R18【同性恋愛】究極純愛♡僕日『happy endには程遠くても』【僕日サブキャラloveスト1】

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━1章【HAPPY ENDには程遠い】━

11-1 愛されたい【R】

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 ****♡side・美崎

 脇腹を撫で上げ鎖骨に吸い付く鶴城が美崎の瞳に映り、
「灯り、消してやるから」
 “もっと乱れて、俺のために”と囁く。

 鶴城が自分に何を求めているのかまったくわからないまま、彼が後ろに手を伸ばし室内の明かりを絞っていくのを美崎は見つめていた。

 ──欲しいもの、全部あげたら
  もっと愛してくれる?

「まこと」
 キスが欲しくて鶴城の背中に手を伸ばす。
「んんッ」
 欲しいものをすぐに与えられ、絞った間接照明の柔らかな光の中で美崎は潤んだ瞳を彼に向けた。身体の奥に確かな彼の情熱を感じながら。
「やんッ」
 美崎は強く腕を引かれて対面騎乗位にさせられ、不安になる。
「腰振って」
「いやッ」
「大丈夫だから、ほら」

 うなじに舌が這い、美崎はビクッと身体を震わせた。身体を駆け抜ける快感。
「んッ……ああ……」
 鶴城の首に両腕を絡ませ腰を上下に動かせば、静かな部屋にプチゅプチゅッと彼のものが美崎の奥に出はいりする卑猥な音が響く。
「ああ……んッ」
 喘ぎ声の間に彼に何度も口づけされ、快楽に落とされていく。
「まこと……慎ッ」
 美崎はうわ言のように、何度も愛しい男の名を呼んだ。
「優也、綺麗だよ」

 ──彼に必死にしがみつくのは、何から振り落とされないためなのだろうか?
  もっと、愛されたい。
  狂気のような、その愛で。

「あああッ」
「前も触ってあげるよ、優也」
「ダメぇッ……」
 首を横に振れば、美崎の潤んだ瞳から涙が転げ落ちた。
「怖くないよ、大丈夫」
「まことぉ……一緒に堕ちて……」
「いいよ、どこまでも堕ちてやる」
「ああああッ」
 激しく突き上げられ、耐え難い激情の波が美崎を襲う。
「一緒にいこう、優也」

 ****

 情事のあと、美崎は気を失うかのように力尽き眠っていた。

 ──この、絶倫男めッ。
  でも好き。
  ああ、末期だ。

 美崎はベッドにうつ伏せになり頬杖をつくと、この自分限定”万年発情期男”を恨めしげに見つめた。恋の病とはいうが、重病人だと自分自身を心のなかで揶揄する。

 シュッとした輪郭、意思の強そうな眉。
 自分を愛しそうに見つめるあの情熱的な瞳。
 筋肉質だけど、ほどよい体型。
 あの声。

「で、なにやってんだ?」
 ついに美崎は、スマホを見つめ何かしている鶴城に不機嫌そうに声をかけた。
「何って、大崎先輩に報告」
「ふーん」
 美崎は上体を起こし、彼がヘッドボードに置いてくれたペットボトルの水を取り上げ、キャップを捻る。

 ──何時だよ。
  お腹すいたなぁ……。
  その前に、シャワーしなきゃな。

「ラブラブになれましたって」
 ぼんやりと考え事をしながらベットボトルの飲み口を口元に充てていたが彼の言葉に美崎は、
「ぶっ!」
 と思わず水を吹いた。
「はぁっ?!」
 鶴城は満面の笑みを浮かべ画面を見せてくるが、
「なっ! なんだよ、これ」
 美崎は添付した写真を見つめ鶴城に抗議した。どうやら美崎が寝ている時に撮ったらしく、ベッドに寝っ転がった鶴城が自分を胸に抱き寄せ、自撮りしている。

「ラブラブ写メ」
「裸……」
「問題ないだろ、どうせ布団被せてるし」
 鶴城はニコニコしているが、そういう問題ではない。どうみてもヤっちゃった後写真だ。言うなればサスペンスの浮気現場の写真のような。
「なんでそうなの…」
「いいだろ! 自慢したいんだからっ。優也は俺のだって」
 美崎はため息をつく。

 ──大崎先輩に自慢して、どーすんの。
 相変わらず、わけわかんない独占欲。

「優也は俺のなんだから……」
「?」
 押し殺した声で鶴城が言うので、思わずそちらに視線を移して美崎はギョッとする。
「な、なんで泣きそうなんだよ⁉」
「うるさい。感極まったんだ。ちくしょー」

 ──なんだ、この猿……。

   **・**

 美崎は脱衣場で一端歩みを止めると、振り返った。
「なんで付いてくるんだよ」
 背後に鶴城。
「一緒に入ろうや」
「え、なんで」
 鶴城の言葉に嫌な顔をしてそう返す。
「ホテルでも一緒に入らないなんて!」
 大袈裟にムンクの叫びの真似をする彼に“こんなヤツだったっけ?”とシラーっと視線を向けた。

 ──鶴城ってもっとさ……。
  ……ヤバい、襲われた記憶しかない。
  そうだ、こんなヤツだよ。
  万年発情期めッ。

「優也ー。な? 入ろう? イチャイチャしようやー」
 ”イチャイチャ……”と、美崎は反復する。

 ──イチャイチャなんかで済むわけなかろう?!
  絶倫男がッ。
  このままヤり殺されるに決まってる。
  俺は、腹が減ったんだッ。
  却下、却下。

「腹減ったから、パス」
「ええええ?!」
 なにその理由、と彼は不服そうだ。
「あ、じゃあさ大崎グループ系列の高級レストラン連れてっちゃる」

 ──な、なんだって!?
  ここから近いとなると……。

 美崎は顎に手をやり、周辺の地図を思い浮かべ、
「ステーキ?!」
 とテンションが上がった。
「そそ、高級ブランド肉食わせちゃる」
「慎、すきーっ」

 美崎は牛肉には目がない。
 その中でもステーキが大好きで人が変わったようにはしゃぐ美崎に、鶴城はニンマリする。

「早く! 肉」
「肉?」
「違った、慎」

 名前すら間違える喜びっぷりに鶴城は困惑した。
 美崎は気にせず、腰に巻いていたタオルを取ると浴室に入っていく。
「優也はそんなにステーキが好きだったのか……」
 鶴城はなんだか複雑な気持ちになっていたのだった。
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