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俺が…キングメーカー(予定)!?
5.ちゃんと勉強もしてるヨ!!
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1432年8月31日
リッキーだヨ!!
鼻血事件(?)から暫く経ち、もう夏も終わり。もっとも、俺のいるバークシャー(ロンドンの西隣)は北緯51度。東京が北緯35度くらいだからめっちゃ北だ。夏なのに20度代で涼しいヨ!クーラーを効かせなくても快適!わーい、転生万歳ー!(医療とか終わってるけど)。
さて、そんな俺は曇りである今日も籠って勉強をしている。え、ちょっとは外に出ろって?別にいいじゃん。俺、結構インドア派なんだもん(前世から)。え?運動しろ?ナニー?キコエナーイ
コホン。勉強に集中しよう。俺は今、様々な戦について勉強している。主に百年戦争についてだ。今はエドワード黒太子の初陣、クレシーの戦いについて学んでいる。(前世知識で)イングランドのロングボウ部隊が活躍した、ということは知っているが、その他のことについては詳しく知らない。
「リッキー。クレシーの戦いに関して何か質問はあるか?」
父上が背後から話しかけてきた。今日は休日なので俺の面倒を見てくれている。
「あ、はい。我が国の軍のロングボウはフランス軍のクロスボウより強いのですか?ここには我が軍が上から射て…、と書かれているのですが…」
そうだな、と考える素振りを見せる父上。
「まず、違いから話していこうか。我が国のロングボウははっきり言ってクロスボウより原始的だ。その上、引く力もかなりいるため扱いも難しい。だが、羽が多く長いため射程距離が長い。そして扱いが難しいということは、きちんと訓練してきた先鋭たちが使えるということだ。
一方フランスのクロスボウはまず速度が速く、近距離で当てられたらひとたまりもない。そしてそこまで訓練せずとも扱える。ただ、ロングボウより矢が短い故に、ロングボウより射程距離が短いのだ。
あと、射ることができる本数が違う。ロングボウは短期間でたくさん、クロスボウは長期間で少数、と覚えておけばいい。
だから、総合的にロングボウが強いが、射手を失った場合、損失が大きいのもロングボウだ、ということだ」
「へぇ、ありがとうございます、父上」
「じゃあ、次はカレー包囲戦だな。こっちはこの本の方が詳しく書かれている。ヘンリー5世陛下の頃の史料は、義父上が書いたり集めたりしたおかげで、我が家にもたくさんあるが、ブルターニュ継承戦争のものとかは多くなくてな…。今度探してくる」
義父上、と父上が呼ぶのは俺の祖父で母上の父、故人で先代ソールズベリー伯トマス・モンタキュートのことだ。ヘンリー5世に付き従い、活躍を遂げていた中、ジャンヌ・ダルクが現れるより前にオルレアン包囲戦で亡くなっている。近くを砲撃された時に負った怪我の影響だそうだ。
「祖父上の史料ですか。ちょっと気になりますねぇ」
何か面白いことが書いていないかな、と考え始める。
「残念だがリッキー。面白いことややらかしは書いていない。イングランド視点で戦争の記述があるのみだぞ」
げ、俺の考えバレてる。そしてイングランド視点ってことは都合悪いこと書いてないだろうな。たくさんあってもどこまでが真実なんだか。
「私自身、義父上のことはよく知らないしな。ヘンリー5世陛下の元で活躍こそしていたが、裏を返すとアリスと共にいなかった、ということになるからな。アリスから義父上の話をあまり聞いたことがない」
つまり祖父上が書いたものについては信憑性不明、っと。大丈夫かな。
「まぁ、私が知っていることは記しておくし、正確な史料をその時までには探しておくから安心しろ」
「ちゃんとわかってますね、父上」
俺の心読めるんじゃないかな、この人。父上のことが少しずつわかってきたような気がする。
「わかっていますね、とはなんだ。当たり前だろう」
父上がクスリ、と笑った。雲が動き、陽の光が入ってきた。
リッキーだヨ!!
鼻血事件(?)から暫く経ち、もう夏も終わり。もっとも、俺のいるバークシャー(ロンドンの西隣)は北緯51度。東京が北緯35度くらいだからめっちゃ北だ。夏なのに20度代で涼しいヨ!クーラーを効かせなくても快適!わーい、転生万歳ー!(医療とか終わってるけど)。
さて、そんな俺は曇りである今日も籠って勉強をしている。え、ちょっとは外に出ろって?別にいいじゃん。俺、結構インドア派なんだもん(前世から)。え?運動しろ?ナニー?キコエナーイ
コホン。勉強に集中しよう。俺は今、様々な戦について勉強している。主に百年戦争についてだ。今はエドワード黒太子の初陣、クレシーの戦いについて学んでいる。(前世知識で)イングランドのロングボウ部隊が活躍した、ということは知っているが、その他のことについては詳しく知らない。
「リッキー。クレシーの戦いに関して何か質問はあるか?」
父上が背後から話しかけてきた。今日は休日なので俺の面倒を見てくれている。
「あ、はい。我が国の軍のロングボウはフランス軍のクロスボウより強いのですか?ここには我が軍が上から射て…、と書かれているのですが…」
そうだな、と考える素振りを見せる父上。
「まず、違いから話していこうか。我が国のロングボウははっきり言ってクロスボウより原始的だ。その上、引く力もかなりいるため扱いも難しい。だが、羽が多く長いため射程距離が長い。そして扱いが難しいということは、きちんと訓練してきた先鋭たちが使えるということだ。
一方フランスのクロスボウはまず速度が速く、近距離で当てられたらひとたまりもない。そしてそこまで訓練せずとも扱える。ただ、ロングボウより矢が短い故に、ロングボウより射程距離が短いのだ。
あと、射ることができる本数が違う。ロングボウは短期間でたくさん、クロスボウは長期間で少数、と覚えておけばいい。
だから、総合的にロングボウが強いが、射手を失った場合、損失が大きいのもロングボウだ、ということだ」
「へぇ、ありがとうございます、父上」
「じゃあ、次はカレー包囲戦だな。こっちはこの本の方が詳しく書かれている。ヘンリー5世陛下の頃の史料は、義父上が書いたり集めたりしたおかげで、我が家にもたくさんあるが、ブルターニュ継承戦争のものとかは多くなくてな…。今度探してくる」
義父上、と父上が呼ぶのは俺の祖父で母上の父、故人で先代ソールズベリー伯トマス・モンタキュートのことだ。ヘンリー5世に付き従い、活躍を遂げていた中、ジャンヌ・ダルクが現れるより前にオルレアン包囲戦で亡くなっている。近くを砲撃された時に負った怪我の影響だそうだ。
「祖父上の史料ですか。ちょっと気になりますねぇ」
何か面白いことが書いていないかな、と考え始める。
「残念だがリッキー。面白いことややらかしは書いていない。イングランド視点で戦争の記述があるのみだぞ」
げ、俺の考えバレてる。そしてイングランド視点ってことは都合悪いこと書いてないだろうな。たくさんあってもどこまでが真実なんだか。
「私自身、義父上のことはよく知らないしな。ヘンリー5世陛下の元で活躍こそしていたが、裏を返すとアリスと共にいなかった、ということになるからな。アリスから義父上の話をあまり聞いたことがない」
つまり祖父上が書いたものについては信憑性不明、っと。大丈夫かな。
「まぁ、私が知っていることは記しておくし、正確な史料をその時までには探しておくから安心しろ」
「ちゃんとわかってますね、父上」
俺の心読めるんじゃないかな、この人。父上のことが少しずつわかってきたような気がする。
「わかっていますね、とはなんだ。当たり前だろう」
父上がクスリ、と笑った。雲が動き、陽の光が入ってきた。
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