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────1章【久隆と咲夜】
□3「大好きな久隆は」
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****♡Side・咲夜
────大崎邸にて。
「久隆ッ」
用事を済ませ咲夜が大崎邸に葵と二人で帰ると、久隆はすでに部屋で寛いでいた。先日、咲夜の為に購入した二人掛けのリクライニングチェアで、彼ははウサギのぬいぐるみを胸に抱きテレビモニターを見つめている。
「うん?お帰り」
「またAⅤ観てるッ」
「うん」
これは大崎代々に伝わる“理性を鍛える術”らしいのだが、咲夜としては面白くない。観ているからといって、久隆が興奮したり自慰行為に使ったりするわけではないのは分かっている。
久隆が他の人の裸を観るのが嫌ッ。
理性なんて鍛えなくてもいいじゃん!
今になってようやく葵の気持ちも理解できるようになった。中学時代の葵は“卑猥の代名詞”とあだ名がつくほど、あの手この手で咲夜をその気にさせようとしていたのだ。
「なんで」
咲夜が久隆の傍にしゃがみ込み抗議をすると、
「ノルマがあるんだよ」
と、面白くなさそうな顔をして彼は立ち上がる。
「むぅ」
頬を膨らませると、
「可愛い」
と彼はしゃがんでいる咲夜の頭をポンポンと撫で、入り口より右手に向かう。久隆の部屋は廊下から入ってすぐに書斎があり、左手奥にはウオークインクローゼットのある、広いベッドルーム。書斎から右手奥に簡易キッチンと浴室、パントリーなどがある。
「どこいくの?」
と、彼に問うと、
「風呂。湯はってくる、一緒に入ろう」
と言う返事。夕飯前の久隆とイチャイチャできる時間に咲夜は嬉しくなって、ベッドルームに向かった。制服を着替えるためである。
あ、ああッ。
夕飯前にエッチするのかな?
久隆、大好きッ。
**
「久隆」
「ん?」
咲夜が制服から私服に着替えて書斎に戻ると、彼は冷蔵庫からウーロン茶を出していて、
「飲む?」
と。冷蔵庫の横には三人掛けのカウンターがあり、葵が作ってくれたものだった。
「うん」
咲夜が返事をすると彼はグラスをもうひとつ用意し、ウーロン茶を入れてくれる。
「どうぞ、お姫様」
まるで執事のような仕草でそっと差し出す彼。
「ぬあッ」
咲夜はその姿に悶絶した。【旧姓 姫川 咲夜】時々こうやって、姫と呼ばれることがある。
「どうだった?」
彼は立ったままカウンターに寄りかかり、咲夜は椅子に腰かけた。
「順調」
彼から聞かれているのは生徒会の話である。
「それは良かった」
ニコッと微笑む久隆に、
「ハグ」
「ほら」
ハグを求めると、彼はグラスを置き咲夜を優しく抱き締めてくれた。立っている彼と座ったままの咲夜に丁度良い身長差が産まれ、顔を胸に埋めるようなカッコになる。
「久隆、好き」
「大好きだよ」
お風呂からメロディーが聞こえ、湯が張られた合図だと気づく。
「さて、行こうか」
二人は手を繋ぐとバスルームへ向かったのだった。
────大崎邸にて。
「久隆ッ」
用事を済ませ咲夜が大崎邸に葵と二人で帰ると、久隆はすでに部屋で寛いでいた。先日、咲夜の為に購入した二人掛けのリクライニングチェアで、彼ははウサギのぬいぐるみを胸に抱きテレビモニターを見つめている。
「うん?お帰り」
「またAⅤ観てるッ」
「うん」
これは大崎代々に伝わる“理性を鍛える術”らしいのだが、咲夜としては面白くない。観ているからといって、久隆が興奮したり自慰行為に使ったりするわけではないのは分かっている。
久隆が他の人の裸を観るのが嫌ッ。
理性なんて鍛えなくてもいいじゃん!
今になってようやく葵の気持ちも理解できるようになった。中学時代の葵は“卑猥の代名詞”とあだ名がつくほど、あの手この手で咲夜をその気にさせようとしていたのだ。
「なんで」
咲夜が久隆の傍にしゃがみ込み抗議をすると、
「ノルマがあるんだよ」
と、面白くなさそうな顔をして彼は立ち上がる。
「むぅ」
頬を膨らませると、
「可愛い」
と彼はしゃがんでいる咲夜の頭をポンポンと撫で、入り口より右手に向かう。久隆の部屋は廊下から入ってすぐに書斎があり、左手奥にはウオークインクローゼットのある、広いベッドルーム。書斎から右手奥に簡易キッチンと浴室、パントリーなどがある。
「どこいくの?」
と、彼に問うと、
「風呂。湯はってくる、一緒に入ろう」
と言う返事。夕飯前の久隆とイチャイチャできる時間に咲夜は嬉しくなって、ベッドルームに向かった。制服を着替えるためである。
あ、ああッ。
夕飯前にエッチするのかな?
久隆、大好きッ。
**
「久隆」
「ん?」
咲夜が制服から私服に着替えて書斎に戻ると、彼は冷蔵庫からウーロン茶を出していて、
「飲む?」
と。冷蔵庫の横には三人掛けのカウンターがあり、葵が作ってくれたものだった。
「うん」
咲夜が返事をすると彼はグラスをもうひとつ用意し、ウーロン茶を入れてくれる。
「どうぞ、お姫様」
まるで執事のような仕草でそっと差し出す彼。
「ぬあッ」
咲夜はその姿に悶絶した。【旧姓 姫川 咲夜】時々こうやって、姫と呼ばれることがある。
「どうだった?」
彼は立ったままカウンターに寄りかかり、咲夜は椅子に腰かけた。
「順調」
彼から聞かれているのは生徒会の話である。
「それは良かった」
ニコッと微笑む久隆に、
「ハグ」
「ほら」
ハグを求めると、彼はグラスを置き咲夜を優しく抱き締めてくれた。立っている彼と座ったままの咲夜に丁度良い身長差が産まれ、顔を胸に埋めるようなカッコになる。
「久隆、好き」
「大好きだよ」
お風呂からメロディーが聞こえ、湯が張られた合図だと気づく。
「さて、行こうか」
二人は手を繋ぐとバスルームへ向かったのだった。
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