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────2話*俺のものでしょ?
22・俺のものでしょ?【微R】
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****♡side・電車
資料室に入った時、副社長こと皇が塩田を本気でどうこうしようとする気がないことを知った。ただの脅しなんだということを。
────そして。
皇が塩田に本気なことに気づいてしまった。最悪な誤算。彼は単に塩田が自分に興味を持たないから、執着しているだけなのだと思っていたのに。
「塩田」
「ん……」
腕の中の彼は電車の与える愛撫に夢中になっていた。
──塩田は俺のものだよ。
副社長なんかにやるもんか。
自分があの人に劣ってるのはわかってる。
あの人ならもっと塩田の望みを叶えてあげられることも。
それでも塩田が一緒に居たい相手は自分なんだと自覚した今、少しづつ自信を持ち始めている。少なくとも、彼が身体の関係を築きたい相手は自分だ。その証拠に……。
電車は先ほどの彼とのやり取りを思い出す。
『ねえ、達かせてあげる』
行き場のなくなった熱を放ってあげようと優しく囁けば、彼は瞳を閉じ電車の胸に額を寄せる。それは“して”のサイン。
『なあ、お前は?』
と電車を気遣う彼。
そんな彼に、
『家でたっぷり相手して貰うから』
と言って耳たぶを甘嚙みするが。
彼は、
『口だけの……癖に』
と吐き出すように言葉を溢しこちらを上目遣いで見上げるので、余裕がなくなりそうだった。
ここは会社だ。皇のせいで煽られた性欲の処理をしてあげたいのに、自分のほうが夢中になってしまいそうで困る。電車は欲情してしまいそうな自分を自制するために、彼の濡れた唇に口づけたのだった。
****♡Side・副社長(皇)
皇は副社長室で一人ため息を漏らした。
それは自分の馬鹿さ加減にあきれてのことである。
──でも、塩田が寂しそうにしているのは嫌だったんだ。
自分に言い訳して頭を抱える。電車と気まずくなってしまい、その原因が自分にあると彼は言った。翌日、電車が何事もなかったように接するのがどうしても嫌だったようで、その時の態度のせいだろうか彼が自分のほうも見向きもしないという。
その話を聞き、皇は考え過ぎだろうと思ったのだが。
──どうしてきっかけなんて作ってやろうとしたのだろうか?
塩田に愛されている電車にムカついた。
あんな顔させることが出来るのはこの世であいつだけなんだと思うと、どうにも自分を制御しきれなくて。
──塩田の嫌がる事はもうしたくないって思っていたのに。
馬鹿だな、俺。
皇は再びため息をつくと座り心地のよい椅子から立ち上がり、大きな窓の前に立つ。羽目殺しの窓から一望できる街並みは、少し自分を大きく感じさせる。天下を取ったような錯覚さえさせるのに、自分は籠の鳥なのだ。
皇は社長が黒岩に渡したUSBのことを思い出し、塩田どころではないなと思いなおすのだった。
資料室に入った時、副社長こと皇が塩田を本気でどうこうしようとする気がないことを知った。ただの脅しなんだということを。
────そして。
皇が塩田に本気なことに気づいてしまった。最悪な誤算。彼は単に塩田が自分に興味を持たないから、執着しているだけなのだと思っていたのに。
「塩田」
「ん……」
腕の中の彼は電車の与える愛撫に夢中になっていた。
──塩田は俺のものだよ。
副社長なんかにやるもんか。
自分があの人に劣ってるのはわかってる。
あの人ならもっと塩田の望みを叶えてあげられることも。
それでも塩田が一緒に居たい相手は自分なんだと自覚した今、少しづつ自信を持ち始めている。少なくとも、彼が身体の関係を築きたい相手は自分だ。その証拠に……。
電車は先ほどの彼とのやり取りを思い出す。
『ねえ、達かせてあげる』
行き場のなくなった熱を放ってあげようと優しく囁けば、彼は瞳を閉じ電車の胸に額を寄せる。それは“して”のサイン。
『なあ、お前は?』
と電車を気遣う彼。
そんな彼に、
『家でたっぷり相手して貰うから』
と言って耳たぶを甘嚙みするが。
彼は、
『口だけの……癖に』
と吐き出すように言葉を溢しこちらを上目遣いで見上げるので、余裕がなくなりそうだった。
ここは会社だ。皇のせいで煽られた性欲の処理をしてあげたいのに、自分のほうが夢中になってしまいそうで困る。電車は欲情してしまいそうな自分を自制するために、彼の濡れた唇に口づけたのだった。
****♡Side・副社長(皇)
皇は副社長室で一人ため息を漏らした。
それは自分の馬鹿さ加減にあきれてのことである。
──でも、塩田が寂しそうにしているのは嫌だったんだ。
自分に言い訳して頭を抱える。電車と気まずくなってしまい、その原因が自分にあると彼は言った。翌日、電車が何事もなかったように接するのがどうしても嫌だったようで、その時の態度のせいだろうか彼が自分のほうも見向きもしないという。
その話を聞き、皇は考え過ぎだろうと思ったのだが。
──どうしてきっかけなんて作ってやろうとしたのだろうか?
塩田に愛されている電車にムカついた。
あんな顔させることが出来るのはこの世であいつだけなんだと思うと、どうにも自分を制御しきれなくて。
──塩田の嫌がる事はもうしたくないって思っていたのに。
馬鹿だな、俺。
皇は再びため息をつくと座り心地のよい椅子から立ち上がり、大きな窓の前に立つ。羽目殺しの窓から一望できる街並みは、少し自分を大きく感じさせる。天下を取ったような錯覚さえさせるのに、自分は籠の鳥なのだ。
皇は社長が黒岩に渡したUSBのことを思い出し、塩田どころではないなと思いなおすのだった。
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