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────2話*俺のものでしょ?
20・優しい彼と健気な彼【微R】
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****♡side・塩田
「やめろ……はぁッ」
──なんでこんなことになったんだ?
「アイツの手だと思えば良い」
皇に耳元で優しく囁かれ、
「そんなこと、思えるわけ……」
塩田はぎゅっと瞳を閉じた。首筋を這う皇の舌。緩く、強くを繰り返しながら上下する彼の手は、塩田自身を握りこんでいる。
──相談した相手が間違っていたのか?
『俺様なら、いつだって何処でだってイチャイチャしてやるし、毎晩だって抱いてやる。お前をこんな風に欲求不満なんてさせない』
後ろから抱き締められ、彼の手は塩田の股を撫で上げた。塩田の身体は自分の意に反し、素直に反応してしまう。
昨夜、喧嘩をしてしまって出来なかったが期待していたのだ。電車との愛の営みを。愛しい彼を泣かせたことがショックで、塩田はちゃんと謝りたいのに、彼が忘れたように普通に振る舞うから言えなくなってしまった。
そうやって傷つけたまま折れさせる自分が嫌になる。こんなこと繰り返していたら、いつか彼は離れてしまうだろう。
その上……。
──自分はどうしようもないバカだ。
“浮気しないで……”
浮気なんてするつもりは、毛頭もないけれど。彼の不安材料と一緒にいる上に、性的なことをされている。こんなところ見られでもしたら、それこそアウトなのに。
それどころか皇は、塩田のスマホで彼に連絡すらしたのだ。
──もう、終わりかもしれない。
嫌だ。
別れたくない。
「塩田ッ!」
皇と連れだって入った資料室の入り口から、彼の声。塩田にはそれがまるで、終焉の足音のように感じた。
「来るなっ!」
塩田は震える声で、力いっぱい叫んだ。
****♡side・電車
遠くへは行っていないはずだと踏んで、休憩室、資料室と探し続け、すぐに二人を見つけることができた。しかし、
『来るなっ!』
と塩田。その声は震えている。
──どうしていつも……。
副社長と二人きり、来るなって。
聞けるわけないのに。
「塩田」
電車は覚悟を決めていた。きっとこれから最悪の現実を目の当たりにするんだろう。でも、それは塩田が望んだ訳じゃないし、自分がそうさせてしまったのかもしれない。
「なんでっ来るなって言ったのに! 見るなッ。皇……もっ……放せ」
塩田はワイシャツ一枚という姿でそこにいた。皇の腕の中に。電車は塩田の前に膝をつくと、彼の腕を掴み皇から引き離す。
「話をしよう? 塩田」
「何を……」
「副社長、悪いんだけど二人きりにして」
皇は何か言いたげではあったが、すくっと立ち上がると出口に向かっていく。
「鍵はかけろよ」
と、言い残して。
「やめろ……はぁッ」
──なんでこんなことになったんだ?
「アイツの手だと思えば良い」
皇に耳元で優しく囁かれ、
「そんなこと、思えるわけ……」
塩田はぎゅっと瞳を閉じた。首筋を這う皇の舌。緩く、強くを繰り返しながら上下する彼の手は、塩田自身を握りこんでいる。
──相談した相手が間違っていたのか?
『俺様なら、いつだって何処でだってイチャイチャしてやるし、毎晩だって抱いてやる。お前をこんな風に欲求不満なんてさせない』
後ろから抱き締められ、彼の手は塩田の股を撫で上げた。塩田の身体は自分の意に反し、素直に反応してしまう。
昨夜、喧嘩をしてしまって出来なかったが期待していたのだ。電車との愛の営みを。愛しい彼を泣かせたことがショックで、塩田はちゃんと謝りたいのに、彼が忘れたように普通に振る舞うから言えなくなってしまった。
そうやって傷つけたまま折れさせる自分が嫌になる。こんなこと繰り返していたら、いつか彼は離れてしまうだろう。
その上……。
──自分はどうしようもないバカだ。
“浮気しないで……”
浮気なんてするつもりは、毛頭もないけれど。彼の不安材料と一緒にいる上に、性的なことをされている。こんなところ見られでもしたら、それこそアウトなのに。
それどころか皇は、塩田のスマホで彼に連絡すらしたのだ。
──もう、終わりかもしれない。
嫌だ。
別れたくない。
「塩田ッ!」
皇と連れだって入った資料室の入り口から、彼の声。塩田にはそれがまるで、終焉の足音のように感じた。
「来るなっ!」
塩田は震える声で、力いっぱい叫んだ。
****♡side・電車
遠くへは行っていないはずだと踏んで、休憩室、資料室と探し続け、すぐに二人を見つけることができた。しかし、
『来るなっ!』
と塩田。その声は震えている。
──どうしていつも……。
副社長と二人きり、来るなって。
聞けるわけないのに。
「塩田」
電車は覚悟を決めていた。きっとこれから最悪の現実を目の当たりにするんだろう。でも、それは塩田が望んだ訳じゃないし、自分がそうさせてしまったのかもしれない。
「なんでっ来るなって言ったのに! 見るなッ。皇……もっ……放せ」
塩田はワイシャツ一枚という姿でそこにいた。皇の腕の中に。電車は塩田の前に膝をつくと、彼の腕を掴み皇から引き離す。
「話をしよう? 塩田」
「何を……」
「副社長、悪いんだけど二人きりにして」
皇は何か言いたげではあったが、すくっと立ち上がると出口に向かっていく。
「鍵はかけろよ」
と、言い残して。
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