上 下
151 / 218
────6話*狂いだした歯車と動き出す運命

9・泣いている君を【R】

しおりを挟む
****♡Side・電車でんま(同僚・恋人)

「ねえ、塩田」
 マンションに着くといつも通り、先に風呂へ向かった。
 湯船に浸かりながら彼の話を聞き終えた電車でんまは、塩田の頬を撫でながら彼に語り掛ける。
「塩田がどんなに課長の気持ちを否定しても、なかったことにはならないんだよ?」
「わかってる」
「課長が塩田を好きじゃなかったことにはならない」
「わかってるよ。じゃあ、紀夫は板井が傷ついても良いって言うのか?」
 電車は、眉を寄せハラハラと涙を零す彼の顎を引き寄せると口づけた。

「はあッ……逆上せる」
 嫌がるどころか、電車にしがみついてさらにキスを強請る彼。
 言っていることとやっていることが滅茶苦茶だ。
「でよう」
 もっとと欲しがる彼の腕を掴むと、既に力が入らないようだった。
「ケガするから、頑張って歩こう?」
「ああ」

「板井はきっと大丈夫だよ」
 彼の髪にドライヤーをあてながらそういうと、
「何を思ってそんなことを言うんだ?」
と塩田に問われる。
「課長が塩田に好きだと言ったのは、自分の気持ちを整理したかったからでしょう? まあ、板井が不安がっているからそうしたかったのだと思う」
「自分勝手だな」
 不満そうな彼。
「人間なんて、みんなそんなものなんだよ?」
 ”俺だってそうだったでしょう?”と続けると、彼は黙った。
「俺は特別じゃないんだよ? 俺を特別にしてくれたのは、塩田なの」
 ドライヤーを止め、彼のサラサラの黒髪に口づける。

 真っすぐで揺らぎない彼が好きだ。
 少し言葉は塩だが、いつだって気持ちに嘘をつかない。
 自分を偽らないから、信用できる。 

「ベッド行こうよ、塩田を抱きたい」
「!」
「泣いてる塩田は、可愛い」
「トチ狂ったこと言うなよ」
 電車は塩田の向かい側に回り、腰をかがめて彼に口づけた。
「んんッ……」
 腰に手を回し、ソファーから彼を引き起こせば既にその気になっているのが分かる。
「良い反応」
と耳元で囁けば、
「あんなこと言われたら、その気になるだろ」
と文句を言われた。

──塩田らしくて可愛いけれどね。

 後ろから抱きしめ彼のうなじに唇を寄せる。
 すると彼は、
「あッ……」
と思わず甘い声を漏らした。

 そういえば二人きりは久々だなと思いながら電車は、彼の太ももに手を伸ばす。内ももを撫でながら首筋に舌を這わせれば、塩田が良い反応をした。
「んん……」
 身を捩る彼のシャツの中に手を忍ばせ、胸の突起を人差し指で優しく転がす。
「紀夫……や……」
「何が嫌? こっちはもう、こんなだよ? 触ってくれなきゃ嫌ってこと?」
「お前……意地悪ッ」
 涙目で睨みつける彼の唇を追い、内ももを撫でていた手で彼自身をさする。もう充分形を持っている彼自身がびくびくしていた。

「可愛い」
「後ろからじゃ、嫌だ」
「じゃあ、こっち向いて」
 おずおずと反転する塩田の腰を引き寄せ唇を奪う。
 彼の下着を剥ぎ取りながら。
「んん……」
 何度も何度も口づけつつ、彼自身を扱きあげる。
 気持ちいいのか、塩田の瞳は虚ろ。
「塩田、舐めてあげるから足広げて」

 塩田はいつだって気取らない。羞恥は……感じたことあるのだろうか?
 一緒に寝っ転がっていた電車でんまは彼に覆いかぶさると、彼の両股りょうももの後ろに手を差し入れ、大きく開いた。
 流石に恥ずかしいのか、塩田は顔を背け、腕で覆う。
「ほんと綺麗なやらしい色」
「や……そっち?」
「先に美味しそうなこっちだよ」
「んんんッ……はあッ」
 電車は彼自身に指を絡めながら、最奥の蕾に舌を滑らせる。

 久しぶりだからか、いつもより感じているように見えた。
 胸を逸らせば、ツンっと立ち上がった胸の突起がいやらしい。
「紀夫……好き」
「俺も大好きだよ」

 塩田はかつて自分をレイプしようとした人間から『好き』だと告白された。好きだからなんでもして良いというのは間違いだ。
 その想いを聞くことで彼は、自分が懇意にしているものが傷つくことを恐れた。彼の涙は悲しみじゃない。くやしさなのだろうと思う。

──俺も同罪なのに。
 無理矢理塩田を自分のものにしようとした。
 副社長の策に乗って。

 あの時はチャンスだと思ったのだ。
 ずっと好きだった塩田を手に入れるチャンスだと。

「ん……ああッ」
 蕾を舐められて感じている彼が可愛い。
 鈴口にいっぱい透明な蜜を溜めて。
「いっぱいしようね、塩田」
 忘れさせてあげたい、何もかも。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

ドSな義兄ちゃんは、ドMな僕を調教する

天災
BL
 ドSな義兄ちゃんは僕を調教する。

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

消防士の義兄との秘密

熊次郎
BL
翔は5歳年上の義兄の大輔と急接近する。憧れの気持ちが欲望に塗れていく。たくらみが膨れ上がる。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

処理中です...