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────0話*出会いと恋
20・気づくのが遅すぎた、本音【R】
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****side■塩田
『電車って彼女いるみたいよ』
『は?』
バカだから傷つくのだろうか?
信じたから傷つくのだろうか?
『さっき廊下で電話してたよ』
それとも、信じないから傷ついたのか?
どうして自信を持って“嘘だ”って言えない?
『塩田、好きだよ』
──あの言葉に嘘なんて感じなかったのに。
抱き締めるその腕に熱を感じたのに。
何故自分に自信が持てないのだろう。
塩田は他人から言われた言葉に翻弄され、自信喪失していた。
いつもならば、誰に何を言われようとも我が道を行き、自分の目で確かめない限り簡単に他人を信用したりはしないのに。
それほどまでに電車紀夫が自分の中で大きな存在になってしまっているとでも言うのだろうか?
好きだと言われ、その言葉を信じ。
彼に全てを開いた。
これが初めての恋愛だというのなら、それもいいかもしれないとすら思った。だが今の自分は自信はおろか、彼のことが信じられなくなっている。
本人に確かめてすらいないのに。
項垂れているうちに連れ込まれた仮眠室で、抵抗むなしく組伏せられたのは、諦めが勝っていたからなのだろう。やめろと言っても意味はなかった。触られたくないのに、加えられて行く愛撫に吐き気がする。
アイツ以外は嫌だ、初めてそう思った。
──泣きたい。
どうしてアイツはここに居ないのだろう?
俺はここに居るのに……。
電車のことを考えていると、嫌な会話が耳に入ってくる。
「お前、舐めろよ」
「えー、立たなかったらどうすんのよ。プライド傷つくからイヤ」
自分を仮眠室に連れ込んだ企画部の男女の会話に、塩田は青ざめた。
しかもがっちり押さえられて、逃げられない。
「しょうがないな。手でするか」
「やめろ……っ」
「それとも後ろがいいのか?」
「どっちもイヤだ」
強く拒否すると男は嬉しそうに笑った。そしてどこかへ電話をかけ始める。
「ああ、そうだ。持ってるだろ?」
電話の相手も男性のようだ。塩田の背中を、嫌な汗が駆け抜けた。
「……は? 利点? ……お前にもヤらせてやるよ」
”なあ、塩田”と耳元で囁かれ、鳥肌が立つ。
──俺を輪姦する気なのか?
正気か? こいつら。
「も……触るな」
「なんで、気持ちいいだろ?」
塩田自身を握りこみ立たせようとする、彼の腕を掴む。
「やめ……」
「なんだよ、目に涙溜めて。可愛いところあるじゃん」
逃れようとしたら体重をかけられる。
諦めかけていたところに、仮眠室のドアが開いた。
──課長……?
助けが来たのだと塩田は少しホッとする。
それが更なる地獄の始まりだとは知らずに。
『電車って彼女いるみたいよ』
『は?』
バカだから傷つくのだろうか?
信じたから傷つくのだろうか?
『さっき廊下で電話してたよ』
それとも、信じないから傷ついたのか?
どうして自信を持って“嘘だ”って言えない?
『塩田、好きだよ』
──あの言葉に嘘なんて感じなかったのに。
抱き締めるその腕に熱を感じたのに。
何故自分に自信が持てないのだろう。
塩田は他人から言われた言葉に翻弄され、自信喪失していた。
いつもならば、誰に何を言われようとも我が道を行き、自分の目で確かめない限り簡単に他人を信用したりはしないのに。
それほどまでに電車紀夫が自分の中で大きな存在になってしまっているとでも言うのだろうか?
好きだと言われ、その言葉を信じ。
彼に全てを開いた。
これが初めての恋愛だというのなら、それもいいかもしれないとすら思った。だが今の自分は自信はおろか、彼のことが信じられなくなっている。
本人に確かめてすらいないのに。
項垂れているうちに連れ込まれた仮眠室で、抵抗むなしく組伏せられたのは、諦めが勝っていたからなのだろう。やめろと言っても意味はなかった。触られたくないのに、加えられて行く愛撫に吐き気がする。
アイツ以外は嫌だ、初めてそう思った。
──泣きたい。
どうしてアイツはここに居ないのだろう?
俺はここに居るのに……。
電車のことを考えていると、嫌な会話が耳に入ってくる。
「お前、舐めろよ」
「えー、立たなかったらどうすんのよ。プライド傷つくからイヤ」
自分を仮眠室に連れ込んだ企画部の男女の会話に、塩田は青ざめた。
しかもがっちり押さえられて、逃げられない。
「しょうがないな。手でするか」
「やめろ……っ」
「それとも後ろがいいのか?」
「どっちもイヤだ」
強く拒否すると男は嬉しそうに笑った。そしてどこかへ電話をかけ始める。
「ああ、そうだ。持ってるだろ?」
電話の相手も男性のようだ。塩田の背中を、嫌な汗が駆け抜けた。
「……は? 利点? ……お前にもヤらせてやるよ」
”なあ、塩田”と耳元で囁かれ、鳥肌が立つ。
──俺を輪姦する気なのか?
正気か? こいつら。
「も……触るな」
「なんで、気持ちいいだろ?」
塩田自身を握りこみ立たせようとする、彼の腕を掴む。
「やめ……」
「なんだよ、目に涙溜めて。可愛いところあるじゃん」
逃れようとしたら体重をかけられる。
諦めかけていたところに、仮眠室のドアが開いた。
──課長……?
助けが来たのだと塩田は少しホッとする。
それが更なる地獄の始まりだとは知らずに。
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