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────0話*出会いと恋
8・塩田vsキラキラ俺様系、副社長
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****side■塩田(平社員)
最悪のシチュエーション。
人気のない廊下にいたら、副社長こと皇優一に空き部屋に連れ込まれた。
全身ブランドで固め、無駄に鍛えまくっている脳内筋肉の美形俺様男には力では適わなかった。
──作者、手抜き過ぎるだろ!
お前のせいで、痛い床の上で”初”とはどういうことだ。
塩田は心の中で悪態をつく。
柔らかいとは言い難い床の上に組み伏せられ……正直、とても硬い。
塩田は香水の匂いを振りまく、皇を見上げた。
睨みつければ喜ぶだけなのは分かっている。彼の婚約者は、ドS美女というし。恐らく自分に屈しないヤツを虐げるのが好きなのだ、この男は。
塩田は一つ、ため息をつく。
痛くはしないはずだ。
”下手くそ”と罵られては、ヤツのプライドが傷つく。副社長の皇はそういう男だ。だが後ほど塩田は、その目測が間違っていることを嫌というほど知ることになる。それはあくまでも『俺様キャラ』が社長の意向に過ぎないと言うことを知らなかったからと言えなくもない。
──こいつは”完璧な俺様”である、自分自身が好き。
クソだな。
「さて、大人しく俺様と遊ぼうか? 塩田」
「大人しく?」
”何言ってるんだ、このアホは”と思っていたら彼は自分自身のネクタイを引き抜き、塩田の手首を拘束した。
塩田は”なるほど”と思いながら、皇の動向を見つめる。
「キスは好きか?」
と皇。
そもそもしたことがないことを好きかと問われても困るが。
「副社長なんぞとはしたくない」
拘束され身動きができないにも関わらず、塩田は怯まなかった。
そんな塩田に対し、
「まあ……そんな(恋人のようなこと)ことをすれば、電車が発狂して面倒なことになりかねないからな。許してやろうじゃないか」
と言う。
「は?」
──何をいってるんだ?
電車がなんだって?
電車紀夫は、塩田の同僚。童顔でやたら電車に乗り遅れる不運な男である。
「知ってるか? 電車、絶倫らしいぞ」
プチプチと塩田のYシャツのボタンを片手で外しながら、皇がくくくっと笑う。
「はあ?! アイツ、ネコだろ?」
性的なことをしたことがない塩田でも、立ち位置くらいの知識はあった。自分に無縁でも。
「馬鹿だな、人を見た目で判断するなよ。かわい子ぶってるが、アイツは常にお前の尻を狙ってるぞ」
「バナナじゃないのかよ」
さすがの塩田も、意外すぎて本音を漏らす。
「大好きな塩田を奪われて、電車がどんな顔をするのか見ものだな」
「俺は誰のものにもならん」
──そもそも電車は色恋沙汰とは無縁そうな天然ボケじゃないかよ。
最近よく泊まりに来るが、バナナ好きで天然の善良な市民だと感じている。
明るく優しいため、社内の女子に人気があるらしいが。
皇は強気の塩田を楽しげに眺め、
「そういって強がってられるのも今のうちだ、塩田。俺のテクでひいひい言わせてやる」
と宣戦布告した。
「誰が言うか。やれるもんならやってみろ」
自慰すらしない塩田には自信があった。自分は不感症だという自信が。
だが皇の言う電車のことは胸に引っかかっていた。
最悪のシチュエーション。
人気のない廊下にいたら、副社長こと皇優一に空き部屋に連れ込まれた。
全身ブランドで固め、無駄に鍛えまくっている脳内筋肉の美形俺様男には力では適わなかった。
──作者、手抜き過ぎるだろ!
お前のせいで、痛い床の上で”初”とはどういうことだ。
塩田は心の中で悪態をつく。
柔らかいとは言い難い床の上に組み伏せられ……正直、とても硬い。
塩田は香水の匂いを振りまく、皇を見上げた。
睨みつければ喜ぶだけなのは分かっている。彼の婚約者は、ドS美女というし。恐らく自分に屈しないヤツを虐げるのが好きなのだ、この男は。
塩田は一つ、ため息をつく。
痛くはしないはずだ。
”下手くそ”と罵られては、ヤツのプライドが傷つく。副社長の皇はそういう男だ。だが後ほど塩田は、その目測が間違っていることを嫌というほど知ることになる。それはあくまでも『俺様キャラ』が社長の意向に過ぎないと言うことを知らなかったからと言えなくもない。
──こいつは”完璧な俺様”である、自分自身が好き。
クソだな。
「さて、大人しく俺様と遊ぼうか? 塩田」
「大人しく?」
”何言ってるんだ、このアホは”と思っていたら彼は自分自身のネクタイを引き抜き、塩田の手首を拘束した。
塩田は”なるほど”と思いながら、皇の動向を見つめる。
「キスは好きか?」
と皇。
そもそもしたことがないことを好きかと問われても困るが。
「副社長なんぞとはしたくない」
拘束され身動きができないにも関わらず、塩田は怯まなかった。
そんな塩田に対し、
「まあ……そんな(恋人のようなこと)ことをすれば、電車が発狂して面倒なことになりかねないからな。許してやろうじゃないか」
と言う。
「は?」
──何をいってるんだ?
電車がなんだって?
電車紀夫は、塩田の同僚。童顔でやたら電車に乗り遅れる不運な男である。
「知ってるか? 電車、絶倫らしいぞ」
プチプチと塩田のYシャツのボタンを片手で外しながら、皇がくくくっと笑う。
「はあ?! アイツ、ネコだろ?」
性的なことをしたことがない塩田でも、立ち位置くらいの知識はあった。自分に無縁でも。
「馬鹿だな、人を見た目で判断するなよ。かわい子ぶってるが、アイツは常にお前の尻を狙ってるぞ」
「バナナじゃないのかよ」
さすがの塩田も、意外すぎて本音を漏らす。
「大好きな塩田を奪われて、電車がどんな顔をするのか見ものだな」
「俺は誰のものにもならん」
──そもそも電車は色恋沙汰とは無縁そうな天然ボケじゃないかよ。
最近よく泊まりに来るが、バナナ好きで天然の善良な市民だと感じている。
明るく優しいため、社内の女子に人気があるらしいが。
皇は強気の塩田を楽しげに眺め、
「そういって強がってられるのも今のうちだ、塩田。俺のテクでひいひい言わせてやる」
と宣戦布告した。
「誰が言うか。やれるもんならやってみろ」
自慰すらしない塩田には自信があった。自分は不感症だという自信が。
だが皇の言う電車のことは胸に引っかかっていた。
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