R18【異性恋愛】『猟奇的、美形彼氏は』

crazy’s7@体調不良不定期更新中

文字の大きさ
上 下
34 / 47
4話 この男、葛藤につき

6・股間にパンチ⁉

しおりを挟む
「一応確認させてもらうけど、君は最寄田静香さん……で間違いないよね?」

「は、はい……」

 わたしは頷く。

「ふむ……四日目か、やっと出会うことが出来て良かったよ……」

 茶色の髪をした青年は胸に手を当てて、爽やかにウインクをしてくる。なかなかに整った顔立ちをしている。短髪はきれいにセットされており、清潔さを感じさせる。まさに世の女性の多くにとって理想に近いイケメンだ。だがしかし……。

「……」

 わたしは自然と距離を置こうとする。青年がそれに気が付いて、首を傾げる。

「うん? どうかした?」

「いや、なんというか……」

「ひょっとして……警戒をしている感じ?」

「ま、まあ、そうですね……」

 一昨昨日の一昨日、一昨日の昨日、昨日の今日だし、しょうがないだろう。わたしは素直に頷くことにする。

「ふふっ……俺は決して怪しい者じゃないよ」

「そ、そうですかね⁉」

 わたしは思わず大声を上げてしまう。ブレザー姿の高校生が集まっている中で、宇宙服を着ている男性は怪しい寄りだと思うが。ここは種子島宇宙センターではない。

「そうだよ。だからそんなに警戒をしないでくれ」

「……何故にわたしの名前を知っているんですか?」

「それはもちろん、君に用があるからだよ」

「よ、用があるって……もちろん個人差はあると思いますが、女子は宇宙にそこまで興味を持たないというか……宇宙飛行士さんにそこまで憧れはないというか……」

「! ははははは……!」

 青年は声高らかに笑う。わたしはちょっとムッとしながら尋ねる。

「な、なにがおかしいんですか?」

「いや、悪いね……俺は宇宙飛行士じゃないよ。こういうものだ」

 青年は宇宙服の左胸のマークを見せてくる。

「え? マー、マーク……? ええっと……?」

「ああ、俺のコードネームはデストロイ=ノリタカという。スペースポリスマンさ」

「ス、スペースポリスマン⁉」

 わたしは思いがけないフレーズに驚く。

「そうだよ、ごくごく普通のね」

 ノリタカと名乗った青年は髪をかき上げる。

「スペースポリスマンはごくごく普通ではありませんよ!」

「そうかい?」

「そうですよ! っていうか、初めて言いましたよ、そのフレーズ!」

「初めて?」

 ノリタカさんは驚いて目を丸くする。

「ええ、初めてですよ!」

「トウキョウはこんなに大きな街だというのに?」

 ノリタカさんは両手を大きく広げて、周囲を見回す。

「はい」

「近くにある新宿駅という場所はこの世界で一番の利用者数だと聞いたけど?」

「そ、それはそうらしいですけど……」

「それならば中にはいるだろう、スペースポリスマンの一人や二人くらい」

「ポ、ポリスマンは一杯いますけど、スペースはいないんじゃないですか……そんないちいち確認したりとかはしませんから知らないですけど」

「スペースポリスマンがいないって? ふむ、この日本という国……情報以上に治安が良いようだね……」

 ノリタカさんは腕を組んで感心したように呟く。

「……あの、もういいですか? ホームルームが始まってしまいますので……」

 わたしはその場から離れようとする。

「あ、ちょっと待ってくれ……!」

「はい?」

 わたしは呼び止められ、振り返ってしまう。

「………」

 ノリタカさんはなにやら取り出した機器を確認し、周囲を伺う。

「あ、あの……?」

「……うん、とりあえずは大丈夫のようだね」

 ノリタカさんは頷く。

「は、はあ……?」

「……そうだな……放課後にまた話をしたいのだけど……お願い出来るかな?」

「え、ええ……」

 わたしは露骨に困惑する。

「おや、困惑しているようだね。どうしてかな?」

「いや、どうしてかなって言われても……」

「まだ不信感は拭えていないかな?」

「不信感まみれですよ。大体コードネームってなんですか?」

「作戦を遂行する上での名前だよ」

「それはなんとなく分かりますが……本名は?」

「わけあってそれは明かせない」

「ええ……」

 ノリタカだというから、日本系なのかな……。しかし、本名不詳のスペースポリスマンとは……どうしたものか……。

「……マズいかな?」

「いや、いいです。失礼します」

「待っているよ」

 わたしは軽く会釈をし、その場を後にして、教室に向かう。夕方になり、ホームルームも終わる。この恥ずかしいイケメンと鉢合わせしたりしないように裏門から帰れば……。

「げっ……」

 裏門から帰ろうとしたわたしは顔をしかめる。ノリタカさんが何故かいたからだ。

「やあ!」

「……何故ここに?」

「いや、俺もホームルームが早目に終わったからね……この辺りを調査していた」

 ノリタカさんは機器を地面などにかざしながら歩き回っている。

「……そ、そういえば、もしかしてなんですけど……」

「ああ、俺はこの学園の転入生だよ」

「せ、制服が宇宙服で良いんですか?」

「特例で認めてもらったよ」

「そんなことが可能なんですか?」

「可能だ。なんといってもスペースポリスマンだからね」

「はあ……調査って?」

「良い質問だ。異常がないかをチェックしていたんだ」

「い、異常ですか?」

「そうだ……お、異常反応……現れたな、エイリアンだ。さあ、共に迎撃しよう」

「はいいいいっ⁉」

 ノリタカさんの提案にわたしは驚く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

処理中です...