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────0話*出会いと恋

18・君への想いに気付く前に【R】

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****side■塩田

『本当の気持ち教えて……』

 ──本当の気持ち?
 俺は嘘なんて言ったことない。
 違う……電車が言ってるのはそういうことじゃない。

「お前が好きなのは、俺だろ」
 切なげに塩田を見つめる電車。
 塩田は首に絡めた腕を引き寄せ、彼に口づける。
「俺とだけすればいい」

──電車でんまは俺とは違う。
 他の人としたいなんて思うやつじゃない。
 だから、俺だけ抱けばいい。

 それが独占欲なことに塩田は気づかなかった。
 好きとはなんなのか?
 今まで一度も恋愛をしたことがない。恋をしたことがあるのか? と聞かれても答えることはできないだろう。
 では電車は自分にとってなんなのか?

「塩田」
 名前を呼ばれ彼を見つめれば、とても嬉しそうな笑みを浮かべていた。
 なぜなのか?
 まだ塩田には理解できない。
 しかし彼の変化に下腹部が苦しくなる。
「っ……何そんな……でかくすんなよッ……くるし……」
「ごめん、嬉しくて」
「はあッ」
「イかせてあげるから、少し我慢して」
「んん……」

──ダメだ。おかしくなる。
 きもちいい……。

 もどかしいくらいゆっくり腰を動かす彼にしがみつくと、優しく背中を撫でてくれる。

──電車といると、あったかい。
 それってきっと。

「まてッ……どっちもはダメだって」
「なんで?」
 二人の間に手を入れ塩田自身を握りこむ彼を止めるが、不思議そうにこちらを見るばかり。
「一人でイきたくない」
 それじゃ何の為にしているのか、わからなくなる。
「塩田、俺は別にイかなくてもいい」
「ダメだッ」
「どうして? 俺はさ、気持ち良さそうにしてる塩田を見たいだけ。俺で気持ちよくなって欲しいだけなんだよ」
 電車の言葉は塩田を辛くさせるだけなのに、彼はそのことに気づかない。

──なんでだよ。
 そんな一方的なのは望んでない。
 じゃあお前は?
 俺だってお前に、気持ちよくなって欲しい。

「俺じゃイけないのかよ」
 塩田の言葉に彼は驚いた顔をする。
 もっと違う言い方もあるのかもしれないが、経験のない塩田には他の言葉が思い浮かばなかった。
「そんなんじゃ」
 案の定、困った顔の電車。
「イきたい。お前と一緒に」
 塩田がそう告げると、彼は優しい笑みを浮かべる。
「んんッ」
 唇を奪われ、奥まで突かれた。
「一緒にイこうね、塩田」
 子供に諭すように優しい声音に酔って、何度もキスを求め深く口づける。やがて波は二人に押し寄せ、疲れ切った二人を闇が優しく包む。

「塩田、大好きだよ」
 塩田は祈るような彼の告白を聞きながら、深いに眠りに落ちていったのだった。
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