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────1話*俺のものになってよ
18・俺には、恋人らしいは難しい【微R】
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****♡Side・塩田
「ねえ、塩田」
電車はバスタブのふちに頬杖をつき、洗い場で身体に泡を滑らせている塩田に声をかけて来た。
「なんだ」
「明日、夕食どこかに食べに行こうよ」
「外食したいのか?」
と、塩田が不思議そうな顔をすると、彼は柔らかく微笑んで、
「デート、しようよ」
と言いなおす。
「デート……」
「ね、いいでしょ?」
優しい眼差し。塩田はじっと彼を見つめた。
電車は同期で同じ部署。何かと言えばしょっちゅう家に入り浸っていたし、何でも知っていると思っていた。強引な奴だと思っていたのに、彼は優しい。
「いいよ」
きっと”自分を思ってのことなんだ”と解釈した塩田が承諾の意を示すと、彼は嬉しそうな顔をする。
相手に笑っていて欲しいと願うことが、恋なのかもしれない。
恋なんて無縁だった自分には、”恋人らしいこと”なんて簡単には思いつかない。馬鹿みたいに勉強して”こういうことをすればいいのか”と頭で理解するだけ。
「楽しみだね」
と、彼。
「そうだな」
と返せば、彼が愛しそうに塩田の髪に触れる。塩田はそんな彼に口づけた。
****♡Side・電車
──最近、塩田が積極的だ。
嬉しけど、戸惑う。
塩田の唇が離れ、電車は困ったように笑みを浮かべる。ここは風呂場で、全裸。変な気を起こすつもりはなかったが、自分の意志に反して下半身が反応しそうである。理性と煩悩の狭間で行ったり来たり。
わき腹をツネって耐えていると、
「少し開けて」
と、塩田が浴槽に入ってくる。
「うん」
──ええッ!
今にも”おはよう”してしまいそうな自分自身と戦う電車に、追い打ちをかけるかのように彼は、電車の胸にその背中を預け腰かけた。
──ご、拷問⁈
困惑する電車などお構いなし。
「えっと、塩田」
「ん?」
「ひっつきすぎじゃない?」
耐えきれず、彼にそう言うと、
「いいだろ」
と不機嫌な返事。
電車はため息をつくと、そっと後ろから彼を抱きしめた。
「ご機嫌斜めなの?」
耳元で優しく問えば、
「別に」
と短く答える。
──塩田が悪いんだよ?
無自覚だから。
電車は、塩田のせいにして理性を投げ捨てた。首筋に吸い付き、彼の胸の飾りに指を滑らす。
「おい……何して……」
慌てる彼に電車は、
「誘ってるんでしょ?」
と問い、
「んッ……はあッ……そんなことしてない」
と嫌がってはいないが、やんわりと抵抗し涙目で振り返る彼に口づけた。
「俺をその気にさせたいんでしょ?」
「んんッ……なんでそうなるッ」
「こんな状態でくっつかれたら、誰だって平静じゃいられない」
「はあッ……俺はただ……」
”恋人みたいにしたかっただけ”
彼の頬を伝う涙。
──なんて愛しいんだろう。
俺は馬鹿だな。
「ねえ、塩田」
電車はバスタブのふちに頬杖をつき、洗い場で身体に泡を滑らせている塩田に声をかけて来た。
「なんだ」
「明日、夕食どこかに食べに行こうよ」
「外食したいのか?」
と、塩田が不思議そうな顔をすると、彼は柔らかく微笑んで、
「デート、しようよ」
と言いなおす。
「デート……」
「ね、いいでしょ?」
優しい眼差し。塩田はじっと彼を見つめた。
電車は同期で同じ部署。何かと言えばしょっちゅう家に入り浸っていたし、何でも知っていると思っていた。強引な奴だと思っていたのに、彼は優しい。
「いいよ」
きっと”自分を思ってのことなんだ”と解釈した塩田が承諾の意を示すと、彼は嬉しそうな顔をする。
相手に笑っていて欲しいと願うことが、恋なのかもしれない。
恋なんて無縁だった自分には、”恋人らしいこと”なんて簡単には思いつかない。馬鹿みたいに勉強して”こういうことをすればいいのか”と頭で理解するだけ。
「楽しみだね」
と、彼。
「そうだな」
と返せば、彼が愛しそうに塩田の髪に触れる。塩田はそんな彼に口づけた。
****♡Side・電車
──最近、塩田が積極的だ。
嬉しけど、戸惑う。
塩田の唇が離れ、電車は困ったように笑みを浮かべる。ここは風呂場で、全裸。変な気を起こすつもりはなかったが、自分の意志に反して下半身が反応しそうである。理性と煩悩の狭間で行ったり来たり。
わき腹をツネって耐えていると、
「少し開けて」
と、塩田が浴槽に入ってくる。
「うん」
──ええッ!
今にも”おはよう”してしまいそうな自分自身と戦う電車に、追い打ちをかけるかのように彼は、電車の胸にその背中を預け腰かけた。
──ご、拷問⁈
困惑する電車などお構いなし。
「えっと、塩田」
「ん?」
「ひっつきすぎじゃない?」
耐えきれず、彼にそう言うと、
「いいだろ」
と不機嫌な返事。
電車はため息をつくと、そっと後ろから彼を抱きしめた。
「ご機嫌斜めなの?」
耳元で優しく問えば、
「別に」
と短く答える。
──塩田が悪いんだよ?
無自覚だから。
電車は、塩田のせいにして理性を投げ捨てた。首筋に吸い付き、彼の胸の飾りに指を滑らす。
「おい……何して……」
慌てる彼に電車は、
「誘ってるんでしょ?」
と問い、
「んッ……はあッ……そんなことしてない」
と嫌がってはいないが、やんわりと抵抗し涙目で振り返る彼に口づけた。
「俺をその気にさせたいんでしょ?」
「んんッ……なんでそうなるッ」
「こんな状態でくっつかれたら、誰だって平静じゃいられない」
「はあッ……俺はただ……」
”恋人みたいにしたかっただけ”
彼の頬を伝う涙。
──なんて愛しいんだろう。
俺は馬鹿だな。
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