4 / 47
1話 その男、crazyにつき
1・お突き合い?!
しおりを挟む
そう、あれは。
「池内」
悠が蓮とたまたま一緒に、会社の玄関に居た時のことであった。彼は他社でも有名らしく、たくさん知り合いがいるようで。その日もわが社にやって来た他社の社員に話しかけられていた。
「ちょ、今日は可愛い子と一緒じゃん」
「ん?」
蓮は、なんのことだと言うように相手に視線を向ける。
「付き合ってる子とか?」
「突き合う?」
ゴルフクラブを振り回そうとしていた蓮の手が止まる。悠は彼らから離れると、自動販売機に向かった。今日は、新作のジュースが導入されるということを思い出したためだ。
「あった」
悠は二人の会話が気になったものの、新作のジュースを見上げる。
「突きあってはいないな」
と、連。
「可愛い子なのに。勿体ない」
「俺は突くのは好きだが、突かれる趣味はない。それに本人の希望は聞かないと」
「はい?」
悠が近くにいたのはたまたまだ。
「おい。受付お嬢」
炭酸リンゴを嬉しそうに抱えた悠が、徐にイヤそうな顔をする。
「なあに、おいって」
「突くと突かれるどっちが良い?」
「え?」
悠は何を言われているのか謎であった。そもそも彼がわけのわかることをいった試しはない。
「あなたといると、疲れる」
ニコッと笑い、嫌味を言ったつもりであったが、
「よし、今日から俺の彼女だ」
と言われ、
「はい?!」
と困惑する。
「成立だ。今日から俺たちは突く突かれるの関係だ」
「なんなのそれ!」
悠は、あまりに突然の地獄に卒倒した。
「ねえ、カワイコちゃんぶっ倒れたけど?」
と、他社の社員。
「おい、受付お嬢。しっかりしろ」
しょうがないなと言って、蓮は悠を担ぎあげる。そう、首に。
「ちょっとまて、池内」
「なんだ?」
救助担ぎの蓮にストップをかける彼。
「普通はおぶるだろ」
「は?」
蓮は悠の足を抑えている手の方を見る。彼女はひざ下のタイトスカートをはいていた。
「そんなことしたら、おパンティが丸出しになるだろう!」
「だったらせめて、お姫様だっことか」
「うーむ。注文が多いな」
蓮はめんどくさそうにそのまま、玄関に入っていったのだった。
──── そうそう、なんか気絶していてあんまり記憶がないのよね。
悠は頬杖をついたまま、記憶を辿る。そういえばあの時のジュースどうしたのかしらと。
「受付お嬢」
「なによー」
気づけば、目の前に蓮が立っていた。
「いい加減名前で呼びなさいよね。家では……ふがっ」
悠は口を手で押さえられる。
──── そう、何故か家では”悠タン”と呼ばれることが多いのよね。
「俺の威厳が損なわれる」
そもそもそんなものあったかしらと、悠は首をかしげるのであった。
「池内」
悠が蓮とたまたま一緒に、会社の玄関に居た時のことであった。彼は他社でも有名らしく、たくさん知り合いがいるようで。その日もわが社にやって来た他社の社員に話しかけられていた。
「ちょ、今日は可愛い子と一緒じゃん」
「ん?」
蓮は、なんのことだと言うように相手に視線を向ける。
「付き合ってる子とか?」
「突き合う?」
ゴルフクラブを振り回そうとしていた蓮の手が止まる。悠は彼らから離れると、自動販売機に向かった。今日は、新作のジュースが導入されるということを思い出したためだ。
「あった」
悠は二人の会話が気になったものの、新作のジュースを見上げる。
「突きあってはいないな」
と、連。
「可愛い子なのに。勿体ない」
「俺は突くのは好きだが、突かれる趣味はない。それに本人の希望は聞かないと」
「はい?」
悠が近くにいたのはたまたまだ。
「おい。受付お嬢」
炭酸リンゴを嬉しそうに抱えた悠が、徐にイヤそうな顔をする。
「なあに、おいって」
「突くと突かれるどっちが良い?」
「え?」
悠は何を言われているのか謎であった。そもそも彼がわけのわかることをいった試しはない。
「あなたといると、疲れる」
ニコッと笑い、嫌味を言ったつもりであったが、
「よし、今日から俺の彼女だ」
と言われ、
「はい?!」
と困惑する。
「成立だ。今日から俺たちは突く突かれるの関係だ」
「なんなのそれ!」
悠は、あまりに突然の地獄に卒倒した。
「ねえ、カワイコちゃんぶっ倒れたけど?」
と、他社の社員。
「おい、受付お嬢。しっかりしろ」
しょうがないなと言って、蓮は悠を担ぎあげる。そう、首に。
「ちょっとまて、池内」
「なんだ?」
救助担ぎの蓮にストップをかける彼。
「普通はおぶるだろ」
「は?」
蓮は悠の足を抑えている手の方を見る。彼女はひざ下のタイトスカートをはいていた。
「そんなことしたら、おパンティが丸出しになるだろう!」
「だったらせめて、お姫様だっことか」
「うーむ。注文が多いな」
蓮はめんどくさそうにそのまま、玄関に入っていったのだった。
──── そうそう、なんか気絶していてあんまり記憶がないのよね。
悠は頬杖をついたまま、記憶を辿る。そういえばあの時のジュースどうしたのかしらと。
「受付お嬢」
「なによー」
気づけば、目の前に蓮が立っていた。
「いい加減名前で呼びなさいよね。家では……ふがっ」
悠は口を手で押さえられる。
──── そう、何故か家では”悠タン”と呼ばれることが多いのよね。
「俺の威厳が損なわれる」
そもそもそんなものあったかしらと、悠は首をかしげるのであった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる