12 / 12
いやー、平和だねー(今は)
一周年記念番外編 誕生日だヨ!!
しおりを挟む
1436年11月22日
「兄さん!お誕生日おめでとう!」
俺は弟のトムの大声に目を覚ました。
「おはよう、トム。…あ、今日は俺の誕生日か…」
11月22日はリッキーこと俺、リチャード・ネヴィルの誕生日だ。まだ前世が基準になっているものもあるせいで、前世とは違う自分の誕生日にはまだ慣れてない。
「僕、兄さんに1番におめでとうって言うために早起きしたんだ!偉いでしょ!」
「うん、偉いよトム。でも普段から早起きしような」
「うっ…」
トムは朝に弱い。寝坊する事が多いので大人になるまでになおして欲しいところだ。
「そうですよトマスにいさん。ちちうえもいいかげんにしろっていってますし、リチャードにいさんは『はやおきはサーモンの毒』とかいってるじゃないですか。あとおめでとございます、リチャードにいさん」
とたとた、と歩いてきて言ったのはジョニー。5才になった彼は容姿も性格も年々父に似てきた。
「ジョニー、三文の徳、だよ。あと、ありがとうね」
「そうでした。さんもんのとく、です。はやおきしてください」
幼いが、キリッとした顔でジョニーは言った。
「わかったよ、ジョニー。約束するから」
流石に弟に言われて応えたのか、トムは勢いよく頷いた。
…あの勢い、壊れた人形かな?
「あーっ!トム兄様もジョニーもずるーい!私が最初におめでとう言いたかったのに!」
頬を膨らませて言ったのはアリー。スカートには末弟のジョーがつかまっており、二人とも手に花を持っている。
「リッキー兄様お誕生日おめでとう」
「おめでと!」
「兄様のために二人でお花をとってきたの!」
二人は僕に花を渡してくれた。頑張をの証に手が汚れていた。
「二人ともありがとう。綺麗な花だね。でもはやく手を洗いに行こうか。父上が見たらなんて言うかな?」
「おい、アリー、ジョー。汚いぞ。泥を屋敷に持ち込むな、早く手を洗え。…というか、何をしていたんだ?…かな?」
アリーが父上の喋り方を真似する。母上似のアリーが父上の真似をするとかなり面白い。トムは既に吹き出している。
「さあ、もうすぐご飯だし、みんなで手を洗いに行こっか」
はーい、という弟妹たちの元気な返事を聞いて俺は微笑んだ。
◯●◯
「おはよう、リッキー、トム、アリー、ジョニー、ジョー。そしてお誕生日おめでとう、リッキー」
「おはようございます、ありがとうございます母上」
「おはようです、母さん!」
「おはよう、母様」
「おはようございます、かあさん」
「おあよーございます、ははうえ」
五者五様?の挨拶をすると、母上はジョーから幼い順に子供たちを抱きしめていった。年は29だが、まだ20代前半に見え、その天使のような可愛らしさは衰えていない。一方、先日、白髪が生えてきたことに気づいた父上は影で「アリスは若々しいのに私は何故…」とぶつぶつ言って、かなり落ち込んでいた。そりゃあ、貴方36ですから。貴方は結婚した時、20歳でしたが、母上は13歳でしたから。あれ、父上ってまさかロリコ…。
コホン。そして、ハグは俺の番になった。誕生日だからか、しっかりと抱きしめられた。
「おめでとう、リッキー。大きくなったわね。…生まれてきてくれてありがとう」
母上は優しく微笑み、頭を撫でてくれた。
「母上…」
「ほらリッキー。私からプレゼントもあるぞ」
母上が俺の頭を撫で終わると、いつのまにか現れた父上が俺に本を差し出してくれた。欲しかった歴史書だ。ものすごく嬉しい。
(前世は、欲しいものとか言えなかったからな…)
俺は前世、両親でない人に育てられた。だから、誕生日もクリスマスも欲しいものを「欲しい」と言えなかった。なんだか申し訳なかったのだ。
でも、今世は違う。俺には兄弟がいて、両親がいて、みんな優しくて、暖かい。
何かが、頬を伝った気がした。
「兄さん、泣いてるの!?」
ギョッとした顔をして、トムが言った。
「…リッキー。もしかして、これが要らなかったのか?」
父上も心配そうな顔をする。
「…大丈夫だよ、トム。プレゼント嬉しいです、父上」
「なら…」
「嬉しい、だけですから」
俺は嬉し泣きをしながら、笑ったのであった。
──────────────────────────────────────
リッキー596歳おめでとう!!!!!!…というか、ウォリック伯おめでとうございます!!!!!ですね。
そして、本小説も投稿一周年となりました。(一度カテゴリーエラーの関係で削除され、再投稿という形になったので初回公開と一話投稿の日付がズレていますが…)。読んでくれている読者の皆様、お気に入り登録してくださった方々、友人たち、応援してくれる家族にこの場でお礼を言わせていただきます。
本当にありがとうございます!!
これからもリッキーの物語は続いていきます。年内にはウォリックが成人し、宮廷の争いに巻き込まれていく新章に突入する予定です。改稿も考えております。
駄文、駄作ですがこれからもよろしくお願いします!!
「兄さん!お誕生日おめでとう!」
俺は弟のトムの大声に目を覚ました。
「おはよう、トム。…あ、今日は俺の誕生日か…」
11月22日はリッキーこと俺、リチャード・ネヴィルの誕生日だ。まだ前世が基準になっているものもあるせいで、前世とは違う自分の誕生日にはまだ慣れてない。
「僕、兄さんに1番におめでとうって言うために早起きしたんだ!偉いでしょ!」
「うん、偉いよトム。でも普段から早起きしような」
「うっ…」
トムは朝に弱い。寝坊する事が多いので大人になるまでになおして欲しいところだ。
「そうですよトマスにいさん。ちちうえもいいかげんにしろっていってますし、リチャードにいさんは『はやおきはサーモンの毒』とかいってるじゃないですか。あとおめでとございます、リチャードにいさん」
とたとた、と歩いてきて言ったのはジョニー。5才になった彼は容姿も性格も年々父に似てきた。
「ジョニー、三文の徳、だよ。あと、ありがとうね」
「そうでした。さんもんのとく、です。はやおきしてください」
幼いが、キリッとした顔でジョニーは言った。
「わかったよ、ジョニー。約束するから」
流石に弟に言われて応えたのか、トムは勢いよく頷いた。
…あの勢い、壊れた人形かな?
「あーっ!トム兄様もジョニーもずるーい!私が最初におめでとう言いたかったのに!」
頬を膨らませて言ったのはアリー。スカートには末弟のジョーがつかまっており、二人とも手に花を持っている。
「リッキー兄様お誕生日おめでとう」
「おめでと!」
「兄様のために二人でお花をとってきたの!」
二人は僕に花を渡してくれた。頑張をの証に手が汚れていた。
「二人ともありがとう。綺麗な花だね。でもはやく手を洗いに行こうか。父上が見たらなんて言うかな?」
「おい、アリー、ジョー。汚いぞ。泥を屋敷に持ち込むな、早く手を洗え。…というか、何をしていたんだ?…かな?」
アリーが父上の喋り方を真似する。母上似のアリーが父上の真似をするとかなり面白い。トムは既に吹き出している。
「さあ、もうすぐご飯だし、みんなで手を洗いに行こっか」
はーい、という弟妹たちの元気な返事を聞いて俺は微笑んだ。
◯●◯
「おはよう、リッキー、トム、アリー、ジョニー、ジョー。そしてお誕生日おめでとう、リッキー」
「おはようございます、ありがとうございます母上」
「おはようです、母さん!」
「おはよう、母様」
「おはようございます、かあさん」
「おあよーございます、ははうえ」
五者五様?の挨拶をすると、母上はジョーから幼い順に子供たちを抱きしめていった。年は29だが、まだ20代前半に見え、その天使のような可愛らしさは衰えていない。一方、先日、白髪が生えてきたことに気づいた父上は影で「アリスは若々しいのに私は何故…」とぶつぶつ言って、かなり落ち込んでいた。そりゃあ、貴方36ですから。貴方は結婚した時、20歳でしたが、母上は13歳でしたから。あれ、父上ってまさかロリコ…。
コホン。そして、ハグは俺の番になった。誕生日だからか、しっかりと抱きしめられた。
「おめでとう、リッキー。大きくなったわね。…生まれてきてくれてありがとう」
母上は優しく微笑み、頭を撫でてくれた。
「母上…」
「ほらリッキー。私からプレゼントもあるぞ」
母上が俺の頭を撫で終わると、いつのまにか現れた父上が俺に本を差し出してくれた。欲しかった歴史書だ。ものすごく嬉しい。
(前世は、欲しいものとか言えなかったからな…)
俺は前世、両親でない人に育てられた。だから、誕生日もクリスマスも欲しいものを「欲しい」と言えなかった。なんだか申し訳なかったのだ。
でも、今世は違う。俺には兄弟がいて、両親がいて、みんな優しくて、暖かい。
何かが、頬を伝った気がした。
「兄さん、泣いてるの!?」
ギョッとした顔をして、トムが言った。
「…リッキー。もしかして、これが要らなかったのか?」
父上も心配そうな顔をする。
「…大丈夫だよ、トム。プレゼント嬉しいです、父上」
「なら…」
「嬉しい、だけですから」
俺は嬉し泣きをしながら、笑ったのであった。
──────────────────────────────────────
リッキー596歳おめでとう!!!!!!…というか、ウォリック伯おめでとうございます!!!!!ですね。
そして、本小説も投稿一周年となりました。(一度カテゴリーエラーの関係で削除され、再投稿という形になったので初回公開と一話投稿の日付がズレていますが…)。読んでくれている読者の皆様、お気に入り登録してくださった方々、友人たち、応援してくれる家族にこの場でお礼を言わせていただきます。
本当にありがとうございます!!
これからもリッキーの物語は続いていきます。年内にはウォリックが成人し、宮廷の争いに巻き込まれていく新章に突入する予定です。改稿も考えております。
駄文、駄作ですがこれからもよろしくお願いします!!
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!
クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』
自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。
最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英国史雑まとめ(?)
月雪美玲
歴史・時代
英国史で自分が好きな部分を自作設定等含めながら書いていく物語。ちょっとだけ掲示板風かも。ほぼセリフと効果音のみで説明文はナシ。
*他国等出てきますが基本イギリス視点です
*作者はイギリス(主にヨーク家)びいきです
*なんか性格がだいぶ改変されています
*説明文なし
*もう本当に雑です
*基本的にみんな性格がおかしいですが、彼らに対するリスペクトはあります
*この作品は批判覚悟で書いているので、いつか消すかもしれません。残して欲しければその旨のコメントをお願いします
これらが苦手でしたらブラウザバックをお願いします。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる