37 / 218
────1話*俺のものになってよ
10・愛しい彼との情事【R】
しおりを挟む
****Side■塩田
「塩田」
「ん……はあッ……」
くぷぷッと彼自身を蕾に挿入され、快感が塩田を支配していく。
「また声我慢してるの?」
塩田に覆いかぶさった電車が耳元で優しく問う。
「出していいのに」
「んッ……耳元で喋るなッ」
もう自分は分かっている。
彼との行為で何故自分がこんな風になってしまうのかを。
皇には嫌悪を感じ、唯野に恐怖を感じ、企画部の奴らには気持ち悪さを感じた。
彼らと電車との違いはたった一つ。
彼は塩田の髪に手を差し入れると、親指の腹で耳を撫でた。
「やッ……」
塩田の背中を何かが駆け抜け、身を捩る。
「塩田、耳弱いよね」
優しい声、優しい瞳。
そんな目で見つめないで欲しい。
──頭……おかしくなるッ。
可愛い顔しやがって。
彼がカプリと塩田の耳を噛む。
塩田は小さく声を漏らした。
「やめ……」
「なんで?」
彼自身が蕾をゆっくりと出入りするのを感じながら、ぎゅっと電車にしがみつく。どうしてこんなに自分ばかり余裕がないのだろうと思いながら。
形を持つということは少なからずも興奮しているはずなのに、彼は余裕だ。
自分ばかりが夢中なのだろうか?
そんなことを思ってしまう。
「電車……」
「うん?」
「俺の中、気持ちいい?」
何を聞いているのだろう自分は、と思った。
しかし彼からは、
「何いってるの、当たり前でしょ」
という返答。
安心した塩田は、
「そっか」
と小さく笑う。
すると彼が驚いた顔をした。
どうしたのかと思っていると、電車は手で口元を抑えた。頬を染めて。
「その顔は反則だから」
「は?」
相変わらず何を言っているのか分からないなと思っていると、
「可愛すぎ」
身に覚えのないことを言われた。
だが何のことなのかわからない。
仕方なしに不思議そうに彼を見つめていると、そっと口づけされる。
「塩田の笑顔は、破壊力半端ない」
「何言ってんだ」
「でも、俺以外の前ではダメだよ」
心地よく甘い独占欲に、酔ってしまいそうだ。
「好きだよ塩田」
「ん……俺も」
ニコッと微笑んだ彼に、強く腕を引かれて態勢を変えられる。
電車の足を跨ぐ形になり、
「対面騎乗位でしようよ」
と言われた。
初めての時は自分で腰をおろせと言われ、恐かったことを思い出す。
今回は繋がったまま。
恐くはないし、痛くもない。
塩田は電車の首に自分の腕を巻き付けると、彼の肩に額を寄せる。
背中を優しく撫でられ、奥をきゅっと締め付けてしまう。
「ん」
「いっぱい、ぎゅってしててね」
と彼。
電車からのおねだりは嫌いじゃない。
しかし……。
「余裕があったらな」
塩田には余裕がなかったのだった。
「塩田」
「ん……はあッ……」
くぷぷッと彼自身を蕾に挿入され、快感が塩田を支配していく。
「また声我慢してるの?」
塩田に覆いかぶさった電車が耳元で優しく問う。
「出していいのに」
「んッ……耳元で喋るなッ」
もう自分は分かっている。
彼との行為で何故自分がこんな風になってしまうのかを。
皇には嫌悪を感じ、唯野に恐怖を感じ、企画部の奴らには気持ち悪さを感じた。
彼らと電車との違いはたった一つ。
彼は塩田の髪に手を差し入れると、親指の腹で耳を撫でた。
「やッ……」
塩田の背中を何かが駆け抜け、身を捩る。
「塩田、耳弱いよね」
優しい声、優しい瞳。
そんな目で見つめないで欲しい。
──頭……おかしくなるッ。
可愛い顔しやがって。
彼がカプリと塩田の耳を噛む。
塩田は小さく声を漏らした。
「やめ……」
「なんで?」
彼自身が蕾をゆっくりと出入りするのを感じながら、ぎゅっと電車にしがみつく。どうしてこんなに自分ばかり余裕がないのだろうと思いながら。
形を持つということは少なからずも興奮しているはずなのに、彼は余裕だ。
自分ばかりが夢中なのだろうか?
そんなことを思ってしまう。
「電車……」
「うん?」
「俺の中、気持ちいい?」
何を聞いているのだろう自分は、と思った。
しかし彼からは、
「何いってるの、当たり前でしょ」
という返答。
安心した塩田は、
「そっか」
と小さく笑う。
すると彼が驚いた顔をした。
どうしたのかと思っていると、電車は手で口元を抑えた。頬を染めて。
「その顔は反則だから」
「は?」
相変わらず何を言っているのか分からないなと思っていると、
「可愛すぎ」
身に覚えのないことを言われた。
だが何のことなのかわからない。
仕方なしに不思議そうに彼を見つめていると、そっと口づけされる。
「塩田の笑顔は、破壊力半端ない」
「何言ってんだ」
「でも、俺以外の前ではダメだよ」
心地よく甘い独占欲に、酔ってしまいそうだ。
「好きだよ塩田」
「ん……俺も」
ニコッと微笑んだ彼に、強く腕を引かれて態勢を変えられる。
電車の足を跨ぐ形になり、
「対面騎乗位でしようよ」
と言われた。
初めての時は自分で腰をおろせと言われ、恐かったことを思い出す。
今回は繋がったまま。
恐くはないし、痛くもない。
塩田は電車の首に自分の腕を巻き付けると、彼の肩に額を寄せる。
背中を優しく撫でられ、奥をきゅっと締め付けてしまう。
「ん」
「いっぱい、ぎゅってしててね」
と彼。
電車からのおねだりは嫌いじゃない。
しかし……。
「余裕があったらな」
塩田には余裕がなかったのだった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる