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────7話*彼の導く選択
21・可愛い恋人
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****♡Side・電車(同僚・恋人)
「そもそもバーベキューは何を焼くか知っているの?」
バーベキューで何を焼くか、その定義は定かではないがよく見るのは野菜や肉を串刺しにして焼くものである。もちろん魚が乗っていることもあるし、串刺しにしないこともある。
だが、塩田の好物と言ったら茄子漬と生魚。どう見てもバーベキューと相性がいいとは思えない。
ジェットコースターを乗り終えた二人は飲み物を求め、自販機の前に立っていた。
「色々焼くんだろ、トウモロコシとか」
”うん、塩田は野菜は好きだよね。それ穀物だから主食だろうけど”と思いつつ、
「あと肉だよ?」
と電車が意見すると、
「魚で良いだろ?」
と彼。
「トウモロコシと茄子漬と魚ってこと?」
「茄子漬は外せない」
「それじゃあバーベキューじゃなくてただの焼き魚じゃないの」
「いいだろ、別に」
小銭入れからコインを出そうとする塩田の横からスマホを向ければ、
「さんきゅ」
と言って取り出し口に手を差し入れる彼。
「カフェオレ好きだね」
「飲み慣れてるからな」
”そういう問題?”と思いながら電車は麦茶のペットボトルに口をつける。
「そういう紀夫はバナナミルクじゃなくていいのか?」
「余計喉乾くでしょ」
「紀夫らしからぬ発言だな」
塩田の言葉に”そう?”と笑う電車。
その後、二人は近くのベンチに腰掛け、少し休憩をすることにした。
「デートってさ、何をするんだろうってずっと思っていたけど」
「んー」
隣の塩田は腕をベンチの背もたれにかけ、足を組み空を見上げている。
「常に何かをしなきゃいけないということはなくて、むしろその何もしない時間が心地よい相手であるかを見極めるものなのかなって思った」
電車の話をただ黙って聞いている彼。
一体何を思うのだろうか。
「次を常に考えていなきゃいけないのって疲れるし、純粋に楽しめないでしょ。もちろん、互いに行きたいところが決まっていればいいけれど」
「そうだな」
「日本の場合はお付き合いをしてからデートとなるから合わなくて別れるってことが多いのかなとも思う」
日本は特にデートイコール性交ができると考える男が多い国だと思う。デートとは相手との価値観が合うか合わないかを見極めるものであり、男の性欲を発散するためのものではない。もちろんそれに我慢して合わせる必要もない。
しかしその考え方が一般的なために、デートにありつけない男はたくさんいるのではないだろうか? 特に男女間は。
──女性は合う合わないを見極めたいだけなのに、足を開く覚悟まで強いられるわけだから。仮に好みの相手であっても慎重になるだろうし、簡単にデートなんてしたくないだろうね。
やはり日本はなるべくして結婚しない男女が増えたとしか思えない。男女平等の理念だけが先行し、実際には社会の格差はなくならない。
女性の賃金平均は男性の70%だということを知らない男は、自分の方がデート代を多く又は全額出すことに不満を抱く。不満があるなら女性を求めなければ良い話。そういう男は女性の負うリスクについて何も考えていない自己中心的な人物。どの道、恋愛にも結婚にも向いてはいないだろう。
平等であり公平である恋愛がしたければ、同性を選べばよいだけ。
性欲は愛ではない。ただの動物的な欲望なのだから。それが異性にしか向かないのは自分の問題であって相手には何ら関係ないのだ。
「それに、平等といえどもその平等が公平とは限らないしね。根本的に男女は思想の合わない生き物だと思うよ。それこそ、男女関係なく思想の共有がなされているならまだしも」
「役割があるからなのかな。それを決めるのも結局は人間だけどさ」
彼は飲み終えたペットボトルにキャップを閉め、近くのゴミ箱へ入れる。
おおよそデートでする話とは思えない内容の会話が電車には心地よい。彼はちゃんと自分の考えを話してくれるから。
