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1話 その男、crazyにつき
5・派手で嫌味な女
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会場へ行ってみると、合コンと聞いていたはずだがどちらかというと飲み会という状況へ変わっていた。
合コンは独身の男女などが出会いを求めて集まる場だが、飲み会は出会い目的ではなく交流目的となる。後者は知り合いも多い分、気が楽である。
今回の合コンは元は男女六、六の予定だったらしいが、蓮が参加するとあって男女関係なく参加者がたくさん集まったという。
蓮が他の会社の人たちからも人気があるという話は、悠も知っている。
彼の仕事は営業事務。なので外に出ることはあまりないが、彼は他社からやってくる営業の人とすぐに仲が良くなってしまう。そのため、顔は広い方だといえるだろう。
そこからイケメンで面白い人という印象が口コミで広がっているという話を営業部の者から聞いたことがあった。
そのため、このような集まりではすぐに参加者が見つかるらしい。
ただし、彼は滅多に酒の席には参加しない。
それというのも”悠が呑めないから”だというのを先日他の社員から知った。
蓮は悠の一つ上。
つき合う前までのことはよく知らないが、それまでは呼ばれればそれなりに顔も出していたという。
──蓮はさりげなく気を使ってくれるんだよね。
大人数になったということで、奥の座敷を貸し切りだという連絡が先ほどメッセージで届いたのである。
それを確認した彼が、
「行こうか」
と悠に手を差し出したところで背後から女性に声をかけられた。
「あら、お久しぶりねえ。蓮」
その声に蓮の肩がびくりと震えた。
それは苦手な人と遭った時の反応だ。
恐々と振り返った蓮は、
「その節はどうも」
と当たり障りのない挨拶をする。
すると相手の女性は、連れの外国人に先に店を出るように言い、再び蓮に向き合うと、
「相変わらず、ツマラナイ反応しかしない男ねえ。顔はイケてるけど」
と失礼な発言をするではないか。
彼女は露出の高いドレスを身に纏い、優雅な仕草で品定めでもするように蓮を眺める。
しかし彼はそれに反応はしなかった。
「用がないなら、僕は行くけど」
蓮が自分自身のことを『僕』と言うのを聞いて、この二人には何かあるのだろうと思う、悠。
繋いだ彼の手が、何故か震えていた。
「ところで、そちらの地味な彼女は恋人かしら?」
彼女はチラリと二人の手元に視線を走らせて。
その言葉に、彼女の脇をする抜けようとしていた蓮が立ち止まる。
「そうだと言ったら?」
抑揚のない声。怒っているのかもしれない。
「そう、新しい恋人なの。せいぜい飽きられないように、お気をつけ遊ばせ」
彼女の瞳がきらりと光る。
嫌味を言っているように見えて、彼女は蓮に気があることに悠は気づいてしまった。
ほほほと笑いながら去ってゆく彼女。
蓮は唇を噛みしめ、俯いていたのだった。
合コンは独身の男女などが出会いを求めて集まる場だが、飲み会は出会い目的ではなく交流目的となる。後者は知り合いも多い分、気が楽である。
今回の合コンは元は男女六、六の予定だったらしいが、蓮が参加するとあって男女関係なく参加者がたくさん集まったという。
蓮が他の会社の人たちからも人気があるという話は、悠も知っている。
彼の仕事は営業事務。なので外に出ることはあまりないが、彼は他社からやってくる営業の人とすぐに仲が良くなってしまう。そのため、顔は広い方だといえるだろう。
そこからイケメンで面白い人という印象が口コミで広がっているという話を営業部の者から聞いたことがあった。
そのため、このような集まりではすぐに参加者が見つかるらしい。
ただし、彼は滅多に酒の席には参加しない。
それというのも”悠が呑めないから”だというのを先日他の社員から知った。
蓮は悠の一つ上。
つき合う前までのことはよく知らないが、それまでは呼ばれればそれなりに顔も出していたという。
──蓮はさりげなく気を使ってくれるんだよね。
大人数になったということで、奥の座敷を貸し切りだという連絡が先ほどメッセージで届いたのである。
それを確認した彼が、
「行こうか」
と悠に手を差し出したところで背後から女性に声をかけられた。
「あら、お久しぶりねえ。蓮」
その声に蓮の肩がびくりと震えた。
それは苦手な人と遭った時の反応だ。
恐々と振り返った蓮は、
「その節はどうも」
と当たり障りのない挨拶をする。
すると相手の女性は、連れの外国人に先に店を出るように言い、再び蓮に向き合うと、
「相変わらず、ツマラナイ反応しかしない男ねえ。顔はイケてるけど」
と失礼な発言をするではないか。
彼女は露出の高いドレスを身に纏い、優雅な仕草で品定めでもするように蓮を眺める。
しかし彼はそれに反応はしなかった。
「用がないなら、僕は行くけど」
蓮が自分自身のことを『僕』と言うのを聞いて、この二人には何かあるのだろうと思う、悠。
繋いだ彼の手が、何故か震えていた。
「ところで、そちらの地味な彼女は恋人かしら?」
彼女はチラリと二人の手元に視線を走らせて。
その言葉に、彼女の脇をする抜けようとしていた蓮が立ち止まる。
「そうだと言ったら?」
抑揚のない声。怒っているのかもしれない。
「そう、新しい恋人なの。せいぜい飽きられないように、お気をつけ遊ばせ」
彼女の瞳がきらりと光る。
嫌味を言っているように見えて、彼女は蓮に気があることに悠は気づいてしまった。
ほほほと笑いながら去ってゆく彼女。
蓮は唇を噛みしめ、俯いていたのだった。
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