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────2話*俺のものでしょ?
13・いちゃつく彼らと副社長
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****♡Side・副社長(皇)
────翌日、苦情係にて。
「塩田、ダメだって」
「何故。ここには恋人の定番は、膝枕と書いてある」
「いや、でも、ここ会社だし」
相変わらず、所選ばずイチャイチャする塩田と電車を、副社長こと皇は回転イスに腰かけ腕組みをし眺めていた。塩田の隣で。
正しくは”イチャイチャしようと頑張る塩田”と電車という表現が正しいのだが。
「何をしてるんだ、一体」
皇は、頭を抱える電車に説得を試みる塩田に声をかける。全くもって無謀だ。
「何って、見てわからないのか?」
と塩田は、思いっきり馬鹿にした表情をする。
日に日に皇に対しての扱いが酷くなっているような気もするが、そんなこと気にしていたら塩田の相手はできない。
「わからないから、聞いているんだろう?」
「この本に従い、イチャイチャしようと努力しているところだ」
「会社でか?」
「無論」
何故、塩田が威張っているのか謎ではあるが、皇は笑いたいのを耐え眉を寄せる。
「恋人とは周りの迷惑を顧みず、イチャつくものと記載されている。実行すべきだろ?」
塩田と皇の会話を聞いていたらしい唯野がコーヒーを吹き、隣の板井にかかる。
「ちょっと、課長!」
板井は”何してるんすか!”と抗議しはじめた。
「悪い」
唯野は素直に謝っている。
「塩田、それはダメなカップルの例だ」
「はあ?」
塩田は本と皇を見比べ、電車に視線を投げる。
そして、
「周りの迷惑を考える正しきカップルは、熱々ではないぞ」
と一言。
言いたいことは分からないでもないが、無茶苦茶だ。
「それに、あんただって何処でも口説いて来るじゃないか」
確かに間違ってはいない。
「塩田は何になりたいんだよ」
「熱々カップル」
皇の質問に、無表情で真面目に返答する塩田。”どこが熱々なんだ! さめざめしてるじゃないか!”とツッコミを入れたくなる。
「膝枕がダメなら、あーんをしよう紀夫」
何としてもイチャイチャしたいらしい。仕方ない奴だなと、皇はキッチンに立った。
──もし、俺が塩田の恋人だったら……。
どこでもイチャイチャしてやるのに。
電車は、人前で度を超えてイチャイチャするのは好まないようだ。好む人のほうが少数派かもしれないが。
皇は冷凍庫から板井特性チョコバナナを取り出すと、元の席へ。
「これでも食べさせてやれよ」
と、電車に差し出す。
塩田は自分がしたかったのか、じっと皇の手元を見つめている。電車は皇の思惑に感づき、それを受け取った。
「はい、塩田。あーん」
「何故、俺が……」
不満を漏らすも、電車がニコニコしているので逆らえない。塩田は渋々口を開け、チョコバナナをくわえる。
「塩田、可愛い(エロい)」
と、チョコバナナを咥える彼を見て、喉を鳴らしたのは電車だけではない。
皇も唯野も同様だ。
──良い眺めだな、塩田。
────翌日、苦情係にて。
「塩田、ダメだって」
「何故。ここには恋人の定番は、膝枕と書いてある」
「いや、でも、ここ会社だし」
相変わらず、所選ばずイチャイチャする塩田と電車を、副社長こと皇は回転イスに腰かけ腕組みをし眺めていた。塩田の隣で。
正しくは”イチャイチャしようと頑張る塩田”と電車という表現が正しいのだが。
「何をしてるんだ、一体」
皇は、頭を抱える電車に説得を試みる塩田に声をかける。全くもって無謀だ。
「何って、見てわからないのか?」
と塩田は、思いっきり馬鹿にした表情をする。
日に日に皇に対しての扱いが酷くなっているような気もするが、そんなこと気にしていたら塩田の相手はできない。
「わからないから、聞いているんだろう?」
「この本に従い、イチャイチャしようと努力しているところだ」
「会社でか?」
「無論」
何故、塩田が威張っているのか謎ではあるが、皇は笑いたいのを耐え眉を寄せる。
「恋人とは周りの迷惑を顧みず、イチャつくものと記載されている。実行すべきだろ?」
塩田と皇の会話を聞いていたらしい唯野がコーヒーを吹き、隣の板井にかかる。
「ちょっと、課長!」
板井は”何してるんすか!”と抗議しはじめた。
「悪い」
唯野は素直に謝っている。
「塩田、それはダメなカップルの例だ」
「はあ?」
塩田は本と皇を見比べ、電車に視線を投げる。
そして、
「周りの迷惑を考える正しきカップルは、熱々ではないぞ」
と一言。
言いたいことは分からないでもないが、無茶苦茶だ。
「それに、あんただって何処でも口説いて来るじゃないか」
確かに間違ってはいない。
「塩田は何になりたいんだよ」
「熱々カップル」
皇の質問に、無表情で真面目に返答する塩田。”どこが熱々なんだ! さめざめしてるじゃないか!”とツッコミを入れたくなる。
「膝枕がダメなら、あーんをしよう紀夫」
何としてもイチャイチャしたいらしい。仕方ない奴だなと、皇はキッチンに立った。
──もし、俺が塩田の恋人だったら……。
どこでもイチャイチャしてやるのに。
電車は、人前で度を超えてイチャイチャするのは好まないようだ。好む人のほうが少数派かもしれないが。
皇は冷凍庫から板井特性チョコバナナを取り出すと、元の席へ。
「これでも食べさせてやれよ」
と、電車に差し出す。
塩田は自分がしたかったのか、じっと皇の手元を見つめている。電車は皇の思惑に感づき、それを受け取った。
「はい、塩田。あーん」
「何故、俺が……」
不満を漏らすも、電車がニコニコしているので逆らえない。塩田は渋々口を開け、チョコバナナをくわえる。
「塩田、可愛い(エロい)」
と、チョコバナナを咥える彼を見て、喉を鳴らしたのは電車だけではない。
皇も唯野も同様だ。
──良い眺めだな、塩田。
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