やはり塩田が大好きだなと思う電車であった。
「そもそもバーベキューは何を焼くか知っているの?」
バーベキューで何を焼くか、その定義は定かではないがよく見るのは野菜や肉を串刺しにして焼くものである。もちろん魚が乗っていることもあるし、串刺しにしないこともある。
だが、塩田の好物と言ったら茄子漬と生魚。どう見てもバーベキューと相性がいいとは思えない。
ジェットコースターを乗り終えた二人は飲み物を求め、自販機の前に立っていた。
「色々焼くんだろ、トウモロコシとか」
”うん、塩田は野菜は好きだよね。それ穀物だから主食だろうけど”と思いつつ、
「あと肉だよ?」
と電車が意見すると、
「魚で良いだろ?」
と彼。
「トウモロコシと茄子漬と魚ってこと?」
「茄子漬は外せない」
「それじゃあバーベキューじゃなくてただの焼き魚じゃないの」
「いいだろ、別に」
小銭入れからコインを出そうとする塩田の横からスマホを向ければ、
「さんきゅ」
と言って取り出し口に手を差し入れる彼。
「カフェオレ好きだね」
「飲み慣れてるからな」
”そういう問題?”と思いながら電車は麦茶のペットボトルに口をつける。
「そういう紀夫はバナナミルクじゃなくていいのか?」
「余計喉乾くでしょ」
「紀夫らしからぬ発言だな」
塩田の言葉に”そう?”と笑う電車。
その後、二人は近くのベンチに腰掛け、少し休憩をすることにした。
「デートってさ、何をするんだろうってずっと思っていたけど」
「んー」
隣の塩田は腕をベンチの背もたれにかけ、足を組み空を見上げている。
「常に何かをしなきゃいけないということはなくて、むしろその何もしない時間が心地よい相手であるかを見極めるものなのかなって思った」
電車の話をただ黙って聞いている彼。
一体何を思うのだろうか。
「次を常に考えていなきゃいけないのって疲れるし、純粋に楽しめないでしょ。もちろん、互いに行きたいところが決まっていればいいけれど」
「そうだな」
「日本の場合はお付き合いをしてからデートとなるから合わなくて別れるってことが多いのかなとも思う」
日本は特にデートイコール性交ができると考える男が多い国だと思う。デートとは相手との価値観が合うか合わないかを見極めるものであり、男の性欲を発散するためのものではない。もちろんそれに我慢して合わせる必要もない。
しかしその考え方が一般的なために、デートにありつけない男はたくさんいるのではないだろうか? 特に男女間は。
──女性は合う合わないを見極めたいだけなのに、足を開く覚悟まで強いられるわけだから。仮に好みの相手であっても慎重になるだろうし、簡単にデートなんてしたくないだろうね。
やはり日本はなるべくして結婚しない男女が増えたとしか思えない。男女平等の理念だけが先行し、実際には社会の格差はなくならない。
女性の賃金平均は男性の70%だということを知らない男は、自分の方がデート代を多く又は全額出すことに不満を抱く。不満があるなら女性を求めなければ良い話。そういう男は女性の負うリスクについて何も考えていない自己中心的な人物。どの道、恋愛にも結婚にも向いてはいないだろう。
平等であり公平である恋愛がしたければ、同性を選べばよいだけ。
性欲は愛ではない。ただの動物的な欲望なのだから。それが異性にしか向かないのは自分の問題であって相手には何ら関係ないのだ。
「それに、平等といえどもその平等が公平とは限らないしね。根本的に男女は思想の合わない生き物だと思うよ。それこそ、男女関係なく思想の共有がなされているならまだしも」
「役割があるからなのかな。それを決めるのも結局は人間だけどさ」
彼は飲み終えたペットボトルにキャップを閉め、近くのゴミ箱へ入れる。
おおよそデートでする話とは思えない内容の会話が電車には心地よい。彼はちゃんと自分の考えを話してくれるから。
やはり塩田が大好きだなと思う電車であった。
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