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────2話*俺のものでしょ?
9・ベットの上の彼の姿態
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****♡Side・総括(黒岩)
「それで?」
社長は悪びれもせず、あの日のことを話してくれた。黒岩はどう返すか迷う。彼は後ろに手を組んだまま、大きな窓の近くまで歩いていく。
社長室から見える景色は、とても鮮やかだった。
黙っている黒岩に対し社長は、
「詳しく知りたいのかい?」
と、デスクの引き出しを開け、USBを取り出しこちらに投げて寄こす。
「彼は最高だよ」
そういうと、そっと目を伏せた。
**
黒岩はUSBの中身が気になったが、皆が退社するまで待つことにした。暗くなった社内の休憩室でノートPCに渡されたUSBを差し込み、ファイルを開き驚く。
『んんッ…』
それは皇と社長の行為の一部だった。
今よりまだ幼い表情をした彼は、社長の腕の中で甘い声を漏らしている。普段の彼からは想像もできないほど厭らしく、しなやかで艶やかな肢体が瞳に飛び込む。聞こえるのは水音と彼の甘い声、そして息遣いだけだった。
「こんなもの撮って……」
思わず呟くように言葉を漏らしたものの、黒岩の目は画面に釘付け。社長の言う”彼は最高だよ”という意味を理解し、舌打ちする。己の性欲を刺激するのは何も、彼が厭らしく腰を揺らしているからではない。
尊大で生意気な俺様の彼を組み伏せ、支配しているような気分になるからだ。瞳に浮かぶ涙、感じたくないという表情、それに反して漏れる声。見ているだけの自分でさえ、支配欲が満たされるような錯覚。
このまま見ていると、気が変になりそうだと総括は映像を止めた。耳に貼りついた彼の、甘い声が消えない。
「くそっ」
腹を立てたのは自分自身にだった。本来ならば彼があんなことをされたことに腹を立てるべきなのに、下半身が反応してしまっている。
──社長は何故、こんなものを撮ったんだ?
脅すためなら、自分に渡すわけはない。
コピーの一部だったとしても。
そもそも目的が分からない。
「まだ残ってるのか?」
と、暗い室内に光が差す。
黒岩は相手の声にドキリとした。
「そっちこそ」
黒岩は慌ててノートPCを閉じると微笑んだ。相手こと、皇は隣に腰かけようとして眉を顰める。どうやら黒岩の息子に気づいたらしい。
「まさか、会社で変なもん観てるわけじゃないだろうな?」
「そんなわけないだろ」
「怪しい、見せてみろよ」
ソファーに片足をかけ、黒岩からノートPCを奪おうとする彼。こんなものを見られてはたまったものじゃないと、ノートPCを死守する黒岩。
「ダメだって」
その手を掴み皇を見上げると、廊下からの逆光で彼がいつもより艶やかに見える。先ほどの映像がフラッシュバックし、黒岩は思わず口元を抑えた。
──やべ、鼻血でそう。
「はいはい、エッチなの観てましたよ。だから、ダメって……おい!」
開き直って諦めてもらおうとしたが、どうやら失敗したようだ。ノートPCはすでに彼の手の中。
「皇」
「……」
画面を凝視し固まる彼に、黒岩はため息をついたのだった。
「それで?」
社長は悪びれもせず、あの日のことを話してくれた。黒岩はどう返すか迷う。彼は後ろに手を組んだまま、大きな窓の近くまで歩いていく。
社長室から見える景色は、とても鮮やかだった。
黙っている黒岩に対し社長は、
「詳しく知りたいのかい?」
と、デスクの引き出しを開け、USBを取り出しこちらに投げて寄こす。
「彼は最高だよ」
そういうと、そっと目を伏せた。
**
黒岩はUSBの中身が気になったが、皆が退社するまで待つことにした。暗くなった社内の休憩室でノートPCに渡されたUSBを差し込み、ファイルを開き驚く。
『んんッ…』
それは皇と社長の行為の一部だった。
今よりまだ幼い表情をした彼は、社長の腕の中で甘い声を漏らしている。普段の彼からは想像もできないほど厭らしく、しなやかで艶やかな肢体が瞳に飛び込む。聞こえるのは水音と彼の甘い声、そして息遣いだけだった。
「こんなもの撮って……」
思わず呟くように言葉を漏らしたものの、黒岩の目は画面に釘付け。社長の言う”彼は最高だよ”という意味を理解し、舌打ちする。己の性欲を刺激するのは何も、彼が厭らしく腰を揺らしているからではない。
尊大で生意気な俺様の彼を組み伏せ、支配しているような気分になるからだ。瞳に浮かぶ涙、感じたくないという表情、それに反して漏れる声。見ているだけの自分でさえ、支配欲が満たされるような錯覚。
このまま見ていると、気が変になりそうだと総括は映像を止めた。耳に貼りついた彼の、甘い声が消えない。
「くそっ」
腹を立てたのは自分自身にだった。本来ならば彼があんなことをされたことに腹を立てるべきなのに、下半身が反応してしまっている。
──社長は何故、こんなものを撮ったんだ?
脅すためなら、自分に渡すわけはない。
コピーの一部だったとしても。
そもそも目的が分からない。
「まだ残ってるのか?」
と、暗い室内に光が差す。
黒岩は相手の声にドキリとした。
「そっちこそ」
黒岩は慌ててノートPCを閉じると微笑んだ。相手こと、皇は隣に腰かけようとして眉を顰める。どうやら黒岩の息子に気づいたらしい。
「まさか、会社で変なもん観てるわけじゃないだろうな?」
「そんなわけないだろ」
「怪しい、見せてみろよ」
ソファーに片足をかけ、黒岩からノートPCを奪おうとする彼。こんなものを見られてはたまったものじゃないと、ノートPCを死守する黒岩。
「ダメだって」
その手を掴み皇を見上げると、廊下からの逆光で彼がいつもより艶やかに見える。先ほどの映像がフラッシュバックし、黒岩は思わず口元を抑えた。
──やべ、鼻血でそう。
「はいはい、エッチなの観てましたよ。だから、ダメって……おい!」
開き直って諦めてもらおうとしたが、どうやら失敗したようだ。ノートPCはすでに彼の手の中。
「皇」
「……」
画面を凝視し固まる彼に、黒岩はため息をついたのだった。
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