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────3話*俺のものだから
2・カオスな職場と陰謀
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****♡Side・塩田
「ねえ、塩田」
皇が総括に呼ばれたので、つまらなそうにしていた電車《でんま》だったが、思いついたようにガバッと後ろから塩田に抱きついてきた。
「ん?」
付き合うようになってからは、会社ではなかなか自分からボディタッチをしてこない彼が珍しくそんなことをしてきたので、思わず笑みが零れる塩田だったが。
「今夜もいっぱい愛してあげる」
と彼が耳元で囁くので、むせそうになる。
誰も聞いてないよな、と苦情係に居る彼らに素早く視線を走らせるが。
課長はぼんやりと丸ごとバ〇ナを咥え考え事をしているし、板井は足の小指を抑え痛がっており、皇は黒岩に向かって何かオーバーアクションで説明しているところで、黒岩はそれを不満そうな表情でそれを聞いているといった風であった。
そして宅配のお兄さんが、固まっている。
──どういう状況なんだ、これは。
「紀夫、サインしてやれよ」
恐らく板井の足の小指に躓いたであろう宅配のお兄さんはサインを貰おうと全員を見渡し、状況がカオスだったため固まっているのだろう。
「うん」
電車は塩田の指示を受け、カウンターへ。
彼が離れていくと塩田は昨夜のことに想いを馳せた。
****♡Side・副社長(皇)
「社長」
「来たね、皇くん」
皇は黒岩からの昼の誘いを断り、社長室に居た。声をかければ社長は、皇の元まで近づきハグをする。それはよく頑張っているねと言う意であった。
「会食の相手はどちらなんです?」
「君は相変わらず、仕事内容にしか興味がないんだね」
彼はそう言って笑うと、皇の髪にちゅっと口づけ離れる。深い意味はない、ただの挨拶だ。
「××社だ、あそこの社長が今度の企画のスポンサーになってくれるとのことなんだが、その条件として君に会いたいと言ってきた」
──あの企画の担当は……。
後で企画部に連絡をとるか。
「どうも君のことをいたく気に入ったようだ」
「それで会食を」
「ああ。行ってくれるね」
断ることなどできるはずはない。社運がかかっているのだから。しかしそこにどんな意味があるのか考えると、なかなかうんとは言えなかった。
「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。僕も一緒に行くから」
彼は続けて、
『君のことは、僕が守ってあげるから』
と耳元でそっと告げる。
「もし、君に手を出そうものなら」
皇は黙って話を聞いていた。自分が何故副社長として彼の右腕の立場にいるのか、最近少し解り始めている。
「それを材料に契約を取り付けるから、心配しなくていい」
皇は心の中でため息をつく。
──黒岩さんといい、社長といい、先方といい……。
皆、何処かおかしい。
何故、そんな目で俺を見るんだ?
塩田ならまだしも。
「ねえ、塩田」
皇が総括に呼ばれたので、つまらなそうにしていた電車《でんま》だったが、思いついたようにガバッと後ろから塩田に抱きついてきた。
「ん?」
付き合うようになってからは、会社ではなかなか自分からボディタッチをしてこない彼が珍しくそんなことをしてきたので、思わず笑みが零れる塩田だったが。
「今夜もいっぱい愛してあげる」
と彼が耳元で囁くので、むせそうになる。
誰も聞いてないよな、と苦情係に居る彼らに素早く視線を走らせるが。
課長はぼんやりと丸ごとバ〇ナを咥え考え事をしているし、板井は足の小指を抑え痛がっており、皇は黒岩に向かって何かオーバーアクションで説明しているところで、黒岩はそれを不満そうな表情でそれを聞いているといった風であった。
そして宅配のお兄さんが、固まっている。
──どういう状況なんだ、これは。
「紀夫、サインしてやれよ」
恐らく板井の足の小指に躓いたであろう宅配のお兄さんはサインを貰おうと全員を見渡し、状況がカオスだったため固まっているのだろう。
「うん」
電車は塩田の指示を受け、カウンターへ。
彼が離れていくと塩田は昨夜のことに想いを馳せた。
****♡Side・副社長(皇)
「社長」
「来たね、皇くん」
皇は黒岩からの昼の誘いを断り、社長室に居た。声をかければ社長は、皇の元まで近づきハグをする。それはよく頑張っているねと言う意であった。
「会食の相手はどちらなんです?」
「君は相変わらず、仕事内容にしか興味がないんだね」
彼はそう言って笑うと、皇の髪にちゅっと口づけ離れる。深い意味はない、ただの挨拶だ。
「××社だ、あそこの社長が今度の企画のスポンサーになってくれるとのことなんだが、その条件として君に会いたいと言ってきた」
──あの企画の担当は……。
後で企画部に連絡をとるか。
「どうも君のことをいたく気に入ったようだ」
「それで会食を」
「ああ。行ってくれるね」
断ることなどできるはずはない。社運がかかっているのだから。しかしそこにどんな意味があるのか考えると、なかなかうんとは言えなかった。
「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。僕も一緒に行くから」
彼は続けて、
『君のことは、僕が守ってあげるから』
と耳元でそっと告げる。
「もし、君に手を出そうものなら」
皇は黙って話を聞いていた。自分が何故副社長として彼の右腕の立場にいるのか、最近少し解り始めている。
「それを材料に契約を取り付けるから、心配しなくていい」
皇は心の中でため息をつく。
──黒岩さんといい、社長といい、先方といい……。
皆、何処かおかしい。
何故、そんな目で俺を見るんだ?
塩田ならまだしも。
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