R18【同性恋愛】リーマン物語『俺のものになってよ』

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────3話*俺のものだから

20・心安らぐ、彼の胸の中

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****♡Side・塩田

 電車でんまは塩田の手を自分の手の上に乗せると、人差し指の付け根に軽く口づける。まるで映画のワンシーンのような彼の行動を、塩田はじっと見つめていた。
 間接照明の淡い光が彼の身体のラインを浮き彫りにし、いつもより官能的に見えた。彼は筋肉質だがどちらかと言うと細身だ。塩田は彼の背中から腰のラインがとても好きである。電車の綺麗なベージュに近い金髪の髪に触れると、彼はチラリと塩田のほうを見た。二人の間をゆっくりと時間が流れてゆく。

「紀夫」
 電車の名を呼ぶと、彼は塩田の腰を引き寄せ、口づけをくれる。その柔らかい感触に、塩田は夢中になった。彼の首に腕を巻きつけ、舌を絡める。髪に差し入れられた彼の手が気持ちいい。
「塩田」
「なんだ?」
「会社辞めるって、どういうこと?」
 ベッドに押し倒されながら質問され、塩田は少し困った表情をした。理由は簡単なことだが、話すことには抵抗がある。まだ辞めなければならないと確定したわけでもなく、事情を説明すればいたずらに彼を不安にさせるだけだと思われた。
「今はまだ、話せない」
 それが塩田の結論。
「今は?」
「その時が来たら、ちゃんと話すから」
「うん」
 彼はベッドに横たわる塩田の手を握り込み、再び口づけを落とした。まるで、離れたくないとでも言うように。

──不思議だな。あんな始まり方だったのに。
 いつの間にか、紀夫は自分にとってかけがえのない存在だ。

 彼の手がシャツを捲し上げ、肌を滑る。愛しいと言う想いを伝えるかのように、何度も優しいキスをしながら。
「はぁッ……」
 彼のくれる愛撫で簡単に欲情していく自分。彼も自分に触れることで、欲情してくれたらいいと塩田は思っていた。自分が彼を必要とするように、彼にも必要とされたい。
「んッ」
 彼の手は躊躇なく塩田の下着の中へ。

「ねえ、破いていい?」
 塩田がうっとりしていると、突如彼がトチ狂ったことをいい始めた。
「いや、ダメだ」
「なんで?」
 正直、なんでもクソもない。パンツは履くものであって、破くものではないからだ。そしてこれは、通販で購入した勝負パンツ。ピンクスケスケおパンティ。言うなれば一張羅。一枚しかないのだ。破いたら勝負できなくなるではないか。

「破いたら、もう履けないだろ」
「じゃあ、買ってあげるから。一箱分」
 確か、箱買いは百枚入り。そんなに買ってどうしたいんだ。”変態街道まっしぐらか?”と、塩田は不安に駆られながら、じっと彼を見つめ返したつもりだったが、彼はパンツを見つめていたのだった。
「おい! 待て」
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