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農産物語(漢字Ver.)
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むかーしむかーし、あるところに農産(のうさん)という男がいました。農産は貴族のおうちに生まれました。
農産のおうちにはお金がたくさんあって幸せでした。でも農産が生まれたのは貴族が『赤薔薇組』と『白薔薇組』に分かれて戦っていた時代でした。
農産のお父さんとおじいさんは『赤薔薇組』にいました。『白薔薇組』にライバルがいたからです。農産の家族はお父さんを応援しましたが、農産は空気が読めないので、一人だけ『白薔薇組』にいってしまいました。
そして気づいたらお父さんとおじいさんは『白薔薇組』に殺されてしまいました。そのため農産は『赤薔薇組』だった自分以外の家族が『しろばらぐみ』に捕まると考えました。
でも、王様は農産が裏切るかもと考えたので、農産も捕まってしまいます。そのまま農産は刑務所にいれられました。そのあと、カンカンの王様に塔の奥に閉じ込められ、ようやくはっとしました。
「ぼく、ここで死ぬのやだ」
農産は王様に頭を下げて「ゆるして!」と言い続けました。優しい王様は許してくれたので、農産は塔から出られました。
でも、その優しい王様は病気で死んでしまいました。新しい王様はいい人でしたが、人を信じることが苦手でした。新しい王様は農産のお友達のことは信じたけれど、農産のことはあまり信じていなかったのです。
さすがの農産も自分が信じられていないことに気づきました。なので農産は裏切って『赤薔薇組』からさらに新しい、お金が大好きな王様を用意し、王様を殺してしまいます。
「これでぼくのことを信じてくれる王様ができた!」
と、喜んだ農産ですが、さらに新しい王様は人を全く信じない王様でした。なので、また農産は刑務所にいれられてしまいます。農産は泣きました。ずっと、ずーっと泣き続けて牢屋が涙でいっぱいになるころにようやく王様は許してくれました。
「これでぼくは平和を手に入れた!」
農産は喜びました。そしておうちの帰りましたが農産のおうちの人も、周りに住んでいる人もみんな農産を嫌うようになりました。農産は他の人からたくさんお金を奪っていくようになったからです。
また、農産のおうちの近くに住む人は2番目の王様が、人を信じられなかった王様のことが大好きだったのです。
「あの人は人のことを信じるのは苦手だったけど、ぼくたちに優しくしてくれたよ。ぼくからお金をたくさん奪わなかったし、温かい言葉をかけてくれたんだよ」
農産の近くに住む人はそう言いました。
「あの王様は優しかったんだよ。人を信じるのが苦手だったけれど勇気がある、かっこいい王様だったんだよ。農産と違って人を裏切らなかったよ」
農産の近くに住む人はそう囁きました。
そしてある日、かっこいい騎士が言いました。
「農産を倒そう。農産はぼくたちの大切な王様を殺したんだよ。そうして人を全く信じない、お金が大好きな王様を連れてきた。農産を殺せば天国の王様は喜んでくれるよ」
「そうだね」
と、みんなは賛成します。
「農産を殺そう!」
農産は知らなかったのです。人を信じるのが苦手な王様がみんなから大切にされていたことに。
何も知らない農産はある日、お散歩にでかけました。のんきに歩いていると、突然、後ろから殴られます。
「農産を殺そう!」
みんなは叫びます。
農産は叩かれました。殴られました。蹴られました。頭突きされました。ふんずけられました。斬られました。刺されました。
あまりの痛さに農産はなきます。「痛いよ、痛いよ」と言っているうちに幻が見えてきました。お父さんとおじいさんと人を信じるのが苦手な王様です。
あの時、お父さんとおじいちゃんの味方をしていればよかったのかな。
あの時、王様を信じてみれば、ぼくも信じてもらえたのかな。
そんなことを考えながら、空気の読めない、裏切り者の農産は死んでいきました。そのことを、誰も悲しみませんでした。
農産が思った『あの時』、に違うことをしていたら、農産は幸せになれたのかもしれません。少なくとも、だれかが農産が死ぬことを悲しんでくれたのかもしれません。
農産のおうちにはお金がたくさんあって幸せでした。でも農産が生まれたのは貴族が『赤薔薇組』と『白薔薇組』に分かれて戦っていた時代でした。
農産のお父さんとおじいさんは『赤薔薇組』にいました。『白薔薇組』にライバルがいたからです。農産の家族はお父さんを応援しましたが、農産は空気が読めないので、一人だけ『白薔薇組』にいってしまいました。
そして気づいたらお父さんとおじいさんは『白薔薇組』に殺されてしまいました。そのため農産は『赤薔薇組』だった自分以外の家族が『しろばらぐみ』に捕まると考えました。
でも、王様は農産が裏切るかもと考えたので、農産も捕まってしまいます。そのまま農産は刑務所にいれられました。そのあと、カンカンの王様に塔の奥に閉じ込められ、ようやくはっとしました。
「ぼく、ここで死ぬのやだ」
農産は王様に頭を下げて「ゆるして!」と言い続けました。優しい王様は許してくれたので、農産は塔から出られました。
でも、その優しい王様は病気で死んでしまいました。新しい王様はいい人でしたが、人を信じることが苦手でした。新しい王様は農産のお友達のことは信じたけれど、農産のことはあまり信じていなかったのです。
さすがの農産も自分が信じられていないことに気づきました。なので農産は裏切って『赤薔薇組』からさらに新しい、お金が大好きな王様を用意し、王様を殺してしまいます。
「これでぼくのことを信じてくれる王様ができた!」
と、喜んだ農産ですが、さらに新しい王様は人を全く信じない王様でした。なので、また農産は刑務所にいれられてしまいます。農産は泣きました。ずっと、ずーっと泣き続けて牢屋が涙でいっぱいになるころにようやく王様は許してくれました。
「これでぼくは平和を手に入れた!」
農産は喜びました。そしておうちの帰りましたが農産のおうちの人も、周りに住んでいる人もみんな農産を嫌うようになりました。農産は他の人からたくさんお金を奪っていくようになったからです。
また、農産のおうちの近くに住む人は2番目の王様が、人を信じられなかった王様のことが大好きだったのです。
「あの人は人のことを信じるのは苦手だったけど、ぼくたちに優しくしてくれたよ。ぼくからお金をたくさん奪わなかったし、温かい言葉をかけてくれたんだよ」
農産の近くに住む人はそう言いました。
「あの王様は優しかったんだよ。人を信じるのが苦手だったけれど勇気がある、かっこいい王様だったんだよ。農産と違って人を裏切らなかったよ」
農産の近くに住む人はそう囁きました。
そしてある日、かっこいい騎士が言いました。
「農産を倒そう。農産はぼくたちの大切な王様を殺したんだよ。そうして人を全く信じない、お金が大好きな王様を連れてきた。農産を殺せば天国の王様は喜んでくれるよ」
「そうだね」
と、みんなは賛成します。
「農産を殺そう!」
農産は知らなかったのです。人を信じるのが苦手な王様がみんなから大切にされていたことに。
何も知らない農産はある日、お散歩にでかけました。のんきに歩いていると、突然、後ろから殴られます。
「農産を殺そう!」
みんなは叫びます。
農産は叩かれました。殴られました。蹴られました。頭突きされました。ふんずけられました。斬られました。刺されました。
あまりの痛さに農産はなきます。「痛いよ、痛いよ」と言っているうちに幻が見えてきました。お父さんとおじいさんと人を信じるのが苦手な王様です。
あの時、お父さんとおじいちゃんの味方をしていればよかったのかな。
あの時、王様を信じてみれば、ぼくも信じてもらえたのかな。
そんなことを考えながら、空気の読めない、裏切り者の農産は死んでいきました。そのことを、誰も悲しみませんでした。
農産が思った『あの時』、に違うことをしていたら、農産は幸せになれたのかもしれません。少なくとも、だれかが農産が死ぬことを悲しんでくれたのかもしれません。
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