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────5話*俺のものだよ
1・皇を奪いたい二人
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****♡Side・社長秘書(神流川)
離婚は社長にとって、そんなに強くなれることなのだろうかと神流川は不思議に感じていた。社長の皇への態度は日に日に酷くなっている。嫉妬、独占欲、性愛。言葉こそ穏やかなものの、支配に他ならない。
──ただ、好きでいることも許されないなんて。
皇に好意を持っているというだけで、彼は目の前で凌辱された。皇が誰のものかを知らしめるために。恥ずかしい姿を部下に見せつけられる彼。社長が、心から憎かった。いくら愛しているとはいえ、人前で好きな人を抱くなんて異常だ。助けたいと思った、彼を。社長から救いたいと。
だが自分の気持ちは、それだけでは収まらなくなりつつある。彼と付き合いたい、恋人になりたいと願ってしまっていた。自分なら彼を大切に出来るのにと。
「課長、お話が」
しかし自分は社長秘書。なんの力もなければ、下剋上を起こせるような立場でもないし、味方もいない。
そこで思い浮かんだのが塩田の直属の上司である、苦情係の課長こと唯野だ。
「なに、どうした」
彼は再び、ソファーの背もたれにもたれ掛かると、神流川を見上げる。
「自分は、皇さんを社長から救いたい。力を貸していただけませんか?」
神流川の言葉に反応したのは、唯野ではなく総括部長の黒岩だった。
「お前も、皇狙ってるのかよ」
「も?」
黒岩も唯野も既婚者だ。”も”とは誰を指しているのだろうか。
すると、
「お前は、いい加減諦めろ」
と唯野が黒岩に告げたではないか。
───え? 既婚者なのに、皇さんのことを?
社長にしても黒岩にしても、どうかしていると思った。
皇は確かに魅力的だ。しかし今まで大切に築いてきた家庭を捨ててまで、一人の男に夢中になるのはおかしいだろうと。
『僕は皇くんに出逢って、初めて恋というものを知ったんだ。あの子は誰にも渡さない。どんな汚ない手を使ってでもね』
神流川は社長の言葉を思い出し、恐怖を感じた。もし黒岩もそんなことを始めたとしたならば。きっと皇は壊れてしまうに違いない。
考え事をしていると、
「神流川には、ワンチャンあるかも知れないが、お前には無理だ」
と唯野。
「何故」
と唯野に問う、黒岩。
「お前には、性欲しかないからだよ」
「そんなことない。ちゃんと愛情がある」
黒岩はそう主張するが。
「副社長はそうは思っていないだろ」
と唯野。
「何故、そんなことが言える?」
「鼻から、副社長が相手にしてないからだろ」
黒岩と皇が一緒に居るところを神流川はあまり見たことがなかった。その為、唯野の言葉が当たっているのかもわからない。
しかし、
『神流川には、ワンチャンある』
という言葉に心が支配され、そんなことはどうでもよかったのである。
離婚は社長にとって、そんなに強くなれることなのだろうかと神流川は不思議に感じていた。社長の皇への態度は日に日に酷くなっている。嫉妬、独占欲、性愛。言葉こそ穏やかなものの、支配に他ならない。
──ただ、好きでいることも許されないなんて。
皇に好意を持っているというだけで、彼は目の前で凌辱された。皇が誰のものかを知らしめるために。恥ずかしい姿を部下に見せつけられる彼。社長が、心から憎かった。いくら愛しているとはいえ、人前で好きな人を抱くなんて異常だ。助けたいと思った、彼を。社長から救いたいと。
だが自分の気持ちは、それだけでは収まらなくなりつつある。彼と付き合いたい、恋人になりたいと願ってしまっていた。自分なら彼を大切に出来るのにと。
「課長、お話が」
しかし自分は社長秘書。なんの力もなければ、下剋上を起こせるような立場でもないし、味方もいない。
そこで思い浮かんだのが塩田の直属の上司である、苦情係の課長こと唯野だ。
「なに、どうした」
彼は再び、ソファーの背もたれにもたれ掛かると、神流川を見上げる。
「自分は、皇さんを社長から救いたい。力を貸していただけませんか?」
神流川の言葉に反応したのは、唯野ではなく総括部長の黒岩だった。
「お前も、皇狙ってるのかよ」
「も?」
黒岩も唯野も既婚者だ。”も”とは誰を指しているのだろうか。
すると、
「お前は、いい加減諦めろ」
と唯野が黒岩に告げたではないか。
───え? 既婚者なのに、皇さんのことを?
社長にしても黒岩にしても、どうかしていると思った。
皇は確かに魅力的だ。しかし今まで大切に築いてきた家庭を捨ててまで、一人の男に夢中になるのはおかしいだろうと。
『僕は皇くんに出逢って、初めて恋というものを知ったんだ。あの子は誰にも渡さない。どんな汚ない手を使ってでもね』
神流川は社長の言葉を思い出し、恐怖を感じた。もし黒岩もそんなことを始めたとしたならば。きっと皇は壊れてしまうに違いない。
考え事をしていると、
「神流川には、ワンチャンあるかも知れないが、お前には無理だ」
と唯野。
「何故」
と唯野に問う、黒岩。
「お前には、性欲しかないからだよ」
「そんなことない。ちゃんと愛情がある」
黒岩はそう主張するが。
「副社長はそうは思っていないだろ」
と唯野。
「何故、そんなことが言える?」
「鼻から、副社長が相手にしてないからだろ」
黒岩と皇が一緒に居るところを神流川はあまり見たことがなかった。その為、唯野の言葉が当たっているのかもわからない。
しかし、
『神流川には、ワンチャンある』
という言葉に心が支配され、そんなことはどうでもよかったのである。
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