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━1章【HAPPY ENDには程遠い】━
7.5 その訳
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****♡side・鶴城
──え?
『俺のどこが好き?』
美崎に聞かれ鶴城は固まった。
──それって納得いく答えができなかったらアウトってこと?
嘘だろ?
こういう時って、たとえ全部でも全部なんていったら雑と思われるし。
鶴城はてっきり、圭一が美崎の不安も全部取っ払ってくれるものだと思っていた。美崎はただじっと返答を待っている。そんな彼を前に鶴城は返答に困り果てていた。
──なんて返せば正解なんだ?
ここで選択を間違ったら未来はないなんて、そんなのイヤだ。
初めて本気になった相手なのに。
「あのさ」
「ん?」
「優也はそれを聞いてどうするんだ?」
「え?」
鶴城の質問に、今度は美崎の方が考え込む。
優也の好きなところはたくさんある。けれど、ここが好きだからイコール恋愛の好きとは違う気もする。確かに片倉のことは好きだったが、付き合いたいというのとは少し違っていて“守ってあげたい”と感じていた。
だからもどかしい霧島と片倉を見て、なんとかしたいと世話を焼いたりもしたのだ。
「自信が欲しい」
美崎はポツリと答えた。
「鶴城は、片倉の好きなとこはすらすら言えるのに……」
拗ねたように不満を漏らす彼は、とても可愛らしい。
──何がそんなにコンプレックスなんだろう?
俺からしたら優也は充分過ぎるほど美人だし。
スタイルだっていい。
抱き心地だって最高だ。
「俺は優也の性格も容姿も好きだよ」
ダメ元で言ってみる。そこに嘘はない。
「ホントに?」
「じゃなかったら、無理やりにでも自分のものにしたいなんて思わないよ」
彼が瞳を揺らす。恐らくまだ足りない、何かが足りないことをその反応から感じ取った。
──俺がこんなだからダメなのか?
好きに嘘は無い。
だが俺は、優也が片倉と比べる意味を正直ちゃんと理解できていない。
鶴城は自分の想いを言葉にするのが苦手だった。
好きだから触れたい。それは行動に出来ても、うまく言葉に出来ない。
そんな自分はどうしてあげたら彼に自信を持たせてあげることが出来るのだろう?
鶴城は切なくなって彼の頬に触れる。もしこのまま振られてしまったなら、もう彼に触れることは出来なくなってしまうのだろうか。
それでも強引に組み伏せて無理矢理自分の思い通りに……。
自分の気持ちに向き合おうとしてくれている彼に対し、それは自殺行為なのではないかと心の中で首を横に振った。彼の気持ちを無視し、勝手な思い込みで今まで来たことがツケとなっているというのに。
反省したとしても、これ以上は嫌われるかもしれない。
「優也」
「うん?」
「キスしたい」
彼は驚いた顔をしたのち、そっと瞳を閉じた。
彼への愛しさが増し、その身を抱き寄せてゆっくりと唇を重ねた。
想いが伝わることを祈りながら。
「んん……」
──好きだよ。
──え?
『俺のどこが好き?』
美崎に聞かれ鶴城は固まった。
──それって納得いく答えができなかったらアウトってこと?
嘘だろ?
こういう時って、たとえ全部でも全部なんていったら雑と思われるし。
鶴城はてっきり、圭一が美崎の不安も全部取っ払ってくれるものだと思っていた。美崎はただじっと返答を待っている。そんな彼を前に鶴城は返答に困り果てていた。
──なんて返せば正解なんだ?
ここで選択を間違ったら未来はないなんて、そんなのイヤだ。
初めて本気になった相手なのに。
「あのさ」
「ん?」
「優也はそれを聞いてどうするんだ?」
「え?」
鶴城の質問に、今度は美崎の方が考え込む。
優也の好きなところはたくさんある。けれど、ここが好きだからイコール恋愛の好きとは違う気もする。確かに片倉のことは好きだったが、付き合いたいというのとは少し違っていて“守ってあげたい”と感じていた。
だからもどかしい霧島と片倉を見て、なんとかしたいと世話を焼いたりもしたのだ。
「自信が欲しい」
美崎はポツリと答えた。
「鶴城は、片倉の好きなとこはすらすら言えるのに……」
拗ねたように不満を漏らす彼は、とても可愛らしい。
──何がそんなにコンプレックスなんだろう?
俺からしたら優也は充分過ぎるほど美人だし。
スタイルだっていい。
抱き心地だって最高だ。
「俺は優也の性格も容姿も好きだよ」
ダメ元で言ってみる。そこに嘘はない。
「ホントに?」
「じゃなかったら、無理やりにでも自分のものにしたいなんて思わないよ」
彼が瞳を揺らす。恐らくまだ足りない、何かが足りないことをその反応から感じ取った。
──俺がこんなだからダメなのか?
好きに嘘は無い。
だが俺は、優也が片倉と比べる意味を正直ちゃんと理解できていない。
鶴城は自分の想いを言葉にするのが苦手だった。
好きだから触れたい。それは行動に出来ても、うまく言葉に出来ない。
そんな自分はどうしてあげたら彼に自信を持たせてあげることが出来るのだろう?
鶴城は切なくなって彼の頬に触れる。もしこのまま振られてしまったなら、もう彼に触れることは出来なくなってしまうのだろうか。
それでも強引に組み伏せて無理矢理自分の思い通りに……。
自分の気持ちに向き合おうとしてくれている彼に対し、それは自殺行為なのではないかと心の中で首を横に振った。彼の気持ちを無視し、勝手な思い込みで今まで来たことがツケとなっているというのに。
反省したとしても、これ以上は嫌われるかもしれない。
「優也」
「うん?」
「キスしたい」
彼は驚いた顔をしたのち、そっと瞳を閉じた。
彼への愛しさが増し、その身を抱き寄せてゆっくりと唇を重ねた。
想いが伝わることを祈りながら。
「んん……」
──好きだよ。
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