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1話 その男、crazyにつき
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「ねえ、ちょっと! 池内くん?! なんで一人でやっちゃうのよ」
池内 蓮。
スラリと背が高く整った顔をしており、スペックは高いが全くモテない残念な社員。彼は今日も社長に追いかけられていた。そのわけは……。
「一人でヤる?」
脳内で全てが下ネタ化される、トチ狂った男。社内でも有名な名物社員である。
「俺はまだ、社長とはヤってませんが?」
真面目な顔をして振り返れば、社員たちがどよめいた。
もちろん彼の美貌にではなく言語にである。彼は手に書類を抱え、自分のデスクに腰かけるところであった。
「社長は上ですか? 下ですか?」
「何言ってるの、池内くん!」
「早く! 俺は忙しいんです」
「じゃ、じゃあ上!」
急かされて答える社長。再びフロアの社員たちがどよめく。
「騎乗位ですか、悪くないですね。で?」
蓮の返答に、社長は頭を抱えた。毎度のことである。
「”で?”じゃなくて! なんで君、いつもいつも人の分まで仕事やっちゃうのよ!」
「暇なんで」
何故人の分まで仕事をやって、褒められるどころか怒られているのかと言えば、そこには理由があった。その量が尋常ではないからである。
蓮は涼し気な顔をして、高速でキーボードを叩いていた。
彼は特に仕事が好きというわけではない。単に作業が好きなだけである。通常人の分までというと、二、三人。もしくは四、五人程度だろうが、彼は人の十倍仕事をしていた。それが彼のスタンダード。理由は簡単、暇だから。やりすぎて毎日社長から怒られているが、全く気にしていなかった。
こんな日常も、名物と化している。
「一人でやらないでっていつも言ってるでしょ!」
「自慰はたまにしかしてませんが?」
蓮の真面目なトーンの返答に、社員たちがクスクスと笑っていた。
「だからね! 君がやりすぎているせいで、遊んじゃってる子が出ちゃうのよ」
蓮はふと、社長の股間を見つめる。
「そんなとこから出ないから!」
と、社長。何故か連は残念そうな顔をした。
「では、早く仕事取って来てください」
もう、どちらが上司だかわからない。社長は地団駄を踏むと、
「ちょっと! 営業部!」
と別な社員を呼んだ。えらいとばっちりである。
頬杖をつき、そんな彼らを見つめる可憐な女性。
「相模さん?」
相模 悠。この会社の事務兼受付嬢をしている、きゅるるん女子である。つまり、お目目ぱっちりの可愛い系ということだ。ザックリ言えば。
(ザックリし過ぎだ!)
彼女は彼らを眺めながら、初めて蓮に声をかけられた日のことを思い出してたのである。
『ちょっと、お茶くみ女……失礼、受付お嬢』
失礼極まりないことよりも、何故そこに”お”をつけたんだ? ということが忘れられない。その事がどうしても気になっていて、気づいたら付き合うことになっていた。人生何が起きるか分からないものである。
──── そういえば、何故付き合うことになったんだっけ?
悠は、彼と付き合うことになった経緯について想いを馳せたのだった。
池内 蓮。
スラリと背が高く整った顔をしており、スペックは高いが全くモテない残念な社員。彼は今日も社長に追いかけられていた。そのわけは……。
「一人でヤる?」
脳内で全てが下ネタ化される、トチ狂った男。社内でも有名な名物社員である。
「俺はまだ、社長とはヤってませんが?」
真面目な顔をして振り返れば、社員たちがどよめいた。
もちろん彼の美貌にではなく言語にである。彼は手に書類を抱え、自分のデスクに腰かけるところであった。
「社長は上ですか? 下ですか?」
「何言ってるの、池内くん!」
「早く! 俺は忙しいんです」
「じゃ、じゃあ上!」
急かされて答える社長。再びフロアの社員たちがどよめく。
「騎乗位ですか、悪くないですね。で?」
蓮の返答に、社長は頭を抱えた。毎度のことである。
「”で?”じゃなくて! なんで君、いつもいつも人の分まで仕事やっちゃうのよ!」
「暇なんで」
何故人の分まで仕事をやって、褒められるどころか怒られているのかと言えば、そこには理由があった。その量が尋常ではないからである。
蓮は涼し気な顔をして、高速でキーボードを叩いていた。
彼は特に仕事が好きというわけではない。単に作業が好きなだけである。通常人の分までというと、二、三人。もしくは四、五人程度だろうが、彼は人の十倍仕事をしていた。それが彼のスタンダード。理由は簡単、暇だから。やりすぎて毎日社長から怒られているが、全く気にしていなかった。
こんな日常も、名物と化している。
「一人でやらないでっていつも言ってるでしょ!」
「自慰はたまにしかしてませんが?」
蓮の真面目なトーンの返答に、社員たちがクスクスと笑っていた。
「だからね! 君がやりすぎているせいで、遊んじゃってる子が出ちゃうのよ」
蓮はふと、社長の股間を見つめる。
「そんなとこから出ないから!」
と、社長。何故か連は残念そうな顔をした。
「では、早く仕事取って来てください」
もう、どちらが上司だかわからない。社長は地団駄を踏むと、
「ちょっと! 営業部!」
と別な社員を呼んだ。えらいとばっちりである。
頬杖をつき、そんな彼らを見つめる可憐な女性。
「相模さん?」
相模 悠。この会社の事務兼受付嬢をしている、きゅるるん女子である。つまり、お目目ぱっちりの可愛い系ということだ。ザックリ言えば。
(ザックリし過ぎだ!)
彼女は彼らを眺めながら、初めて蓮に声をかけられた日のことを思い出してたのである。
『ちょっと、お茶くみ女……失礼、受付お嬢』
失礼極まりないことよりも、何故そこに”お”をつけたんだ? ということが忘れられない。その事がどうしても気になっていて、気づいたら付き合うことになっていた。人生何が起きるか分からないものである。
──── そういえば、何故付き合うことになったんだっけ?
悠は、彼と付き合うことになった経緯について想いを馳せたのだった。
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