナのベッドでバナナ柄の布団被ったわよ」
「早口言葉みたいな言い方はやめろ」
わけのわからないまま夜は更けていく。
「てか、帰れ」
「えー」
管理人は追い出されたのだった。
ああ、俺の黒バナナ盗まれたんだった。
帰ってのお楽しみ黒バナナは残念ながら大家に強制交換された。
強制交換なんて言葉は聞いたことが無いが。
チクショー! 大家め! 俺の楽しみを。
マンションの入り口から中に入り、郵便箱を開けると
【お前のバナナは頂いた K】
というメッセージカードが入っていた。
Kは管理人のKである。要るのか? こんなメッセージカード! と忌々しそうにポケットに突っ込む。
「塩田さん、遅かったのね!お帰りー」
と陽気な声がエントランスから聞こえてきた。
バナナを奪った怪盗Kである。
ぐぬぬ! 許すまじ! 管理人K
(それはKのつかい方が違う、塩田よ)
「今日は居酒屋に寄ったので」
エレベーターのボタンに触れ、箱が下りてくるのを待つ。一刻も早く立ち去りたかった。何故ならキックをかましたくなるからだ。このバナナ怪盗にオーバーヘッドキックをかましたい! 格闘技の!
(それはサッカーだ)
チン! という音と共にエレベーターのドアが開く。
「バナナバナナバナナ」
イライラしながら階上へ。イライラの仕方がじゃっかんオカシイが。家につくと玄関を開ける。まあ、開けないと入れないわけだが。玄関マットはバナナ型。これは電車に押し付けられたものだ。傘立てもバナナ型だがとてもつかい辛い。途中で湾曲しているためだ。部屋に入ると、バナナ型ソファーが置いてある。あれもこれも電車に押し付けられた代物である。
「まて、俺の家……バナナ多くないか?」
(今頃気付いたのか! 塩田よ)
****
塩田は上着を脱ぐとバナナソファーに身を沈めた。五個のモチモチバナナクッションが気持ちいい。
ふと、先日課長が来たときにバナナクッションを抱えながら言っていたことを思い出す。
『塩田ーお前のバナナくれよー』
『何キチガイなこと言ってるんですか! 奥さんがいるでしょう』
あれは、俺の股間バナナじゃなくてクッションのことだったのかと。下に目をやるとバナナ模様の靴下が目にはいる。誕生日に電車に貰ったものだ。
『塩田! 俺の最高の愛をやる!』
『は?』
あれは、今思えば愛の告白ではなく“最高のバナナ愛”のことだったのだと。気づくのが遅すぎるが。
そこへプルルルーと電話が鳴った。
「え?」
電話はバナナ型。塩田はそのことに今頃気づいたがこれも電車に押しつけられたものである。どうやらファックスだったらしい。
『お前のバナナは頂いた』
と、書いてある。
しつこい管理人からのファックスだ。
まったく……とため息をつき、顔を上げると。
「ぎゃああああああああああああ!」
白の顔パックをした管理人が立っている。
「何、勝手に入ってきてるんですか!」
さすがの塩田も動揺したのだった。
****
「何してるんです? 人の家で」
なんとか落ち着きをとり戻した塩田は管理人に訪ねる。
「え、どう見ても顔パック」
塩田は相手にしないことにした。と、そこへ。
「ゆーたいりだつぅ♡」
(ざ・た○ちかよ!)
と、管理人の後ろから出てきたのは電車である。
「なんでうちにいるんだよ」
「電車に乗り遅れたぁ! 泊めて」
「まて。駅まで送ったよな?」
十分間に合う時間に送ったのに何故乗れなかった? 謎だ。
「トイレに寄ったらパンツ忘れちゃって」
「は?」
どういう状況だ?
「すっぽんぽん派なんだよね」
え? まてまて。駅のトイレにてすっぽんぽんで小を? それ、猥褻物陳列罪にならんのか⁈
「電車に乗ってから気づいて折り返して取りに行ったら終電逃しちゃった」
何故パンツは諦めなかったんだ? 謎が残る。
「泊めるのはいいが、ベッド使えよ。モチモチクッション天国は譲らんぞ」
といって差した先にはバナナ型ベッド。
これも電車に押しつけられた物である。
「えーっ」
「えーじゃない」
バナナベッドにはバナナ模様の掛け布団が被さっておりバナナ型の枕がおいてある。
****
「ちょっと、おトイレ!」
塩田は電車の言葉にイヤな予感がした。
「ちょ! まてこんなところで脱ぐなッ」
塩田が電車を止めようとしたら、何故か止めようとした塩田を管理人が止めた。ややこしい!
「まあまあ」
「まあまあじゃないだろ!」
管理人はド変態なのか?
「バナナを見るチャンスじゃないの」
「そんな、チャンスいらんわ!」
管理人と塩田が押し問答をしている間に電車が戻ってきた。パンイチで。バナナ柄だった。
「バナナがバナナ柄履いてるわよ」
「ややこしい言い方はやめろ!」
電車は二人のことなどお構い無しで持参したパジャマを履いていた。バナナ柄だ。
「バナナ柄がバナナ柄履いてるわよ」
「ややこしいわ!」
管理人と塩田には見向きもせず、電車がベッドに潜り込む。
「バナナが、バナナ柄の上からバナナ柄履いてバナナのベッドでバナナ柄の布団被ったわよ」
「早口言葉みたいな言い方はやめろ」
わけのわからないまま夜は更けていく。
「てか、帰れ」
「えー」
管理人は追い出されたのだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる