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────1話*俺のものになってよ
9・恋が何かを知る時【R】
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****side■塩田
「くッ……」
塩田がうめき声を漏らすと、
「痛い?」
と心配そうな電車の声。
くぷぷッと蕾に挿入された彼の指が止まる。心配そうな電車を引き寄せキスをせがんだ。
ちゅっと軽くキスをして上目遣いで見上げると、
「平気」
と答える。
彼の心配そうな顔が苦手だ。電車はどちらかと言うといつも笑顔なタイプだから、悲しそうな顔をされるのも辛い。
だが、どうしてそんな風に思ってしまうのか?
今までの自分なら誰がどうであれ、無関心だったのに。
──ああ、そうか。
好きだから。
「気持ち良いから、大丈夫」
口元を緩めて見せれば躊躇いがちに口づけられ、そのまま深く舌を絡めてくる。
「ん……なに……」
少し強引な口づけに、塩田は戸惑った。
そして彼に、
「他の人の前でそんな顔しないで」
と言われ、
「は?」
更に困惑する。
「みんな、塩田に惚れちゃうから」
何を言ってるんだと思いながら、彼の背中に腕を回す。彼のくれる愛撫はいつでも優しくて丁寧だ。乱暴でもいいと言う度、”好きだから大事にしたいんだよ”と悲しい顔をされる。
──俺はただ、早くお前と繋がりたいだけなのに。
繋がるたび彼はとても幸せそうな笑みを浮かべるから。
その顔が早く見たくて急かすと怒られるのだ。
──きっと俺の方が、ずっとずっと……たくさん……。
好きなんだと思う。
自分ばかりが好きだと思ってしまうのは、彼が優しすぎるから。
初めこそ強引だったが、それ以降は無理強いはしない。
もっとも、彼女とまだ決別していないのに身体ばかり求められても不信感しか抱かないが。
「っ」
不意に頬に触れる手。温もりが嬉くてその手に自分の手を重ねる。
「お前のことが好きだ」
「え」
塩田の言葉に電車が真っ赤になった。
「なんだよ」
「不意打ちはダメだって」
「早く挿れろよ」
「またそういうこと言って」
彼の指が唇に触れる。チロと舌を出すと”エロすぎ”と怒られた。
──お前の幸せそうな顔、早く見せろよ。
なあ?
その顔みてると、安心するんだ。
彼の指が擦れる感触を奥に感じる。卑猥な音が響く室内、熱いような気持ち良いような不思議な感覚。浅く息をしながら、彼の体温を感じていた。
瞳を閉じ、その愛撫に身を任せてると、耳元に彼の唇が寄せられる。
「塩田、大好きだよ」
告白はいつだって甘くて優しい声で。コーヒーに砂糖を溶かすようにゆっくりとじっくりと心を侵食してゆく。
──お前となら何処へだって堕ちてやる。
何処へだって。
そうか……これが恋なんだろうな。
恋など知らなかった塩田は恋とは何かを知った瞬間でもあった。
「くッ……」
塩田がうめき声を漏らすと、
「痛い?」
と心配そうな電車の声。
くぷぷッと蕾に挿入された彼の指が止まる。心配そうな電車を引き寄せキスをせがんだ。
ちゅっと軽くキスをして上目遣いで見上げると、
「平気」
と答える。
彼の心配そうな顔が苦手だ。電車はどちらかと言うといつも笑顔なタイプだから、悲しそうな顔をされるのも辛い。
だが、どうしてそんな風に思ってしまうのか?
今までの自分なら誰がどうであれ、無関心だったのに。
──ああ、そうか。
好きだから。
「気持ち良いから、大丈夫」
口元を緩めて見せれば躊躇いがちに口づけられ、そのまま深く舌を絡めてくる。
「ん……なに……」
少し強引な口づけに、塩田は戸惑った。
そして彼に、
「他の人の前でそんな顔しないで」
と言われ、
「は?」
更に困惑する。
「みんな、塩田に惚れちゃうから」
何を言ってるんだと思いながら、彼の背中に腕を回す。彼のくれる愛撫はいつでも優しくて丁寧だ。乱暴でもいいと言う度、”好きだから大事にしたいんだよ”と悲しい顔をされる。
──俺はただ、早くお前と繋がりたいだけなのに。
繋がるたび彼はとても幸せそうな笑みを浮かべるから。
その顔が早く見たくて急かすと怒られるのだ。
──きっと俺の方が、ずっとずっと……たくさん……。
好きなんだと思う。
自分ばかりが好きだと思ってしまうのは、彼が優しすぎるから。
初めこそ強引だったが、それ以降は無理強いはしない。
もっとも、彼女とまだ決別していないのに身体ばかり求められても不信感しか抱かないが。
「っ」
不意に頬に触れる手。温もりが嬉くてその手に自分の手を重ねる。
「お前のことが好きだ」
「え」
塩田の言葉に電車が真っ赤になった。
「なんだよ」
「不意打ちはダメだって」
「早く挿れろよ」
「またそういうこと言って」
彼の指が唇に触れる。チロと舌を出すと”エロすぎ”と怒られた。
──お前の幸せそうな顔、早く見せろよ。
なあ?
その顔みてると、安心するんだ。
彼の指が擦れる感触を奥に感じる。卑猥な音が響く室内、熱いような気持ち良いような不思議な感覚。浅く息をしながら、彼の体温を感じていた。
瞳を閉じ、その愛撫に身を任せてると、耳元に彼の唇が寄せられる。
「塩田、大好きだよ」
告白はいつだって甘くて優しい声で。コーヒーに砂糖を溶かすようにゆっくりとじっくりと心を侵食してゆく。
──お前となら何処へだって堕ちてやる。
何処へだって。
そうか……これが恋なんだろうな。
恋など知らなかった塩田は恋とは何かを知った瞬間でもあった。
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