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────3話*俺のものだから
0・苦情係の日常
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****♡Side・課長(唯野)
「お前はそうやってビービー、ビービー泣いてりゃいいと思ってるんだろ!」
「うるさいな! 毎度毎度、俺の塩田に勝手に触りやがって!」
ここは苦情係である。主に悪質なクレーマーのお相手をする部署だ。
「はあ? 俺様のほうがよっぽど塩田の恋人に見えるだろうが」
「塩田と付き合っているのは俺なんだよ!」
決して社員同士が揉める場所ではない。
「へえ。誰に聞いたって俺様のほうが有利だな。お前は彼女がいるってもっぱら噂が立ってるしな」
「あんたは婚約者がいるだろうが!」
何度も言うが、ここは苦情係だ。
「おい。塩田なんとかしろよ。電車《でんま》と副社長が揉めてるだろうが」
渦中の男は最強塩男と名高い【塩田以往】。チラッと二人に視線を移しただけで、
「知らん」
ときたもんだ。
「おい、皇いる?」
と、そこへ唯野の同期の総括部長黒岩が顔を出す。
苦情係はとても小さな部署であり商品部の奥へ設置されており、平社員三人と課長一人で回している。
なのに何故か、次から次へと管理職のやつらが顔を出す変わった部署でもあった。社長を筆頭に、副社長皇。商品部の部長、総括部長黒岩などがやってくる。大抵は塩田に用があるのだが……。最近少し傾向が変わってきているようで。
唯野は先日の黒岩との会話を思い出し、頭痛がしたのだった。
**
『俺、皇とヤりたいんだよな』
『ぶッ』
黒岩の突然の発言に、唯野はコーヒーを吹いた。
『お前、とうとうイかれたのか?』
『俺はいたって真面目だ』
どうやら真面目に頭がイかれたようだ。どう考えても、ネジの二、三本はぶっ飛んだ発言である。相手はあの“キラキラ俺様副社長”だ。
『仕事のしすぎじゃないのか? 有給ちっとも消化できないんだろ?』
『いや、真面目にアイツにキメたいんだって』
──言ってることが薬中のようだぞ、大丈夫か?
『何、トチ狂ったこといってるんだ。嫁さんが泣くぞ』
『でも、皇可愛いし。エロくね?』
何を思ってそんなことを言うのか、まったく理解ができなかった。
──可愛い? 顔がか?
確かに童顔だとは思うが。
『誘ってもちっとも受けてくれないし。かと思えば家まで送ってくれるしさ。俺に少しは気があるよな?』
それは大いに勘違いと言うものだ。
『焦らしてんだよな、きっと』
──何を言ってるんだ! この男は。
どう見ても、皇は塩田に夢中だ。
なんだか、ややこしいことになってきたな。
『なあ、聞いてくれるか?』
さっきから、話ならずっと聞いているはずだ。
『どうやら、社長も皇に気があるみたいなんだよな』
『は?』
社長と副社長皇の噂は後を経たない。しかし、全て社長が黙らせたはずだった。何故また浮上したのか気になる。
──あの二人はそんな綺麗なものじゃない。
本当は……。
「お前はそうやってビービー、ビービー泣いてりゃいいと思ってるんだろ!」
「うるさいな! 毎度毎度、俺の塩田に勝手に触りやがって!」
ここは苦情係である。主に悪質なクレーマーのお相手をする部署だ。
「はあ? 俺様のほうがよっぽど塩田の恋人に見えるだろうが」
「塩田と付き合っているのは俺なんだよ!」
決して社員同士が揉める場所ではない。
「へえ。誰に聞いたって俺様のほうが有利だな。お前は彼女がいるってもっぱら噂が立ってるしな」
「あんたは婚約者がいるだろうが!」
何度も言うが、ここは苦情係だ。
「おい。塩田なんとかしろよ。電車《でんま》と副社長が揉めてるだろうが」
渦中の男は最強塩男と名高い【塩田以往】。チラッと二人に視線を移しただけで、
「知らん」
ときたもんだ。
「おい、皇いる?」
と、そこへ唯野の同期の総括部長黒岩が顔を出す。
苦情係はとても小さな部署であり商品部の奥へ設置されており、平社員三人と課長一人で回している。
なのに何故か、次から次へと管理職のやつらが顔を出す変わった部署でもあった。社長を筆頭に、副社長皇。商品部の部長、総括部長黒岩などがやってくる。大抵は塩田に用があるのだが……。最近少し傾向が変わってきているようで。
唯野は先日の黒岩との会話を思い出し、頭痛がしたのだった。
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『俺、皇とヤりたいんだよな』
『ぶッ』
黒岩の突然の発言に、唯野はコーヒーを吹いた。
『お前、とうとうイかれたのか?』
『俺はいたって真面目だ』
どうやら真面目に頭がイかれたようだ。どう考えても、ネジの二、三本はぶっ飛んだ発言である。相手はあの“キラキラ俺様副社長”だ。
『仕事のしすぎじゃないのか? 有給ちっとも消化できないんだろ?』
『いや、真面目にアイツにキメたいんだって』
──言ってることが薬中のようだぞ、大丈夫か?
『何、トチ狂ったこといってるんだ。嫁さんが泣くぞ』
『でも、皇可愛いし。エロくね?』
何を思ってそんなことを言うのか、まったく理解ができなかった。
──可愛い? 顔がか?
確かに童顔だとは思うが。
『誘ってもちっとも受けてくれないし。かと思えば家まで送ってくれるしさ。俺に少しは気があるよな?』
それは大いに勘違いと言うものだ。
『焦らしてんだよな、きっと』
──何を言ってるんだ! この男は。
どう見ても、皇は塩田に夢中だ。
なんだか、ややこしいことになってきたな。
『なあ、聞いてくれるか?』
さっきから、話ならずっと聞いているはずだ。
『どうやら、社長も皇に気があるみたいなんだよな』
『は?』
社長と副社長皇の噂は後を経たない。しかし、全て社長が黙らせたはずだった。何故また浮上したのか気になる。
──あの二人はそんな綺麗なものじゃない。
本当は……。
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