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────5話*俺のものだよ
5・別行動の自分
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****♡Side・副社長(皇)
用を済ませて苦情係に戻ると塩田と電車はいなかった。探してしまっている自分がイヤだ。だが、二人の傍に居心地の良さを感じ始めているのも事実。ため息をついていると簡易キッチンの方からコーヒーカップを持った課長、唯野がやって来る。
「塩田たちなら、休憩室」
と皇を見るなり声をかけてきた。
「あ、これ三人で」
と、チョコレートの箱をくれる。
「これは?」
「商品部の子が、おやつにどうぞって」
「そうなのか。ありがとう」
お洒落な缶に入った二色のチョコレート。ハート形だ。塩田は甘いものあまり食べなかったよな、と思いつつ皇は缶を持って商品部へ。
苦情係は商品部の一角を潰して作られている為、廊下に出るには商品部を通らなければならない。出口に近づくころチョコレートをくれた本人が話しかけてきた。
「それ、美味しいですよ。甘さ控えめで」
と。
皇は礼を言って微笑む。すると商品部の奥から女子の悲鳴が。モテることに自覚はあったが最近静かだった為、気にしていなかった。皇は愛想笑いを浮かべると、商品部を出て休憩室に向かう。
以前はモテることがステータスだと思っていた。今では気にも留めていない自分に驚く。
──いつから自分は、変わったのだろう。
「副社長」
休憩室のドアを開けると塩田と電車がペットボトルのカフェラテを飲みながら、なにやら話をしていた。先に気づいたのは電車。
「これ、貰い物」
と二人の前にチョコレートの缶を置く。
「ハートじゃん」
と電車。
「商品部の子がくれたそうだ。ところで、昼飯一緒に行かないか?」
と皇は二人に視線を走らせた。
その為にわざわざ苦情係に戻って来たのだが、断られる可能性もある。
「どっか連れていってくれるの?」
と電車。
塩田はじっと皇を見つめている。何もいわなくても分かる、その目は期待だ。
「イタリアンだが、行くか? ライスコロッケの美味い店があるんだ。行くなら席、増やしてもらうし」
どう見ても電車は乗り気だ。塩田の目はキラキラした。サッパリしたものが好きだと言っていたがイタリアンは好きらしい。
「行くー。ね、塩田」
「ああ」
電車はチョコレートを冷蔵庫にしまうと塩田の方を振り返る。
「副社長、上着いる?」
と電車。
「いや、大丈夫だろう」
車に向かうまでの間、二人は今夜の予定について話していた。どうやら外食するらしい。
「副社長は……」
一緒に住めと言った手前、皇のことが気になるようだ。
「俺は、会食があるから気にするな」
何となく別行動になってしまう自分に皇は少し寂しさを感じていたのだった。
用を済ませて苦情係に戻ると塩田と電車はいなかった。探してしまっている自分がイヤだ。だが、二人の傍に居心地の良さを感じ始めているのも事実。ため息をついていると簡易キッチンの方からコーヒーカップを持った課長、唯野がやって来る。
「塩田たちなら、休憩室」
と皇を見るなり声をかけてきた。
「あ、これ三人で」
と、チョコレートの箱をくれる。
「これは?」
「商品部の子が、おやつにどうぞって」
「そうなのか。ありがとう」
お洒落な缶に入った二色のチョコレート。ハート形だ。塩田は甘いものあまり食べなかったよな、と思いつつ皇は缶を持って商品部へ。
苦情係は商品部の一角を潰して作られている為、廊下に出るには商品部を通らなければならない。出口に近づくころチョコレートをくれた本人が話しかけてきた。
「それ、美味しいですよ。甘さ控えめで」
と。
皇は礼を言って微笑む。すると商品部の奥から女子の悲鳴が。モテることに自覚はあったが最近静かだった為、気にしていなかった。皇は愛想笑いを浮かべると、商品部を出て休憩室に向かう。
以前はモテることがステータスだと思っていた。今では気にも留めていない自分に驚く。
──いつから自分は、変わったのだろう。
「副社長」
休憩室のドアを開けると塩田と電車がペットボトルのカフェラテを飲みながら、なにやら話をしていた。先に気づいたのは電車。
「これ、貰い物」
と二人の前にチョコレートの缶を置く。
「ハートじゃん」
と電車。
「商品部の子がくれたそうだ。ところで、昼飯一緒に行かないか?」
と皇は二人に視線を走らせた。
その為にわざわざ苦情係に戻って来たのだが、断られる可能性もある。
「どっか連れていってくれるの?」
と電車。
塩田はじっと皇を見つめている。何もいわなくても分かる、その目は期待だ。
「イタリアンだが、行くか? ライスコロッケの美味い店があるんだ。行くなら席、増やしてもらうし」
どう見ても電車は乗り気だ。塩田の目はキラキラした。サッパリしたものが好きだと言っていたがイタリアンは好きらしい。
「行くー。ね、塩田」
「ああ」
電車はチョコレートを冷蔵庫にしまうと塩田の方を振り返る。
「副社長、上着いる?」
と電車。
「いや、大丈夫だろう」
車に向かうまでの間、二人は今夜の予定について話していた。どうやら外食するらしい。
「副社長は……」
一緒に住めと言った手前、皇のことが気になるようだ。
「俺は、会食があるから気にするな」
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