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────1話*俺のものになってよ
14・恋人が可愛すぎて、困惑す
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****♡side・電車
──か、可愛い……。
電車は悶絶していた。
腕の中には塩田。電車の膝をまたぎ首に腕を絡み付け、まるで子供が甘えるようにまとわりつき、彼は寝息を立てている。朝から眠そうにしていた彼は、お昼を食べ終えると、そんな体勢で眠ってしまった。
しかしここは”苦情係”である。
そんな二人を課長の唯野が壁に寄り掛かり腕を組んで、面白そうに眺めていた。
「お前ら、毎晩励みすぎじゃないのか?」
と、唯野はコーヒーカップを口元へ持っていきながら。
電車は塩田がずり落ちないように、彼の腰のあたりで手を組む。
「セクハラですよ」
と、板井。
普段の塩田は、回転椅子に尊大な態度でふんぞり返っている。そんな彼が自分と特別な関係になってから、少しずつ心を許してくれているように感じていた。もっとも彼は、自分の感情にストレート人だ。そうしたいからそうしているだけであって、何も意外ではないのかもしれない。
時計に目を向けると、タイミングよく予鈴がなる、始業五分前のようだ。電車が彼を起こそうとしていると、唯野から制止の言葉が。
「寝かしといてやれよ」
この会社のモノは塩田には甘い。
苦情係で一番仕事をしているのは、彼だが。
「うん」
電車が頷き、塩田を見つめていると苦情係の電話がなった。どうやらクレームらしい。
「はい、苦情係」
と唯野が電話に出る。
電車は唯野がクレーム対応をするのを、ぼんやりと眺めていた。
**
「んん……」
午後の業務が開始し、三十分ほど経ったころ、彼が目を覚ます。
「おはよ、塩田」
「ん」
寝ぼけ眼で電車を見つめる彼。そんな二人の様子を唯野と板井が眺めている。
「え、ちょっ……」
ニコニコしながら塩田を見つめていた電車は、寝ぼけている彼の行動に慌てた。
「なんだよ」
「ダメだって」
キスをせがむ塩田を止めると彼がムッとする。電車は視線の先の唯野と目が合い、しろよとジェスチャーされた。
「塩田」
名を呼び、ちゅっと口づければ満足そうな表情をする。
そんな彼に電車は悶絶した。
──塩田が可愛すぎる。
「いつまでもイチャイチャしてるなよ」
と、いつの間にか傍に唯野が立っていたが、塩田は見向きもしない。
「電車、もっと」
と、ぎゅっとしがみつく彼に電車は違和感を覚える。
「塩田?」
「嫌なのか?」
──嫌じゃない。嫌じゃないケド……。
わざとだよね?
「おい、塩田いるか?」
と、そこへ面倒な人物がやってくる、副社長の皇だ。
「おい! 何いちゃついてるんだ」
皇はひょいっとカウンターを飛び越え、鬼の形相で。
──この人、婚約者もいるのになんでそんなに塩田に固執するんだろう?
電車が不思議そうに皇のほうを見ていると、塩田が耳元で飛んでもないことを言い出す。
「なあ、見せつけてやろうぜ」
と。
塩田らしからぬ発言に電車はますます困惑するのであった。
──か、可愛い……。
電車は悶絶していた。
腕の中には塩田。電車の膝をまたぎ首に腕を絡み付け、まるで子供が甘えるようにまとわりつき、彼は寝息を立てている。朝から眠そうにしていた彼は、お昼を食べ終えると、そんな体勢で眠ってしまった。
しかしここは”苦情係”である。
そんな二人を課長の唯野が壁に寄り掛かり腕を組んで、面白そうに眺めていた。
「お前ら、毎晩励みすぎじゃないのか?」
と、唯野はコーヒーカップを口元へ持っていきながら。
電車は塩田がずり落ちないように、彼の腰のあたりで手を組む。
「セクハラですよ」
と、板井。
普段の塩田は、回転椅子に尊大な態度でふんぞり返っている。そんな彼が自分と特別な関係になってから、少しずつ心を許してくれているように感じていた。もっとも彼は、自分の感情にストレート人だ。そうしたいからそうしているだけであって、何も意外ではないのかもしれない。
時計に目を向けると、タイミングよく予鈴がなる、始業五分前のようだ。電車が彼を起こそうとしていると、唯野から制止の言葉が。
「寝かしといてやれよ」
この会社のモノは塩田には甘い。
苦情係で一番仕事をしているのは、彼だが。
「うん」
電車が頷き、塩田を見つめていると苦情係の電話がなった。どうやらクレームらしい。
「はい、苦情係」
と唯野が電話に出る。
電車は唯野がクレーム対応をするのを、ぼんやりと眺めていた。
**
「んん……」
午後の業務が開始し、三十分ほど経ったころ、彼が目を覚ます。
「おはよ、塩田」
「ん」
寝ぼけ眼で電車を見つめる彼。そんな二人の様子を唯野と板井が眺めている。
「え、ちょっ……」
ニコニコしながら塩田を見つめていた電車は、寝ぼけている彼の行動に慌てた。
「なんだよ」
「ダメだって」
キスをせがむ塩田を止めると彼がムッとする。電車は視線の先の唯野と目が合い、しろよとジェスチャーされた。
「塩田」
名を呼び、ちゅっと口づければ満足そうな表情をする。
そんな彼に電車は悶絶した。
──塩田が可愛すぎる。
「いつまでもイチャイチャしてるなよ」
と、いつの間にか傍に唯野が立っていたが、塩田は見向きもしない。
「電車、もっと」
と、ぎゅっとしがみつく彼に電車は違和感を覚える。
「塩田?」
「嫌なのか?」
──嫌じゃない。嫌じゃないケド……。
わざとだよね?
「おい、塩田いるか?」
と、そこへ面倒な人物がやってくる、副社長の皇だ。
「おい! 何いちゃついてるんだ」
皇はひょいっとカウンターを飛び越え、鬼の形相で。
──この人、婚約者もいるのになんでそんなに塩田に固執するんだろう?
電車が不思議そうに皇のほうを見ていると、塩田が耳元で飛んでもないことを言い出す。
「なあ、見せつけてやろうぜ」
と。
塩田らしからぬ発言に電車はますます困惑するのであった。
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