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────0話*出会いと恋
7・変化し始めた日常
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****side■塩田
一年かけ苦情係の面々とは着々と信頼関係を築いていった塩田であったが、課長唯野がしょっちゅう不在のため手伝ってくれる皇副社長とは仲良くなれそうにはないと思っていた。
「塩田、俺様とディナーに行かないか?」
「断る」
あの手この手で塩田を誘う真意はわからない。
噂によると社内に恋人がいるという。
「何故、板井や電車とは飯に行くクセに俺様の誘いは断るんだ?」
「面倒くさいから」
この全身ブランドのキラキラ男は、塩田たちの少し上。確か一つか二つくらいしか変わらなかったはずだ。
二年目で副社長に就任したあたり優秀なのだろうし、見目麗しく立ち居振る舞いには品がある。
こんなことを言っては失礼かもしれないが、それだけで抜擢されたとは思い難い。さぞかし社長から好かれているのだろうと思った。
この”俺様キャラ”が社長の意向であることを塩田が知るのは、だいぶ先であるが。
散々塩対応してきたにも関わらず、皇はしつこかった。
自分の何がそんなに刺さったのかわからないが、年がら年中誘いをかけてくる。恋人がいることを知っていたため、彼が暴挙に出るとは思ってもいなかった。
いつも通り業務のため資料室へファイルを持っていく。
まさかこの日、塩田の日常が大きく変化することになるなんて想像もしていなかったのである。
株原に入社して二年目。
二十四歳、恋人いない歴イコール年齢。もちろん、肉体的な性経験なし。
きっとこの先もそれは変わらないだろうと思っていた。
恋がなにかも知らない塩田。
彼は自分でも知らないうちに周りの者を巻き込み、暴挙へ走らせたのである。
──電車は今日、うちには来るのか?
何だかんだ理由をつけて泊まりに来る電車。それが日常と化し、一人の夜が寂しく感じていたのは確かだ。
初めは末っ子なのかと感じていた彼は、プライベートになるとしっかりお兄ちゃんだった。
同僚板井との関係も良好だった。
常識的で良識を持った彼だが、自分の価値観を人に押し付けるようなヤツではなかった。
最も、塩田の皇への態度には毎回驚かされているようだが。
資料室を出ると、
「塩田」
と名前を呼ばれる。
振り向かなくても相手の想像くらいつく。
めんどくさいなと思いながらも、塩田は一応立ち止まる。
「なにか?」
「今日こそ逃さないぞ」
腕を掴まれ、彼をじっと見つめ返す塩田。
「放せ」
「誰に向かって口を聞いている? もっとも、お前のそういうところがそそるんだがな」
「気持ち悪いことを言うな」
塩田は掴まれた腕を振り払おうとしたが、そのまま近くの部屋に連れ込まれたのだった。
一年かけ苦情係の面々とは着々と信頼関係を築いていった塩田であったが、課長唯野がしょっちゅう不在のため手伝ってくれる皇副社長とは仲良くなれそうにはないと思っていた。
「塩田、俺様とディナーに行かないか?」
「断る」
あの手この手で塩田を誘う真意はわからない。
噂によると社内に恋人がいるという。
「何故、板井や電車とは飯に行くクセに俺様の誘いは断るんだ?」
「面倒くさいから」
この全身ブランドのキラキラ男は、塩田たちの少し上。確か一つか二つくらいしか変わらなかったはずだ。
二年目で副社長に就任したあたり優秀なのだろうし、見目麗しく立ち居振る舞いには品がある。
こんなことを言っては失礼かもしれないが、それだけで抜擢されたとは思い難い。さぞかし社長から好かれているのだろうと思った。
この”俺様キャラ”が社長の意向であることを塩田が知るのは、だいぶ先であるが。
散々塩対応してきたにも関わらず、皇はしつこかった。
自分の何がそんなに刺さったのかわからないが、年がら年中誘いをかけてくる。恋人がいることを知っていたため、彼が暴挙に出るとは思ってもいなかった。
いつも通り業務のため資料室へファイルを持っていく。
まさかこの日、塩田の日常が大きく変化することになるなんて想像もしていなかったのである。
株原に入社して二年目。
二十四歳、恋人いない歴イコール年齢。もちろん、肉体的な性経験なし。
きっとこの先もそれは変わらないだろうと思っていた。
恋がなにかも知らない塩田。
彼は自分でも知らないうちに周りの者を巻き込み、暴挙へ走らせたのである。
──電車は今日、うちには来るのか?
何だかんだ理由をつけて泊まりに来る電車。それが日常と化し、一人の夜が寂しく感じていたのは確かだ。
初めは末っ子なのかと感じていた彼は、プライベートになるとしっかりお兄ちゃんだった。
同僚板井との関係も良好だった。
常識的で良識を持った彼だが、自分の価値観を人に押し付けるようなヤツではなかった。
最も、塩田の皇への態度には毎回驚かされているようだが。
資料室を出ると、
「塩田」
と名前を呼ばれる。
振り向かなくても相手の想像くらいつく。
めんどくさいなと思いながらも、塩田は一応立ち止まる。
「なにか?」
「今日こそ逃さないぞ」
腕を掴まれ、彼をじっと見つめ返す塩田。
「放せ」
「誰に向かって口を聞いている? もっとも、お前のそういうところがそそるんだがな」
「気持ち悪いことを言うな」
塩田は掴まれた腕を振り払おうとしたが、そのまま近くの部屋に連れ込まれたのだった。
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