R18【同性恋愛】リーマン物語『俺のものになってよ』

crazy’s7@体調不良不定期更新中

文字の大きさ
上 下
72 / 218
────2話*俺のものでしょ?

22・俺のものでしょ?【微R】

しおりを挟む
****♡side・電車でんま

 資料室に入った時、副社長こと皇が塩田を本気でどうこうしようとする気がないことを知った。ただの脅しなんだということを。

────そして。

 皇が塩田に本気なことに気づいてしまった。最悪な誤算。彼は単に塩田が自分に興味を持たないから、執着しているだけなのだと思っていたのに。
「塩田」
「ん……」
 腕の中の彼は電車の与える愛撫に夢中になっていた。

──塩田は俺のものだよ。
 副社長なんかにやるもんか。
 自分があの人に劣ってるのはわかってる。
 あの人ならもっと塩田の望みを叶えてあげられることも。

 それでも塩田が一緒に居たい相手は自分なんだと自覚した今、少しづつ自信を持ち始めている。少なくとも、彼が身体の関係を築きたい相手は自分だ。その証拠に……。
 
 電車は先ほどの彼とのやり取りを思い出す。

『ねえ、かせてあげる』
 行き場のなくなった熱を放ってあげようと優しく囁けば、彼は瞳を閉じ電車の胸に額を寄せる。それは“して”のサイン。
『なあ、お前は?』
と電車を気遣う彼。
 そんな彼に、
『家でたっぷり相手して貰うから』
と言って耳たぶを甘嚙みするが。
 彼は、
『口だけの……癖に』
と吐き出すように言葉を溢しこちらを上目遣いで見上げるので、余裕がなくなりそうだった。
 ここは会社だ。皇のせいで煽られた性欲の処理をしてあげたいのに、自分のほうが夢中になってしまいそうで困る。電車は欲情してしまいそうな自分を自制するために、彼の濡れた唇に口づけたのだった。


****♡Side・副社長(皇)

 皇は副社長室で一人ため息を漏らした。
 それは自分の馬鹿さ加減にあきれてのことである。

──でも、塩田が寂しそうにしているのは嫌だったんだ。

 自分に言い訳して頭を抱える。電車でんまと気まずくなってしまい、その原因が自分にあると彼は言った。翌日、電車かれが何事もなかったように接するのがどうしても嫌だったようで、その時の態度のせいだろうか彼が自分のほうも見向きもしないという。
 その話を聞き、皇は考え過ぎだろうと思ったのだが。

──どうしてきっかけなんて作ってやろうとしたのだろうか?
 塩田に愛されている電車にムカついた。
 
 あんな顔させることが出来るのはこの世であいつだけなんだと思うと、どうにも自分を制御しきれなくて。

──塩田の嫌がる事はもうしたくないって思っていたのに。
 馬鹿だな、俺。

 皇は再びため息をつくと座り心地のよい椅子から立ち上がり、大きな窓の前に立つ。羽目殺しの窓から一望できる街並みは、少し自分を大きく感じさせる。天下を取ったような錯覚さえさせるのに、自分は籠の鳥なのだ。
 皇は社長が黒岩に渡したUSBのことを思い出し、塩田どころではないなと思いなおすのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

年上の恋人は優しい上司

木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。 仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。 基本は受け視点(一人称)です。 一日一花BL企画 参加作品も含まれています。 表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!! 完結済みにいたしました。 6月13日、同人誌を発売しました。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...