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────3話*俺のものだから
9・勘違いは深く互いの心を抉り【R】
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****♡Side・副社長(皇)
『いい子だね』
子供でもないのに、社長にそう言われるたび嬉しかった。この行為にどんな意味があるかなんて考えない。彼が自分にとって唯一、甘えられる存在だと再確認できたらそれでいいのだ。
例え彼にとって、ただの性欲のはけ口であったとしても。
単なる好奇心だったとしても。いや……。
──支配の証だったとしても。
自分は彼に庇護を求めても、愛を求めたことなどないのだから。愛だの恋だの知る前に性を知った。そこに愛がなくても、身体は快感を得られるものなのだと学んだ。正しくなんてない。心や頭で否定していても、それがオスというモノなのだと理解した。
──だとするなら、何故あの人を拒絶するのか?
あの人はダメだ。その気持ちには応えられない。自分は塩田が好きなのだ。社長は自分にとって与える存在であって、奪う存在ではない。自分から求めない限り、俺を抱いたりしない。
──ねえ、そうでしょう?
皇は首筋を指先でなぞり反応を見ている社長を、じっと見つめた。その視線に気づいた彼は、”どうしたの?”とでもいうように笑みを作り、首を傾げる。
皇は彼の本音を知らない。ただ優しく守ってくれる存在だと思っていた。
「こんな刺激じゃ足りない?」
的外れな言葉に、皇は否定も肯定もしない。
「しょうがない子だね、もっと興奮させてあげるよ」
「あ……」
彼は皇の股の裏に両手を滑りこませると、腰を持ち上げるようにして大きく開いた。
「んッ……」
皇の最奥の蕾を、厭らしく舌が這う。
「皇くんはここ、こうされるの大好きでしょ」
「や……ああッ」
──本当はわかってる。自分に言い訳してるだけなこと。
こんなの間違ってる。
こんなことしちゃダメなことわかってる。
誰かを傷つけてしまうだけなこと。
「んんッ……はあッ……」
彼は皇自身に手を伸ばすと、握りこみ優しく上下する。
──忘れさせて、独りぼっちなこと。
思い出させないで、見捨てられたこと。
こっちを見て……お願いだから。
ねえ、お父さん────。
****♡Side・社長
『もっとして』
彼が一体誰に何を求めているのか、分からなくなっていた。求められるまま繋がり、彼が満足するまで奥を満たしたつもりでいたが、その目はうつろだった。ベットに横たわる皇の髪をさらりと撫でる。
──彼は闇が深すぎる。
このままでは近い将来、壊れてしまうかもしれない。
だからといって現状を変えることはできない。離婚を考えたことは一度や二度じゃない。一人になればもっと甘えやすくなるかもしれないと思った。
だが、彼はそれを望んでいない。むしろ強引に愛人関係を結んでしまえば良かったのかもしれない。中途半端に性欲の処理をするような、この関係が彼の負担になっているとも考えられる。
「これは不倫なのか?」
二度目の情事。
分からなくなっている自分がいた。
『いい子だね』
子供でもないのに、社長にそう言われるたび嬉しかった。この行為にどんな意味があるかなんて考えない。彼が自分にとって唯一、甘えられる存在だと再確認できたらそれでいいのだ。
例え彼にとって、ただの性欲のはけ口であったとしても。
単なる好奇心だったとしても。いや……。
──支配の証だったとしても。
自分は彼に庇護を求めても、愛を求めたことなどないのだから。愛だの恋だの知る前に性を知った。そこに愛がなくても、身体は快感を得られるものなのだと学んだ。正しくなんてない。心や頭で否定していても、それがオスというモノなのだと理解した。
──だとするなら、何故あの人を拒絶するのか?
あの人はダメだ。その気持ちには応えられない。自分は塩田が好きなのだ。社長は自分にとって与える存在であって、奪う存在ではない。自分から求めない限り、俺を抱いたりしない。
──ねえ、そうでしょう?
皇は首筋を指先でなぞり反応を見ている社長を、じっと見つめた。その視線に気づいた彼は、”どうしたの?”とでもいうように笑みを作り、首を傾げる。
皇は彼の本音を知らない。ただ優しく守ってくれる存在だと思っていた。
「こんな刺激じゃ足りない?」
的外れな言葉に、皇は否定も肯定もしない。
「しょうがない子だね、もっと興奮させてあげるよ」
「あ……」
彼は皇の股の裏に両手を滑りこませると、腰を持ち上げるようにして大きく開いた。
「んッ……」
皇の最奥の蕾を、厭らしく舌が這う。
「皇くんはここ、こうされるの大好きでしょ」
「や……ああッ」
──本当はわかってる。自分に言い訳してるだけなこと。
こんなの間違ってる。
こんなことしちゃダメなことわかってる。
誰かを傷つけてしまうだけなこと。
「んんッ……はあッ……」
彼は皇自身に手を伸ばすと、握りこみ優しく上下する。
──忘れさせて、独りぼっちなこと。
思い出させないで、見捨てられたこと。
こっちを見て……お願いだから。
ねえ、お父さん────。
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『もっとして』
彼が一体誰に何を求めているのか、分からなくなっていた。求められるまま繋がり、彼が満足するまで奥を満たしたつもりでいたが、その目はうつろだった。ベットに横たわる皇の髪をさらりと撫でる。
──彼は闇が深すぎる。
このままでは近い将来、壊れてしまうかもしれない。
だからといって現状を変えることはできない。離婚を考えたことは一度や二度じゃない。一人になればもっと甘えやすくなるかもしれないと思った。
だが、彼はそれを望んでいない。むしろ強引に愛人関係を結んでしまえば良かったのかもしれない。中途半端に性欲の処理をするような、この関係が彼の負担になっているとも考えられる。
「これは不倫なのか?」
二度目の情事。
分からなくなっている自分がいた。
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